好きですと言わない為の練習会 ――討論記録 #01
※この作品は、
「好きです」と言わないための練習会の記録です。
会話と沈黙が中心になります。
議題
「“好きです”と言わずに好意を伝えることは可能か」
出席者
司会/A/B/C
※全員、特に問題なし
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定刻になったため、会議を開始する。
司会
「まず前提確認ですが、なぜ“好きです”と言わないのでしょうか」
B
「言うと、色々壊れるからです」
司会
「“色々”とは?」
B
「関係性、空気、雑談の積み重ね」
C
「それは“好き”ではなく、告白という行為の強度の問題では?」
A
「異議あり。“好きです”は単語として完成度が高すぎます」
司会
「完成度?」
A
「説明を拒否する完成度です。
言われた側は、理解ではなく返答を求められる」
C
「即答を期待される点も問題ですね」
B
「考える時間がない」
司会
「では代替手段を検討しましょう」
A
「コーヒーを二杯淹れる」
C
「帰り道を合わせる」
B
「どうでもいい話を、どうでもよくない時間にする」
司会
「それで好意は伝わりますか?」
A
「伝わらなくていいです」
C
「誤解されたまま続けば成功です」
B
「関係が継続するなら、目的は達成されています」
司会
「それは恋愛なのでしょうか」
全員
「はい」
以上をもって、本日の討論を終了する。
特に問題は認められなかった。




