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DOOR  作者: 雛宮何某
1/5

「王」の血筋

超短編、完結までお楽しみいただけます。



時は現代。



鎌倉時代より名を馳せた剣道の名門「儀王家」の話。



現当主「儀王成仁(ぎおうなりひと)」には儀王家発足以来最強と呼ばれる息子「儀王扉(ぎおうとびら)」がいる。彼は高校二年。勿論剣道部、二年生にして主将を任されている。



各県の強豪校では共同で、「打倒儀王」を掲げている。



現代、剣道がスポーツ、部活として広まってからというもの、一度もこの目標は達成されていない。



    ⬜︎



A県、県大会決勝。



赤・儀王扉(高二) 対 白・条知岳(じょうちたける)(高三)



儀王扉は決勝に至るまでの全試合、二本ストレートで勝ち上がってきた。試合時間は平均で()()



    ⬜︎



条知岳は、焦っていた。



(やばいやばいやばいやばい、相手あの「儀王」じゃん。勝ち目あんのこれ。まてまて、全試合見てきたけど、何あれ、早すぎでしょ速すぎでしょ。やばー、どうしよ。いやあ、ね。市大会は一位だったよ?県もね、そこそこいければいいかなーなんて思ってたらさ、決勝来たじゃん。扉くんいるじゃん。どうすんのこれ。)



「あのー、始めても?」


「ひえっ!あ、あ、…はい。すみませんでした。」



渋々、本部に礼、そして竹刀を中断に構えて蹲踞。



(顔に出てたかなあ、)



「…では、ーーー始めエッ!」



(ふー。最善を尽くして最善を…)



「メエエエエエエエン!」



カチャッ!



鍔迫り合いになる。

直る。



(睨み合って、落ち着いてーー)



ドッ!



動き出したのは、儀王扉。



「メェン!!」



パン!



(え?一本取られた、の?睨み合ってなかったっけ。)



バッ



四方で赤旗が上がった。



(これ、やばいな。)





    ⬜︎





一方で、儀王扉。



(決勝は手練が来るところじゃないのか?例年通り全然そんなことはないな。)



そして、先程の一本。



(純粋に、正面から面を打っても反応する様子がないな。じゃあ、もう一回仕掛けるか。)



ダッ



「ーーメェン!」



パシャアン!



「…あれ。」








ーー試合時間、43秒。







    ⬜︎



試合直後、条知岳。



「え…」



(もう、終わったのか…?)



条知岳は、そのままの構えのまま、硬直していた。



(みえな、かった。()()は、本当の異次元だ。僕がたどり着ける所にいない。) 



「蹲踞、してください?」



「あ、す、すみません。」



納刀して、立つ。

礼。



(引越しするかあ。大学入っても扉くんまだつづけるだろうしなあ。)



肩を落として退場する。



「待って、ください。」



透き通った声だった。



「ッ!?は、はい…」



「また、一緒に戦いましょう。せっかく同じA県民なんですから。」



面を脱いだ彼の顔は、目を疑うほどの美青年だった。



「あ、はい。」



(はいって言っちゃった。)





儀王扉、東日本大会出場決定。














また、条知岳は、後の範士である。















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