部屋で休んでいたのに……
「はぁー。まだこれ一日目だぞ。こんなにも疲れるなんて」
俺はやっと一人になれて一息ついていた。
こんなにも付き纏われてたら一週間と持つ気がしない。
どうすればいいか。何かを妥協して学校では関わらないようにしてもらうしかないのか。
例えば学校では絡まない代わりに土日のどっちかだけ遊ぶとか。
例えば会う日を決めてそれ以外は全く合わないとか。
本当に今の状況をどうにかしないと小野先生と一緒に話せない。小野先生に会うのが唯一の学校の楽しみと言っていいほどなのに。
俺はいつの間にか小林玲奈に合わないという選択肢が頭から抜けていた。
そんなことを考えていると、いきなり部屋の扉が開いた。
「兄ちゃーん、遊ぶぞー」
そう言いながら俺に飛びついて来た。その後ろには小林玲奈が立っている。
「お前は小林玲奈が来てるだろ」
「ええー3人で遊んだほうが楽しいじゃん! ほら玲奈もこっちに来てるんだからー」
そして芽衣が指差した方向には小林玲奈が居た。一応隠れているつもりだろうが、バレバレだぞ。と思いながら見ていた。
芽衣が見ている間は少しモジモジしていたが、芽衣が目線を逸らすとウィンクをして来た。
「おい、芽衣。あいつが何か言ったのか?」
「えっとね。二人より三人で遊んだ方が楽しいって言ってて、確かにって思ったんだよ」
やっぱりあいつの仕業か。そう思いもう一度小林玲奈の顔を見てみると、企みが成功して誇らしげの顔をしていた。
「はぁー、男の俺が混ざるより女子だけで遊んだ方が楽しいだろ」
「それが、玲奈がトランプを持って来てババ抜きをやろって言ったんだよ」
芽衣がそう説明していると小林玲奈が「それにですね」と説明を代わった。
「男も女も関係ないですよ。三人の方が楽しいですって」
「はぁ関係あるだろ。お前だって芽衣と遊びにきたんだろ。なんでトランプを持って来たんだ?」
俺は徹底的に反抗した。
小林玲奈は少し焦っていたが思いついたようにして口を開いた。
「たまたまトランプが入ってたんですよ。それで、折角だからトランプで遊ぶって事になりました」
「たまたまトランプが入ってたことなんてあるか?」
「う……。入ってたんです!」
小林玲奈はそう言って論破して来た。
結構グダグタな感じがするあくまでもその理由で通すらしい。
俺がまた否定しようとすると
「まぁ、そういうことだー。だから一緒に遊ぶぞー」
と言われて俺は手を引っ張られた。
俺はずっと否定をし続けたが、結局流されるまま遊ぶようになってしまった。
そして芽衣の部屋に移動している間ずっと小林玲奈はニヤニヤ笑っていて、気持ち悪いと思いながら、絶対にやり返してやると思った。
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