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勇者と従者(仮)その1

モンスターが現れたっ!


不確定名【醜悪な子豚鬼】



 ここは普段、僕達が拠点にしている小さな町の近くにある森。その入り口近く。


「……チッ、オークの子供か。こんなんじゃ経験値の足しにもならんが、おい新米」


「は、はい!何でしょうか勇者様」


 何を隠そうとこの僕、ノベルニア・アプレリス。通称ノベルは、あの伝説的勇者様とつい先日からパーティを組み、僕は冒険の第一歩を踏み出したのだ。


「こいつ、お前にやる。昨日覚えたって言う着火の魔法で、きっちりこんがり焼き殺せ」


「えっ?で、でも着火の魔法は文字通り可燃物に小さな火をつけるだけの魔法で、攻撃魔法なら火球の方が……」


「うっせ、関係ない。俺がやれっつったらやるんだよ。魔法はな、使い込んでこそ熟練度が増して威力も上がるんだ。俺のお供をしようってんなら、この程度の雑魚に火球なんざ使ってんじゃねえ〜よ」


「……はい、わかりました、勇者様」


 だけどこの勇者様、万事この通りでぶっきらぼうに【仕事】を回してくるのだ。


「よし、時間かかってもいい、きっちり中まで火を通せ。コレが本当の子豚の丸焼き、ローストオークってな」


 ???????????


 だ、駄洒落?ろ、ローストポークとかけているのだろうか?

 ……なんて残酷な、とは思ったが、かと言って笑えばいいのか、それともこの無理難題を無言で粛々とこなせば良いのか、駆け出しの僕には理解不能だった。


「……着火ティンダー


 僕の右手の人差し指。その先端に蝋燭の様な小さな火が灯る。

 火属性に分類される単音節魔法【着火】は実の所、その区分としては初級魔法ではあっても、魔法そのものの扱いは結構難しかったりする。

 最小限のマナ、いわゆるマジックポイントを最小消費で、最適の灯火を現出させ、それを火種として何か他の【可燃物】に火をつける。ただそれだけの魔法であるが、その制御の難しさは初級魔法随一。

 故に魔法学院で正式に魔法を修めていない野良の魔術師や呪術師は、この魔法の習得を先延ばし、或いは元々習得しないものもいるくらいなのだ。


「あのぅ〜これでどうやって……」


 僕は如何にも不機嫌そうな顔の勇者様に問いかける。……大体からして、オークは子供とは言え【可燃物】と定義するには無理がありすぎる。

 

「燃やせ」


 嗚呼〜さようですか。勇者様は簡潔に言い捨てた。

 だからどうやってだよっ!と喉元まででかかったことは、ここだけの秘密だ。


「……喉だ。先ずは喉を焼き潰せ、内側から。そうすれば呼吸困難に陥って、窒息死する」


 僕の心の声が聞こえた?と、一瞬焦ったが成る程、そう言う手が……って違うだろ!

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