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後輩と登下校

「よし! 放課後だ!」


 放課後になった。いつもの俺なら先生と話に行くのだが、今日は仕方がない。

 授業が終わったとほぼ同時に教室から出た。

 これなら絶対に捕まらないはずだった。なのに


「セーンパイ。一緒に帰りましょう」


 校門前で待ち伏せされていた。


「なんでお前がこんなところにいるんだ。学年が上の人ほど下の階なんだぞ」


 そう、学年が高くなるほど階は下になる。なので俺が二階、小林玲奈が三階になるのだ。


「ふふっ。何ででしょうね」


 そうやって小林玲奈はニヤリと笑みを浮かべた。


「じゃあ一緒に帰りますよー」


 小林玲奈はそんな事を言ってきた。


「嫌だ。俺は捕まっても一緒に帰るとは言ってない」


 俺はそう言って逃げようとした。しかし


「それは言い訳です!」


 直ぐに止められてしまった。

 思ったより力が強かった。そして結局一緒に帰ることになってしまった。


「はぁー」

「先輩なんか最近溜息多くないですか?」

「そりゃお前のせい……。うん? なんで俺が最近溜息が多いって言い切れるんだ?」

「えっ! そ、そりゃあよくため息をついているから?」

「なんで疑問形なんだよ」


 こいつまさか


「す、ストーカー……」

「そんな物騒な事してませんって。ちょっと観察してたくらいですよ」

「じゃあ俺のことどこまで知ってる」

「えっと、2年A組34番。血液型はAB型。これは私と一緒ですね!」

「それはどうでも良い。で?」

「はい! 他には身長170センチ、体重62キロ。それから——」

「こっわ!」


 全部あってやがる。やばい。やっぱりこいつストーカーじゃねえか。


「やばい。110番しないと」

「ちょ! それはダメですって。何が変なんですか! これの」

「いや。それは知りすぎだろ」

「え! だって私先輩のことが好きなんですよ。これくらい」

「いやいや。ありえない。普通じゃない」

「まあ、本当は私先輩の妹さんと友達なんですよ」

「芽衣とか?」


 横井芽衣、俺の妹の名前だ。


「先輩と芽衣ちゃん仲良さそうだったから、熟女好きなんて思いませんでしたよ」

「仲は普通の兄妹くらいだと思うけど」


 なんでこんな個人情報をこいつに言ってるんだろう。でもシスコンと思われるのは嫌だし。


「えっ! めちゃくちゃ芽衣ちゃん先輩のこと話してますよ」

「なんて?」

「えっと、今日は弁当作ってもらったーとか」

「えーそんな日一度もなかった気がする。……もしかしたらあいつ俺が弁当を渡しただけでそう思ったのか」

「どういう意味ですか?」

「確かその日あいつ日直で早く出たんだけど弁当を忘れてたから届けに行ったってだけだ」

「そんなことで勘違いするほどバカじゃ……いやあの子の事だから」


 はぁー。もうちょっとあいつは考えるって事をして欲しいものだ。

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