おれのかんがえたすごいおうこく‥‥の末路
甘くて美味しいデコレーションボートは、みんなを乗せて幸せになりました。
と、泥船が沈んでいく話です、たぶん。
賢い人はいません。
「レティシア!お前との婚約は破棄させてもらう!
俺の愛しいミリアをいじめ貶めた末に殺害未遂などするような女は国母に相応しくない!
お前との婚約を破棄し、ミリアと結婚する!!」
そういわれ、私は真っ青になる。
というかその前から青い顔になってしまっている。
まずいまずいまずい。
私が転生者って言う事には余り意味がない。
婚約破棄も余り意味がない。
ぶっちゃけ婚約破棄も問題なしのオールオッケーだし、冤罪なのは判明している。
もう数年前にクラウス殿下との婚姻は解消されてるし、こちらの学園は飛び級してて、数日前に留学先の隣国エルハルドから帰ってきたばかりだ。
まずいまずいまずい。
というのも、数日前に書き掛けのザマァ小説の草案というか走り書きの綴りメモを何処かで落としてしまったからだ。
まぁよくある婚約破棄物で、クロード王子に公爵令嬢リリィシアが、聖女マリアを苛めたとして婚約破棄される。というお話だ。
クロード王子は、甘言に乗りやすく煽てられる簡単に絆されるダメ王子なのだ。
で、リリィシアや側近達が諫言すると激高し、優秀な彼らを放逐してしまうのだ。
リリィシアは家族にも切られそうな待遇の優秀な彼らを囲い、役職を与え雇用、公爵家を豊かにさせていく。
王子は王子で甘い言葉で篭絡されて甘い言葉をささやくだけの太鼓持ち下級貴族令息や商会令息等を側に起き徴用し、甘い汁を吸う者だけが彼らに侍るようになる。
その中でオタサーの姫ならぬ聖女マリアは彼らの殆どと褥を共にするという性女だった。
そんな女や彼らが相手となる婚約破棄であったが、彼女はそれを覆す。
そしてその後の展開なのだが。
が。
そんな真青な私と、反応薄い私に激高し真っ赤になるクラウス殿下、別の意味で真っ赤なミリア、ウィズ劣化版とりまきーズらの沈黙が拮抗する中、パーティ会場の扉が開かれたのだった。
そして真ん中を道断する形で現れる国王陛下。
そして宝石で着飾った王妃や、宰相ら重鎮。
あと、何故かこちらに手を降るエルハルド第3王子シュテルムもいた。
国王陛下の登場に素早くカーテシー等礼を取る上級貴族らに遅れ、クラウス殿下らも頭を下げた。
国王陛下は楽にせよといった後に、何があったかを問うた。
クラウス殿下は熱烈に愛のロマンスを延々と語ろうとした所で話を辞めさせられた。
で。
数年前に婚約解消されているし、私が冒した罪の時間帯というと隣国にいた事は事実確認済。
シュテルム王子が証人なので、覆せない。
でもまぁ、クラウス殿下とミリアの婚姻は許された。
あ、そーですかーあなたでしたかーそーでしたかー。
「でだ、私は彼らを大いに祝福したい」
あーうー。
「我が国と隣国の間にある三角州の領土がある」
ありますねーうーん。
「そこをクラウスに与え、独立を許す事としよう」
え、あ?
あれれぇ?だれもさわがないよぉー?(あの声)
「そしてクラウスを初代国王としよう」
あちゃー。
あと喜ぶなバカップル。
「そして王妃よ、そこの初代国母になるというのはどうだろう?」
あーやらかしてるなー。
物語の中では宝石で釣って、元男爵令嬢、元運命の愛(笑)の王妃に、難しい言葉で「王妃やめてね」という書類に署名させていた。
あの着飾った宝石類はそういう事だろう。
もちろん王妃は即答した。
「なお、彼らの国家に着いていく貴族も募集しておるぞ」
そうそう、御新規国家についてけばもれなく爵位が貰えます☆
先着順に高爵位もゲットだぜ☆
もちろん分もある知恵もある上級貴族達は動かない。
知ってるからである。
彼らの顛末を。
その後私は女辺境伯となった。
城壁から彼の地を見下ろした。
我が国と隣国に挟まれた三角州のその領土は、数十年前に両国が合同合戦場として利用していた土地で、取り立てて生産的な物もなく、ほぼ荒れ地というしかない。
そこには兵舎として建てられた館があるだけだ。
それはもちろん国1つづつしかなく、勿論領民はいない。
錆びた練習用の武具、廃れた草木、寂れた領地で、家といったものもない。
一時兵士がドンチャンして帰るだけの不毛の地。
そこに彼らは投げ出された。
彼らに着いてきた下級貴族やとりまきーズらは、クラウス陛下の国民となった。
まぁ、一代男爵として繁栄させてみろ。という言葉に、極甘デコレーションして、「独立国家」という名をつけただけのハリボテである。
ここまでは私のオリジナルだったのだが。
国王陛下は嘗ての(略)、王妃に愛想を尽かしていたので、ついでにクラウスに熨斗つけて投げ渡したのだ。
まぁ、王妃の浪費癖は平民にも知れ渡ってましたし、致しがたないでしょう。
元公爵令嬢である側妃様のお腹には新しい命が宿ってらっしゃるとかで、黒歴史共々、色々リセットしたかったのでしょう。
駄妃や愚息らを片付けて。
なんだかんだで国王陛下に招かれ胃薬必須なお茶会が開かれました。
私の小説モドキありました。
陛下の御手元に。
見てすぐに土下座しましたとも!!
土下座文化わかるかなぁ。
私の切実なる謝罪?から、陛下の若かりし頃のやらかしやら、それを知らぬ愚息が同じ仕出かしをやらかすという黒歴史、そして私の小説モドキから得た断罪ザマァをしようと画策したという話を聞いた。
名前もまぁパロっただけだしなぁ。
まるわかりもまるわかり。
不敬罪まったなしのシロモノである。
差異は私が辺境伯令嬢で、干された元側近達は我が領地で鍛え直す。という名目で保護しており、家族や婚約者らも彼らに瑕疵がないのは了解済だ。
後は、物語では国外追放同然に僻地という名の独立国家に放逐するだけだった。
まぁ、物語は書き掛けだし、聖女がチート持ちなら繁栄とかの展開もありえただろう。
まぁ、陛下の目に触れたので、燃やしちゃうけどね。
ボツだボツ。
でだ。
私は辺境伯令嬢であり、(事前に婚約解消はされてたものの)婚約破棄と冤罪による汚名を着せようとした相手とかかわりあいになりたくない。
ので、独立国家クラウスチーム(名称仮名)との取引はせんし、出禁にすっぞ(意訳)といった書類の盟約を結ばせた。
で、何故かニコニコとシュテルム王子も同じように関わってくんなよ(意訳)と盟約を結んだそうだ。
自意識過剰なクラウスは自分や彼らを優秀だと思っている為、意気揚々と署名した。
「何人に頼る事なく国家を興して見せよう!後に縋り付いても遅いからな!!」
との台詞を置き去りにして自分の国?に帰っていった。
まぁ、辺境伯領地で彼らの顔を見ようものなら国につく前に斬殺されかねない。との文句を名目に彼らを載せた馬車は外界が見えぬ処理がされ、兵舎に着くまでアンノウンな旅路をおくることとなった。
まぁ、私的にやらかした気があったので、彼らの寝具ぐらいは整えてきてあげたのだが、簡素なソレはお気に召すだろうか?
兵士が通常的に使う寝具なのだけども。
まずは家具が到着。
下ろすだけ下ろして馬車は引き上げる。
そしてクラウス陛下(仮)と王妃(笑)ミリア、初代国母(意味不明)元王妃が、到着。
そしてとりまきーズやその家族。
尻馬に乗った下級貴族らが降ろされていく。
勿論馬車は彼らを残した後、すぐに引きあげした。
そして転送魔具をつけた案内人が、彼らを促し、兵舎の中に案内する。
独立おめでとうございます。
これからのご清栄お祈り致します。
等のさわりの良い言葉を述べて、案内人は転送魔具でテレポートで帰還した。
残されたのは、独立という甘い言葉で集まった彼らだけであった。
独立、それは国王として立つ者と、領地、領民が揃っていないと為すことは出来ないだろう。
ましてや、更地同然の何もない不毛の地。
何もないのである。
一応兵舎には井戸はあるものの水質をクリア出来ているかの鑑定もされてなく、川や湖もなく、あるのは泥水の沼ぐらい。
合戦時は、我が領からの配給や各々の支度品等を持ち寄るがそれもない。
あるのは雨風凌ぐだけの寝るだけの施設だけだ。
彼らは荒れに荒れ、逃げ出そうとするものもいたが、断絶してる両国が彼らを受け付けるはずもなく。
数日夜中灯りを見せた兵舎は、1か月もしないうちに火が消えた。
辺境伯領地の見張台から辺境伯当主として、その様を見届けた。
感慨なんぞなかったが、飛込み婿入りしたシュテルムは私をずっと抱き締めてくれた。
そんなシュテルムは一人目の読者だ。
何処をどう好きになったのか分からないが、懐かれてしまっていた。
まぁ浮気より溺愛の方が良いよね。
けとそろそろキスがくすぐったいのでやめてほしいぃぃぃ。
結局、独立国家として名乗りを上げる事なく終わったその地には嘗て名前があった。
【ロードレス】
主なき土地、として両国から捨て置かれた土地。
この三角州の領土ロードレスの他には、我が国と隣国がつながる国境があり、そちらを主流として利用している為、この地の利用価値はなく、しいていなら破落戸程度が紛れるぐらいではないだろうか?
それでも、足場は良くなく、ただっ広いだけで隠れる場所も少ない為、旨味なんてものはなかった。
まぁ、自分の国土となる土地の情報ぐらいは尋ねろよ!とは思った。
甘い言葉にのるような者たちにそれほどの知恵などなかったということだ。
彼らは自分達を優秀だと思っていた。
が、仮に彼らが優秀だとして何が出来たか。
何も出来ないし何も成せない何もない。
関する知識はあれども実践するノウハウはない。
農夫が使う鍬があったとしても、令嬢達には振るえない。
貴族は優雅にご飯を食べれても、ご飯を作ることも、その材料さえも知らなかったりする。
結局頼らざるを得ないのだ。
国民に、平民に、彼らより下にいる筈の者達に。
だが、国民は自分達しか居ないのである。
宝石や金貨等が潤沢にあっても、それが活きる事はない。
この地を通る商隊さえいないのだから。
回らぬ貴金属は、ただの鉱物でしかない。
衣服は汚れ、腹は減り、精神はズタズタ、肉体はボロボロ、国王を、王妃を、国母を、公爵を、上級貴族を夢見た彼らは平等に廃れた大地の土となった。
奇しくも幼き頃、クラウスの望んだ「皆が平等に暮らせる国に」というその名のままに。
滅んだ。
賢い人はいません。(2度目)
甘い夢見て現実を見ない彼らが消えてく話でした。
え、国家っていうからお城や使用人、美味しい料理に甘いお菓子に、侍ってくれるイケメン、いっぱいのドレスと宝石に、あとえと、色々っ!色々揃ってるって思うじゃない!!(ミリア)
と泥船にのった全員は煮たり寄った考えだったご様子。
賢い人はいません。(3度目)
レティシアの前世は物書きだった。ぐらいの転生者です。
ニュアンス的には乙女ゲーっぽいですが、似た事象があるだけのストーリーです。
書いてたのは乙女ゲーっぽいもの。で、それを元にしちゃったのが拾い主の国王陛下。
レティシアは何処まで可能な話なのか、までは突き止めてなく、書き手の私もわかってません。
まぁ見つかったら普通は不敬罪ですよね。
王室のパロディは。
王妃の浪費にも、愚息のやらかしにも、見限ってたので、これ幸いと下地(上級貴族らを集めた非公式会議かなにか)を固めて、篩にかけた。
という感じです。