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プロローグ
懐かしい光景だった。
幼い頃に夢中でプレイしたゲームだ。
剣と魔法の世界で召喚士の主人公が活躍するロールプレイングゲーム。
召喚魔法で呼べる仲間は、天使や悪魔、ドラゴンといった幻想世界に馴染の存在から、鬼や機械生命体といったファンタジーには似合わない存在まで多種多様。
何度も救った世界をもう一度救い。
私はゲームのエンディング、頼もしい仲間たちの映像を眺めている。
本来なら、歓喜を呼ぶ光景なのに……
私はどこか物足らなさを感じている。
「マスター! 起きてください」
うん、そうだ。
その声を聞いて、私は納得する。
召喚士の主人公には必ず召喚獣のパートナーが存在した。
ゲームの開始からずっと傍にいた機械生命体。
共に冒険を繰り広げた彼女がいない光景。
私にとってそれは苺のないショートケーキなのだ。