後輩と昼ごはん
「——だから熟女の方がいいんだよ。まあ若くなくても無理な人は居るぞ。俗にいうおばさんってやつだ」
俺が熟女について語っていると
「ふふっ」
と横で笑い声が聞こえた。
「なんで笑うんだ?」
「いや。必死な先輩が可愛くてですね」
「かわいいってなんだよ」
「いや、好きな人の必死な姿を見たらなんだか嬉しくなりません?」
「そんなわけ……あるな」
確かに好きな人の必死な姿を見れるのは、何だか嬉しいことだ。好きな人の意外な一面を知れたみたいな感じなのかな。
「初めて意見が合いましたね!」
そんな事を小林玲奈は言ってくる。
「ほとんどの人がそう答えるからこんなので嬉しくなるなんて、子供だな」
「何ですか! その言い方」
俺が皮肉を込めた言葉を小林玲奈に言うと、小林玲奈怒ったように言ってきた。
「この言われようが嫌なら近づかなきゃいいじゃないか」
「それはもっと嫌です」
「はぁー」
「なんですか! その嫌そうな顔は」
「だってお前が居なかったら好きな人と話せるんだぞ」
俺としては至極真っ当な事を言ったつもりだったのに、小林玲奈は変な顔をしている。
「一応聞きますけどその好きな人は?」
「えー。そんなこと聞くのか」
「言ってください!」
「英語教師の小野先生」
小林玲奈が急かすので俺はボソリと呟いた。
「えー……。それは普通に引きますよ」
「いいぞ。引けもっと引くんだ」
「何で引かれて嬉しそうなんですか。Mですか。Mなんですか!」
「お前に言われたら終了だな」
「何でですかー!」
そんなしたくない会話をしていると、昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。
「じゃあ、もうそろそろ昼休みも終わるし」
「無視しないでくださいー」
そう言って小林玲奈は追いかけてくる。
「だ、ダメだ。来るな。俺が殺されるって」
「ああ、ごめんなさい。じゃあまた放課後」
「会えるかな?」
「絶対に会いに行きますよ」
俺は小林玲奈が来る前に、出来るだけ早くこの学校から出ようと決意した。