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魔王クリエイター  作者: 百合姫
V章 侵掠
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ダンジョンは爆発四散。

内部にはもちろん殴り殺されて肉の塊となったフォルフォー少年以外にも沢山の探索者たちがいる。

それらの人々も爆破されたかと言えばそうではない。


「あれ?どこだここ?」

「俺は一体…ダンジョンで…」

「…私はいつの間に地上に出たの?」


ダンジョン内にいたはずの人達が爆散したダンジョンから離れた位置で戸惑っていた時、師匠は自慢の金髪をたなびかせて、いまだダンジョンの破壊痕を睨み続けていた。


「他の連中を転移させたついでに分かっているんだ。下手な死に真似はやめな。あたり一帯に見慣れない魔力が霧散しないで留まり続けているんだ。不意打ちをするつもりならまずは魔力の隠し方から覚えるんだね」


未だ炎燻る、瓦礫の山を前に師匠はかけらも油断していなかった。


「それとも、言葉を介すことが出来ない類の相手かい?」


ぱきり、と瓦礫から音が鳴る。


「言葉を交わす意味を見出せませんが…ああ、そうだ。せっかく話すならば聞きたいことがあります。魔力を感じ取れる理由を教えてくれませんか?

普通の人間にはまず不可能であると言う覚えがあるのですが」


ダンジョンが崩壊し、瓦礫に埋もれた穴から1人の少女と、一部が焦げ付いたキノコの怪物が瓦礫を押しのけて這い出てくる。

どうにも目の前の金髪の女性は油断してくれそうになく、このまま息を潜め、身を隠していても構わず攻撃されて終わるだろうと判断したためだ。

死んだと思わせてからの不意打ちは諦めるしかない。


「簡単な話さ。私だからできる。私に限らず出来る奴は出来る。それだけだよ」

「身もふたもない話で」

「せっかく答えてやったんだ。次は私からの質問に答えてもらおうか…色々聞きたいことはあれども、まあそれらは今の私の心境的にはどうでもいい。そうさ、クソほどどうでも良い…聞きたいのは一つだよ」

「なんでしょう?」


這い出た少女、アルルが可愛らしく見えるように計算された角度で小首を傾げて、訪ねる。


「フォルフォーとルービィを殺したのはあんたらで間違いないね?」

「ええ。優秀すぎましたので。彼らは後々、大きな壁となる可能性が高かったので死んでいただきました」

「色々と含みのある口ぶりだが、それらも今はどうでも良いんだ。それよりも念のための確認をしないとね。間違って殺したらお前さんに悪い…とは思わないが、逝ってしまった2人に悪いからねぇ」

「彼らの敵討ちですか?」

「そうさ。死ねよ、お前ら」


ちりっと、空気が変わる。


「あの子らは殺されて良いような悪い子じゃなかった。そう、殺されて良いような子らじゃなかったんだよ…ああ、本当に、あの日送り出したのを後悔している」

「…貴女も実に優秀なようで。地下に広げていたダンジョンの大部分が今の一瞬で倒壊しました。個人でこれだけの魔法が使える人間がいるとは脱帽しましたよ。評価に値します。ただ…」


ちりっ。


「貴女は私たちに怒りを向けてきますが…私たちも貴女に怒りを覚えています。ああ、実に腹だたしい」


ちり、ちり、と空気が張り詰めていく。

互いの怒りが目に見えるかの様だ。


「当初予定していた計画の成功の芽がほぼ潰えた現状、貴女を殺して少しでも汚名返上といきましょうか」


アルルが傍に立つキノコマンの方へ視線を向ける。


「時間稼ぎはこのくらいで十分でしょう?行きなさい、キノコマン」


師匠の周囲の地面からコンクリートから芽を出す植物のように生え出す、キノコマン。

四方を一体づつで囲んでの、4体による4方向からの4攻撃が彼女に襲いかかる。

しかし振りかぶったキノコマンの拳は一発も当たらず、それどころか


「爆ぜろ」


急に体の一部から発火し、一瞬で燃え尽きた。


「まったく、まったく、まったく。昔から、そうだ。良い奴ほど早死にするんだ。なんでかねぇ?不思議だよ、まったくもって不思議さ」

「ふふふ、自覚がないんですね?貴女が死んでないということは貴女は悪い奴ってことで、もとい、貴女が悪い奴だから大切な物なり者をみすみす失う運命の元に神様が貴女を産んだのでは?

すなわち彼らが死んだのは貴女のせ…」

「んっなわけないだろうがっ!!!」


口上の途中でアルルの体が燃え上がり、炭へと変わっていく。


「っちっ!」

「…知ってますか?」


炭になったアルルとは別の場所から瓦礫を押しのけて再度、アルルが這い出てくる。

それを見て思わず舌を鳴らす師匠。


「世界最大の生物を」

「知るかよっ!」


ボッと、新たに現れたアルルもまた燃えて崩れ落ちていく。

それと同時にゴゴゴと、地響きが鳴り響く。

その音は彼女達の場所だけではなく、彼女達がいる街全体の至る場所から聞こえてくる。


「正解は菌類です」


またもやどこからともなく這い出たアルルから質問の回答が得られる。

地球において最大の動物ならばシロナガスクジラと言われている。

平均して20メートルを超え、最大で30メートルを超える個体が確認されているシロナガスクジラは過去に絶滅した生き物を含めた上でも最大種らしい。

成体の重量は約200トン近くにも及ぶ。


ただ、これよりもさらに巨大な生き物が地球には存在した。


菌類である。


実はキノコとして小売店に売られている可食部はキノコの本体というわけではない。

胞子と呼ばれる、人間で言うところの次世代の赤子を広範囲に拡散するための繁殖器なのである。

植物で言えば花の部分であって、本体にあたる枝葉や根っこと言った部分を食べているわけではない。

菌糸と呼ばれる糸状の体組織が本体であり、それが周囲の栄養を吸収しながら増体し続け、ある程度本体が成熟した段階で繁殖のために子実体と呼ばれる、すなわち一般の人がキノコと呼ぶ胞子を飛ばすための部位を作るのである。

キノコマンが何度殺されても復活し続けたのはダンジョン内部の壁や地面に深く根を張り、成長し続けていた本体である菌糸部分には一切のダメージが無かったためである。

そしてキノコマンの本体はダンジョン内部全域の至る所にその根を張り巡らせていた。

いや、それどころか周辺の地中にも。

その質量、実に約1200トン。

地球における最大の生き物として確認された菌類の名はオニナラタケ。

推定2500年近くもの間、成長し続けることで約9平方キロメートルという範囲に菌糸を伸ばし続け、その質量たるや推定600トン以上。

それの約2倍の質量を持つ、現状最大の魔王たるキノコマンは奥の手を使うことにした。


師匠と呼ばれた女性によるダンジョンへの超広範囲攻撃で100トンほどが被害を受けた。

100トンとは言えど、彼の全体からみれば1割にも満たない損耗率でしかない。

このまま持久戦を仕掛ける選択肢はもちろんある。

が、先程はそれでルービィ少年をみすみす逃してしまった。

逃げ出す前にキノコマンの体を焼いたり斬りつけたりしたため、その際に浴びた胞子が体に侵入、根付くことで特殊な真菌症を発症して今頃は死んでいるはずだが、今回はそれを待たずして全力で殺すことにした。

何をするかわからない。

相手のどんな攻撃にも対応できるように余力を残すという方針を、相手が何かする前に全力を出す方向へ舵を切る。

ゆえにキノコマンは自身の本体を培地となっている地中の岩や土、瓦礫と化したダンジョンの壁や床も一緒に結集させていった。


凄まじい轟音と共に現れたのは超巨大なキノコマン。


菌糸領域のスキルによって非常に広範囲に菌糸を拡散、増体を繰り返し、それらの菌糸一つ一つが超キチン肉スキルによって凄まじい強靭性を発揮することで菌糸だけの1100トンもの質量だけではなく、それらが根付く土や岩をも含めた推定3000トンもの自重を支えて、動き出すことを可能にするキノコマン最大最強の菌糸怪獣形態である。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 物語としてはしょうがない気がしますが、数を揃える会の生物って、なぜ、そこまでして一か所に集めたがるものなのでしょうか、ほんの一部でも、どこかに放てば全滅は免れるかもしれないのに。
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