告白された……熟女が良かったのに……
「横井先輩! 私と付き合ってください!」
五月初頭、そんな声が校舎裏に響いた。その声を発したのは小林玲奈という女子生徒だ。
今年から入学してきた彼女は瞬く間に人気者になった。
それは当たり前のことだろう。長く綺麗な髪はツインテールで結ばれていて、どこを見ても少しの肌荒れもしていない肌。大きく円な瞳。
どこをとってもこの学校で一二を争うレベルの容姿。
しかし彼女の凄さは容姿だけではない。テストの点も常にトップクラス、色々な部活に誘われていて、スポーツも得意。
どこをとっても引けを取らない、普通の人から見れば理想の女子って感じのだ。
そんな子が今まさに告白しているのだ。
「私、この学校に入って横井先輩を見かけた時に一目惚れをしてしまったんです!」
「こんなどこにでもいるような顔にか?」
「いえ、私にとっては誰よりも魅力的な顔です!」
しかも告白している相手は俺、横井裕介という極々平凡な人間だ。
テストでは平均点から20点前後、部活にも所属しているわけでもなし。特別イケメンなわけでもない男だ。
誰が見ても不釣り合いな二人だった。
それに俺は全くもって小林玲奈という女には興味がない。
「あのな。小林さん」
「はい!」
期待したような目でこちらを見てくる。成功したと思ってるのかな。
「俺は、いわゆる熟女好きってやつなんだ。だから付き合えない」
そう俺は根っからの熟女好きだ。なぜかは分からない。
初恋の相手も、45歳くらいの担任の先生だった人に、一目惚れをした時だ。この時の俺は小3だ。
「はえ!?」
思いもしてなかった返事が、返ってきたからだろうか。腑抜けた声を出して呆けていた。
「じゅ、熟女好き……?」
「ああ、そうだ。俺は最低でも20歳年上じゃないと恋愛対象としてはみれない」
「…………」
小林玲奈はがくりと肩を落とした。
これは幻滅しただろうか。まぁ俺にとってはそっちの方がありがたいけど。
少しすると
「……分かりました」
という声が聞こえた。物分かりがいい子で助かったよ。
「じゃあそういうことだ。じゃあな」
「いえ待って下さい!」
立ち去ろうとする俺を引き止めるように、腕を掴んだ。
「なんだ? まだ用があるのか?」
「分かりました、は諦めたという意味じゃありません。横井先輩が私に惚れてくれるまで粘ります。覚悟しておいて下さい!」
「はっ?」
「では失礼します!」
小林玲奈は言うことだけ言って去っていった。
これから俺の熟女人生はどうなるんだろうか……。
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