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魔王クリエイター  作者: 百合姫
一章 兆し
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両親を失ったリアちゃんに僕は提案した。


一緒に暮らさないか?と。


本来ならば彼女の身柄は父親の実家か、レムザの実家であるホホイ家が引き取るのが筋だが、そのどちらとも何のリアクションも無い。

報せは届いている筈。しかし彼女は一人ぼっちのまま、しかもまだまともに働くこともできない7歳児。

僕が勢いのまま、一緒に暮らさないかと言うのは自然の流れだ。

まだ両親がいなくなったと言う報せ、特に母親であるレムザはいつもいるはずの場所にいないことに気づいた近所の陰気なお姉さんが、リアちゃんに何処にいるのか聞いてみるとしばらく前から家にはいないと言うのだから、つい最近判明したことだ。ホホイ家に報せが届いていないだけかもしれない。

道理で最近、レムザの顔を見なかったわけだ。

と言うか、母親がいないなら教えて欲しかった。

色々と大変だったのでは?と問うと


「べつに。家事はもともと私がやってた」


やっていた、というかやらされていたと言うか。

家事をリアちゃんがやっていたと言うことはレムザは日中、なにをやっていたんだか。


まあ、何にせよ一緒に暮らしたいのは変わらない。

この世界で孤児、というのはなかなかどうして辛い立場だ。

なにせ人口が多いのだ。

親戚であったとしてもあまり人を抱え込みたく無いらしく、財産はくれ、遺児はいらんと恥も外聞もなく声高々に言う人は珍しく無い。

リアちゃんはなまじ可愛いために引き取り手は出てくるだろうが、可愛さ目当てということは将来的になにをさせられるか何となく想像がつく。

母にどうにかできないか相談したところ、ささっとこちらで養子縁組をしてしまえば恐らく大丈夫だろうとのこと。

確かにリアちゃんは常軌を逸した可愛さではあるものの、まだ子供であるし、豪農の娘である母を敵に回してまで確保したいと考えるリアちゃんの親戚はいないとのことだ。

幸い、1番面倒そうなホホイ家には貸しがあり、リアちゃんの父親の実家であるもう一つの豪農一家に対しては僕が魔王クリエイターで調整した野菜たちをいくらか渡せばなにも言ってこないだろうと。

他の細々とした親戚は養子縁組でみんな黙る。

結果。


「ふつつかものですが…よろしくおねがいします」

「あらあら、硬いわねぇ、自分の家だと思ってもらって構わないからね。というか名実ともにここが貴方のお家になるのだし」


リアちゃんが我が家に住むこととなったのだ。

色々あったが、結果的にはますます無表情の治療が進むに違いない。



一章 終

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