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08

 

 佐倉さくらあかりがその靴を受け取ったのは、GWゴールデンウィーク中の事である。

 ただし今年の話ではない。

 それ自体は三年も前の事。

 いや。

 彼女を語るには、もう少し時間をさかのぼるべきだろう。

 事の起こりは、小学六年生の冬。

 三人の友人との下校中、車両同士の衝突事故。

 進路をれた片方の車が、信号待ちをしていた朱達のいる歩道に突っ込んできた。

 自分達に向かってくる車に気づいたのは朱のみ。

 その瞬間を、朱はやけに緩慢かんまんな光景として捉えていた。

 自分は助かる。

 車の軌道を見て、それはすぐにわかった。

 自分の後ろにいる友人も助かる。

 問題は自分の前に立つ二人だった。

 瞭然りょうぜんたる直撃コース。

 呼びかけて間に合うような距離ではない。

 気付いたら二人を突き飛ばしていた。

 自らの身の安全などかえりみず。

 結果として三人は軽傷。

 直撃を引き受けた朱も、幸いというべきか一命は取り留めた。

 しかし脊椎せきつい損傷による重度の歩行障害という、取り返しの付かない傷跡が残った。

 残念ながらリハビリなどによる回復の見込みはない。

 手術後、容体が落ち着くとはっきりとそう告げられた。

 当時の朱は運動が好きで、年相応に快活な少女であった。

 ところが体の自由が奪われ、その生活は一変した。

 家族の介護は、それは手厚いものであった。

 多くの友人もそれまでと変わらず、支えとなってくれた。

 それでも朱の心が癒される事はなかった。

 不随となった両足のせいで、人が変わったようにふさぎ込んだ。

 傍目はためにはそんな風に映ったかもしれない。

 勿論それも少なからずある。

 しかし朱を変えたのは、不意に芽生えた疑問から。

 自分は恐らく、正しい事をした。

 しかしそれは、結果と引き換えにする程の善行だったのだろうか。

 もちろん見返りを求めて取った行動ではない。

 けれど結果を知っていたら、あの瞬間に体が動いたかどうか。

 朱は分からなくなった。

 以来ずっと考えている。

 もし次に、似た状況に陥ったら……。

 友人の窮地きゅうち躊躇ためらいを感じる自分が、たまらなく嫌だった。

 助けなければ良かった。

 時折そんな風にまで思ってしまう自分が、嫌で嫌で仕方なかった。

 朱は次第に周囲から距離を置くようになった。

 それでもしばらくは気に掛けてくれた。

 朱に救われた二人などは特に。

 しかし卒業し、学校が分かれる事もあってやがて疎遠そえんになっていった。

 露天商に出会ったのはそんな時だ。

 ――あの、この靴いかがですか?

 何という皮肉を口にするのだろう。

 ――とっても、似合うと思って。

 自分に靴?

 歩けない自分に?

 馬鹿にしているのかと思った。

 ふざけるなと叫んでやりたかった。

 しかし朱にとってこれが二度目の転機となった。

 どのような魔法か。

 その靴を履いた事で、朱の足は自由を取り戻した。

 とはいえ数か月使っていなかった足だ。

 初めは立つのもやっとで、歩行すら覚束ない状態。

 そんなものは何でもない。

 諦めていたものが戻ってきた。

 気が付けば滂沱ぼうだと流れる涙を止められもせず。

 以前の様に走り回れるようになるまで、それからいくらも掛からなかった。

 家族も朱同様足の回復に驚き、また喜んでくれた。

 しかし一方で、怪しげな露天商から受け取った靴に関しては黙っていた。

 得体が知れないという思い。

 手放せばまた元の不自由な生活に戻るという恐怖。

 この靴は何なのか。

 朱の疑問はそちらに向き始めた。

 それは、露天商探しの始まりでもあった。

 渡してきた本人に聞くのが一番早い。

 街に蔓延はびこる都市伝説を意識し始めたのは、あちこち歩き回るようになってからだ。

 やけに目にする彼らが引き起こす奇妙な現象。

 それらが自分の様な道具を持つ者の仕業だと気付くまで、時間はそう掛からなかった。

 確信を得たのはホルダー同士の戦闘を見た時だ。

 その日、朱は思い知らされた。

 自分達の道具は本来そう使うのだと。

 そして同時に、奪われる可能性も。

 力を付けなくてはならない。

 備えなければならない。

 不当な略奪に。

 とはいえ当時の朱にそれだけの力があった訳ではない。

 恐らくは最弱であったろう。

 出来る事と言えば空を歩く程度。

 逃げるにはいいかもしれない。

 だがそれで敵を退ける事は出来ない。

 このままではどうやっても戦いにならない。

 彼らとやりあうには、力も速さもない。

 そこで朱は、使い方を変えた。

 靴は履くだけが全てではない。

 これは完全に某妖怪アニメのリモ〇ン下駄から着想を得た用法だが、実に上手くはまった。

 自分で動き回るより小回りが利いて何倍も速い。

 より速く。

 より鋭く。

 より硬く。

 靴は次第にその原型を捨てていった。

 それから朱は、自分の脅威となりそうな芽を摘み続けた。

 手にした自由を二度と手放さぬために。




「じゃあ、佐倉が赤のスナッチャーなのか?」

「そんな風に呼ばれてる事も、割と最近になってから知ったんだけどね」

 正確には去年の末だ。

「あたしが教えてやったんだよ。朱はそういうの全然気にせず暴れてたから」

 だから今年に入ってから大人しいものだった。

 ほんの数日前までは。

「暴れてないよ。殆ど喧嘩の仲裁ちゅうさいみたいな事してただけだし」

「本当にそうならスナッチャーなんて呼ばれてないよ」

 三人はまだ屋上にいた。

 午後の授業には出ていない。

「二人はいつから組んでるんだ?」

「組んでないよ」

 七海ななみの否定に、朱もうなずいてみせる。

「必要がない限りはお互い干渉しない、ってのがあたしらのルール」

「だから七海が紫の仮面なんか付けてる事も知らなかったの」

「これでも周りの目は結構気にしてたからね。寧ろこの前聞かれた時はかなり驚いた」

『紫の仮面を被ったホルダーに心当たりは?』

 これは、からすから話を聞いた晩に朱が送ったメッセージだ。

「あの時は知らないって言ったくせに」

「見た事はないって言ったんだよ」

 自分が視界に入る事はないので、あながち嘘とも言えない。

「ずるい」

「そう。人はずるいんだよ。勉強になったね」

 七海は開き直った。

「なあ。吉成きなりは紫の仮面なんだよな?」

 雪村がまだ釈然としない顔で問う。

「何。仮面とマントでも付けないと納得出来ない?」

「いや、そこは信じるよ。ただ、話す気があるならちゃんと教えてくれ。これ以上はかなでさん達も黙ってないって分かったろ」

 それは七海も今しがた身をもって知った。

「…………」

 小さな嘆息たんそくを一つ。

「OK。何から話す?」

 七海としても、これ以上の逃走は望む所ではない。

「…………」

 期せずして開かれた門に、躊躇うような足踏みを見せる雪村。

「なんで、ホルダーを消して回ってる?」

「それに関してはあたしから訂正」

 七海の控え目な挙手。

「あたしは助けてる」

「はぁ?」

 サイコパスみたいな事を言い出した。

「え、人を道具に変えるのが救済って事?」

 朱が引き気味に問う。

 意味が分からなかった。

「違う違う。合ってるけど違う」

「どっち?」

「一部のホルダーを消して回ってるのはそもそも別にいるって事」

「聞いた事ないぞ」

「そりゃそうだよ。そいつは人を殺したホルダーの前にしか現れないからね」

「……どんな奴だ?」

「黒い犬だよ。それもかなりでかい」

「犬?」

 首を傾げるばかりの雪村と違い、朱には心当たりがあった。

「それなら、あの晩に白鳥も見たって言ってた」

 烏の所見では、両者は敵対関係にある様に見えたらしいが。

「何でそこに――」

 現われたのか。

 言いかけて、雪村は気付いた。

「あの、バットの?」

 それそれ、と七海が頷く。

「船橋ってんだけどね。あいつが病院送りにした今野は、結局助からなかった」

「あいつ、死んだのか?」

「それがあの晩?」

「危ないのは分かってたから、あらかじめ船橋の方を監視してたんだよ」

「もしかして白鳥が襲われるのも見てた?」

「最初からね。勝ちそうだったから見守っといたけど、最後に油断したね」

「助けてくれたんだ」

「それもあるけど、例の黒犬も出てきてたから」

「そいつは、殺人を犯したホルダーを殺すのか?」

「いや、食べる」

「食べる?」

「食べるって、もぐもぐ食べるの?」

「もぐもぐって形容はどうかな。食いちぎったそばから丸呑みって感じだから。しかもそいつに食われても血は出ないから痕跡こんせきも残らない」

 にわかには信じがたい話だった。

「それ、本当に犬なのか?」

 生き物の仕業というよりはホルダーの仕業という印象を受ける。

「誰かが犬に化けてるって事なら、あたしも前に考えたよ。でも違う。あれはそういうんじゃなかった」

「それを信じたとして、吉成とどう違う?」

「あれに食われたらおしまいって所。あたしは元に戻せる」

 元に戻せる。

 その言葉に、雪村が目を見開く。

「戻せるって、道具にした相手を?」

「そうだよ。道具にしてる間はなぜかあいつも反応しないからね」

 だから七海は助けていると言ったのだ。

「じゃあその黒犬をどうにかすれば、これまで道具にしてきた人達は元に戻すんだな?」

「悪いけど、それに関しては約束出来ない」

 否定の言葉に、雪村が眉をひそめる。

「何で?」

「あたしも全員を全員戻さないとは言わないよ。中には面倒なのに絡まれて正当防衛の末にやむなく、ってのもいる。そいつらは戻してやりたいよ。でもそれ以外は、あんただって年単位でホルダーやってりゃわかるだろ」

「それは……」

 わかる。

 ホルダー全員を無害と言い切れないのは確かだ。

 大半がいたずらで知名度を上げようとするだけに留まっている。

 だがごくまれに、悪質な犯罪の域に踏み込む者もいた。

「そんな奴ら、解放する必要ある?」

「それは――俺達が決める事じゃない」

「まとめて警察に突き出せば?」

 たとえ悪人だとしても、道具を持たねばただの人だ。

「道具を取り上げた状態で自首させても、何の証拠もないよ」

 かといって、一線を越えた相手に道具を返す訳にもいかない。

 何とかに刃物だ。

 出頭も、まず間違いなくしないだろう。

「まぁそんなのは本当に数人だけど、あたしはそいつらだけは元に戻したくない」

「だからって、ずっとそのままなんて」

 現状でホルダーを裁く事が難しいのは、雪村も重々承知している。

 だからといって七海の私刑を肯定も出来ない。

「……その話、一旦保留にしない?」

 真っ先に見切りをつけたのは朱だった。

「まだ問題の黒犬を処理出来た訳でもないんだし」

 何より、話が進まないと思ったからだ。

「あたしはそれでもいいよ」

「わかった」

 幸い異論はなかった。

「私からも七海に聞きたい事があったんだけど」

「何?」

「七海が道具にした物って、私達のみたいに能力があるの?」

 これは、七海が紫の仮面と確定した時点で気になっていた事だった。

 朱が知り合った頃の七海に、そんな能力はなかった。

「まさか。そんな事出来る訳ないじゃん」

「だよね」

「何で?」

 急にそんな事を聞くのかと。

「前に雪村君が、紫の仮面は道具を自作出来るって」

「雪村、デマ拡げんなよ」

「いや、でも実際沢山持ってるし、他人に渡した事だってあるだろ?」

「それは全部他人のだよ」

「他人のって」

 雪村は言葉に詰まる。

 ホルダーの道具は、本来は持ち主にしか使えない。

 しかし七海の言葉は、その前提を覆すものだったからだ。

「あたしらの道具は、持ち主が死ぬと別の奴が使える様になるんだよ」

「え?」

 真偽を問うような視線を、七海から朱へ向ける。

 ――お前も知っていたのか?

 雪村の目がそう告げていた。

「それ、私も初耳なんだけど」

 あくまでも自分は無関係、と弁解ついでに口をはさむ。

「別に、言う必要もなかったし」

 確かにその通りではある。

 知った所で道具を奪うため凶行に及ぼうという発想は、朱にはない。

「それに、こんな事知ってても実行は出来ない様になってるからね」

「出来ないって」

「出来てるじゃん」

 揃って怪訝けげんな顔。

「いや、さっき言ったろ。ホルダーが人を殺すと黒犬が出るって」

「あぁ」

 そういえば、と思い出す。

「あたしがやってるのは、言ってみれば残飯処理よ」

 聞こえは悪いが、得心はいった。

「加害者が消されるとなると、その場には二つの道具が残るのか」

 正しくはそこに死体もあるのだが、あえて触れずにそのまま進む。

「食われたホルダーの道具は?」

「使えるようになるよ」

 それは持ち主の死を意味する。

「吉成はそれを配ってたのか」

「そそ。使えそうなのは貰ってるけどね」

「あとわからないのは、その黒犬か」

「あたしが思うに、あの黒犬はホルダーの暴走を防ぐための安全弁だね」

「立場的には露天商に近いって事?」

「多分ね」

「だとしても、やりすぎだ」

 全員が全員、悪意を持って殺人に至る訳でない。

 それを問答無用で処分していくというのは納得出来なかった。

「気が合うじゃん」

 雪村のいきどおりを見て、七海が笑う。

「あたしもそう思ってるから、どうにかして倒そうとしてる」

「そこに関しては、協力してもいいと思ってる」

「そんな上から目線の協力受けたくないなぁ」

「ああ……えっ?」

 うつむきかけた雪村が、驚いて顔を上げる。

 まさかこの期に及んで拒まれるとは思っていなかったらしい。

 それもその筈。

 これは話もまとまった所を見計らった七海の悪ふざけだ。

「何か、感じ悪いね」

 面白そうだったので朱も真顔で便乗した。

「え、えぇ!?」

 雪村だけが真に受けていた。

「協力してもいいと思ってる」

 朱が雪村の声色を真似た。

「ないわー」

 半笑いの七海。

「ご、ごめん」

「雪村さぁ、もしかして主導権握った気になってイキっちゃった?」

「……はい、イキってました」

 悄然しょうぜんと頷く。

 その肩に手を添え、七海は優し気に問う。

「協力したい時は、何て言うんだっけ?」

「協力させて下さい……」

「そうだよ。言えるじゃん!」

 まるで大業を成したかのようにたたえる。

「雪村君、改めてよろしくね」

 微笑みながら差し出した朱の手を、雪村が嬉しそうに握る。

「うん。これからもよろしくな!」

「よろしくついでに頼みたいんだけどさ、ゆっきー」

「うん?」

「あたしらちょっと喉乾いたから、ジュース買ってきてくれる?」

「私達じゃ先生に見つかっちゃうから」

「あぁ、行ってくる!」

 そうする事が当然の様に、迷いなく校舎に消えていった。

 微笑みながら見送った二人が、唐突に真顔に戻る。

「これじゃ洗脳だよ」

「ちょろすぎて心配になるわ」



「二人は中学の頃からの知り合いなんだよな?」

 靴に履き替え、校舎を出る所で雪村が聞いた。

「うん」

「もしかして、それも道具絡みだったりする?」

「鋭いじゃん」

 今日は朱の他に七海もいる。

「いや、二人はタイプが違うから元々不思議だったんだよ」

「はあ? 性別は一緒なんですけど?」

「他に主張出来る共通点は無いのか」

 三人はあれから休み時間になると、何食わぬ顔で教室に戻って授業を受けた。

 その間、奏達への根回しも済ませている。

 諸々もろもろの情報は明日にでもまとめて報告するので本日中は静観を。

 雪村を間に置いた交渉は、その様に落ち着いた。

 なのでこそこそする必要は無く、放課後に堂々帰宅。

「昔は七海も大人しかったんだよ」

「吉成が?」

 雪村の顔が七海へ向けられて、また朱へと戻される。

「本当に?」

 全く信じていない顔だった。

「疑ってんじゃねーよ」

 ささやかな抗議に雪村の足を軽く蹴る。

「いや、疑っては……いるな。ごめん」

 信じられるものなら信じたいという顔。

「今の七海しか知らないと想像出来ないかもね」

「写真とかないの?」

「ねーよ」

「私もない。一緒に遊んだりした事もなかったし」

 その関係は、疎遠とさえ言えたかもしれない。

「卒業アルバムとか」

「その頃にはもうこんなだったよ」

「おいおい大人しい七海ちゃんに興味津々か?」

「いや、そりゃ気になるよ」

「後ろの髪は今よりも短かったけど、前髪は長かったよ。目が隠れるくらいあった」

「懐かしいなぁクソザコ根暗時代」

 自虐の割に表情は晴れやかだった。

「ホルダーとしての出会いって、聞いてもいい?」

「構わんよ」

「私が靴を回収する所を七海に見つかっちゃって」

「中一の冬だっけ?」

「確か冬休み中だね」

「何でその時組まなかったんだ?」

「あー、あたしは組もうって言ったけどフラれた」

 互いにホルダーである事を知っている以上の関りは持たない。

 それが当時朱の提示した条件だった。

 だから朱にとっての吉成七海は、ずっと傘を使うホルダーでしかなかったのだ。

「昔の朱も朱で結構ツンツンしてたしね」

「佐倉が……?」

 意外そうな顔で朱を見る。

「それも、あんまり想像出来ないな」

「自分では今とそんなに変わらないと思うけど」

 言って小さく肩をすくめる。

 実際の所、一人でいたいというのは今も変わりない。

 乗り掛かった舟でこうしている部分が大きい。

 この一件に方が付けば再び隠居予定だ。

 朱が距離を置きたいといえば皆そうしてくれるだろう。

 ともあれ、今は黒犬が優先である。

 あまりにも得体の知れない相手だ。

 脅威となりそうなものは排除する。

 それが朱の指針である。

「そういえば、七海は黒犬をどこで知ったの?」

 出現条件を聞く限り、まず遭遇する事のない相手だ。

「初めは人づてに聞いた噂話だよ。馬鹿みたいにデカイ犬がいるって。それがまさか人を食う化け物だとは思ってなかったけど」

「教えてくれた人って?」

「昔組んでた人だよ。もういないけど」

 もういない。

「――そう」

 食われたか。

 七海が黒犬を追う理由は、そこにあるのかもしれない。

 朱も雪村も、それを察して口をつぐんだ。

「……なあ吉成」

 頃合いを見計らう間を置いてから、雪村が。

「俺も聞きそびれてた事があるんだけど」

「何。観念した七海ちゃんは今日に限り何でも喋るよ」

「何でも」

 何でもは喋らないだろう、と端から期待していない冷めた顔。

「吉成の道具に変えたホルダーの中に、常盤ときわって人はいるか?」

「いないよ」

 思い返すような間のない即答。

「本当に?」

 少しは考える素振りを見せてくれと言いたげに。

 蚊帳かやの外にいる朱ですら冗談かと思った程だ。

「本当だって。そんなビッグネームがいたら、嫌でも記憶に残ってるし」

 尻すぼみに声を落とし、言い淀む様な素振りを見せてから。

「一応、面識もあったし」

 なおも躊躇いがちな顔。

「吉成が、常盤さんと?」

 思い切りの悪さに、朱は昔日の面影を見た。

 昔の吉成七海は、丁度こんなだった。

(その人と何かあったのかな)

 雪村は驚くばかりで気づかない。

 気になるが、言いづらいなら無理には聞かない。

「有名な人だったの?」

 朱が話題を変えようと、それとなく水を向ける。

 以前雪村の言っていた恩人の事なら、少なからず興味があった。

「緑衣の鬼、って言えばわかる?」

「何それ。江戸川乱歩?」

 少年探偵シリーズはよく知っている。

 友人が皆無と言えたその当時、好んで読みふけっていた。

「元ネタはそっちらしいけど、緑衣の鬼を自称するホルダーがいたんだよ」

「全身緑なの?」

 まさか原作通りとはいかないだろうと思いつつ。

「割と緑だったね。見た事くらいあるんじゃない?」

「あるかなぁ」

 いまいち心当たりはないまま公園に到着。

「今日はこっちね」

「白鳥と待ち合わせしてるんだっけ?」

「うん」

「いつもここで会ってるの?」

「コンビニだったりもするけど、今日は向こうから指定してきたから」

「通り魔事件が起こってるから、あっちの学校もピリピリしてるのかもな」

 昨晩の話である。

 表向きは烏が暴漢に襲われた事件とは別に、新たな通り魔が出現していた。

 船橋兆慈ちょうじの鈍器に対し、こちらは刃傷沙汰。

 幸い死者は出ていないが、背後から斬りつけられた少年は重傷だという。

 目撃者はおらず、当然犯人も捕まっていない。

 世間的にはバットの犯人を疑う声と、模倣もほう犯を疑う二つの声に分かれている。

 朱達だけが別人である事を知っている。

 道具を持たない一般人か。

 あるいは暴走するホルダーか。

 後者が今後も事に及んだとして、被害者が次も生存する保証はない。

 もしそうなれば、黒犬の犠牲者が更に一人増える。

 直接的な被害にはあっていないが、朱達の学校も今日は部活動は休止だ。

 烏は以前と変わらず噴水広場のベンチに腰掛けていた。

 朱に気付いたのも束の間、見慣れない七海の姿を認めて眉根を寄せた。

 ――その人は誰?

 表情が雄弁に語っていた。

「おまたせ」

「いや、そんなに待ってないけど」

 尚も紹介を求める目配せ。

「この子は……」

 咄嗟とっさ逡巡しゅんじゅんが、続く言葉を止める。

(なんて説明しよう)

 烏が紫の仮面に抱く恐怖心が尋常でない事は、朱も重々承知している。

 そんな相手に不意打ち気味の宣告をしていいものか。

 迷っていると、七海が烏の横に座った。

「えっと……」

 困惑の烏に対し、微笑みながら口の前に人差し指を立てる。


 静かに


 それを見て、烏の顔から血の気と表情が引いた。

 次いで、朱に助けを求めるような視線。

「いや、大丈夫だから」

 どの程度安心出来るか知らないが、それ位しか言えなかった。

「そう。大丈夫だよ」

 烏の肩に手を回して、優し気に言い聞かせるようにささやく。

「あたしは吉成七海。朱の友達。よろしくね」

 一方的に言って手を差し出す。

「ひ」

 まるで刃物でも突き出された様な反応。

 さながら猛獣の身じろぎにすら怯える小動物。

「あたしとは握手したくない?」

「いえ、あの。ごめんなさい」

 震える手をゆっくりと持ち上げて弱弱しい握手。

「そんなに怖がらないで」

 七海が、子供をあやす様な口調で告げる。

「あの夜折角助けてあげたのにとか、あんたが朱に話さなければあたしの正体がバレる事もなかったのにとか、絶対に許さないから覚えておけとか」

 一旦言葉を切ってから、莞然かんぜんと告げる。

「そんな事全然思ってないからさ」

「あ……あ……」

 半開きの口で青ざめて震える烏は、このままいけば失禁しかねない有り様だった。

 このままでは話どころではなくなる。

「七海、その辺にしてあげて」

 見兼ねた朱が割って入る。

 それから雪村に頼んで七海を別のベンチへ隔離かくり

 張り詰めた糸が次第にゆるみだし、烏の身から力が抜ける。

 まるで空気が抜けてしぼんだ風船だ。

 そして改めて七海を紹介。

 まず、紫の仮面で間違いない事。

 本当は無害である点を強調しつつ昼の出来事を説明。

 それでも一度芽生えた恐怖は容易にぬぐえず、烏の態度は終始余所余所よそよそしいものであった。

「本当に、危険はないの?」

「平気だよ。ああ見えて割と大人しい生き物だから」

 人間に対する評価ではなかったが、烏からして怪物扱いなので支障はなかった。

「問題はどっちかって言うと、白鳥が見た黒犬の方なんだけど」

「あれ、見間違いじゃなかったんだ」

「残念ながらね」

「でも普通にしてれば会う事はないんだよね?」

 今後は件の黒犬を駆除しようという話なのだが。

「まぁ、そうなんだけど」

 既に腰が引けている烏には言いづらい。

「そういえば、そっちの学校はどう?」

「どうって?」

「昨日の夜にまた通り魔が出たでしょ」

「あぁ。そのせいでこっちは放課後の居残りが禁止になったよ」

 そこは朱達の学校と同様の対応だった。

「あと複数人で帰るようにとか、臨時で何人か警備の人が通学路に立ってくれてる」

「複数で、って」

 烏は一人だ。

「途中まではね。公園の手前で別れたの。犯人は別だけど私も被害者の一人にカウントされてるから、先生達も結構うるさくて」

 対策を事前にどれだけ講じても、事が起これば過失とされる。

 学校側も慎重になってなりすぎるという事はないだろう。

「あのバットの――船橋に殴られたって先輩は平気?」

「完治まではもう暫く掛かるけど、後遺症が残るような事はないって」

「……よかったね」

 肉体的な損害が全てではないだろうが、治るに越した事はない。

 かつて障害を負った朱などは特にそう思う。

 心的外傷も考慮するなら、犯人はもういない事を教えてやりたい。

 少しでもそれで救われるのならば、すべきだろうと朱も思う。

 しかし一体どれだけの人間が信じるだろう。

 悪い事をした犯人は指輪に変えられてしまいました。

 これではまるで童話のオチだ。

 幼児をあやすのとは違う。

 慰めるにしても他にやり方があるだろうと人格を疑われかねない。

 だからといってホルダーの事を一から教える訳にもいかない。

 必然的に傍観ぼうかんを余儀なくされてしまうのだ。

 何より、犯人が一人減ったところで現行の通り魔は健在である。

 今後も事件が続くとしたら気休めにしかならないだろう。

「今騒いでるもう一人の犯人だって、何日かすれば――」

 烏は言いかけて、唐突に七海の方を見る。

 かと思ったら再び朱に戻す。

「もしかして、あの人と通り魔探しをしようとしてる?」

 愕然がくぜんと問う。

 今後の方針はまだ話していなかったが、七海の事情から察したらしい。

「うん。まぁ」

「駄目だよ」

 うなづかせまいとさえぎる。

「だって、殺されるかもしれないんでしょ?」

「だからって見過ごせないよ」

「別に、朱ちゃんがやらなくたって」

「これは自分の為でもあるから」

 強制されてやるのではない。

 その牙がいずれこちらに向けられる。

 朱の危惧はそこにあった。

 今は違うという事が、明日には変わる事もある。

 この先の身の安全の確たるを、請合うものは何一つない。

 自分達は黒犬という存在をあまりに知らなすぎる。

 七海ですらも掴んでいるのはごく一部。

 静観を決め込む事が一概に賢明だとは限らないのだ。

 七海は私怨。朱は保身。

「それにさ」

 それぞれ事情は異なれど、黒犬の討伐という目的は一致している。

「情報を共有するためにここに来てるんであって、別に白鳥の許可を取りに来てる訳じゃないんだよ」

 少し言い過ぎただろうか。

「そこ分かってる?」

 躊躇いながらも念を押す。

 だがこうするしかないのだと、強いて自分に言い聞かせた。

 黒犬を追う危うさは、言われなくとも理解している。

 だからこそ余計な人間は巻き込めない。

 烏とも、喧嘩別れになるくらいが丁度いいと思った。

「――分かった」

 言って烏が立ち上がる。

(怒ったかな)

 後ろめたい気持ちで見上げる。

 烏は朱に目もくれず歩き出した。

「え」

 そのまま帰るのかと思った。

 しかし違う。

 その足は、離れたベンチに座る七海達の元に向かっていた。




「あたしあの子嫌い」

 話し込む二人を見ながら七海。

「え、何だよ急に」

 困惑の雪村。

 離れるや否や悪口だった。

「何か可愛いし」

「嫉妬かよ」

 呆れる。

「あんな可愛いから朱とすぐ友達になれたのかな」

「吉成だって友達だろ」

「今はね」

 雪村の言葉に肩を竦めながら。

「あたしが知り合った時は取り付く島もない感じだったよ」

「それは……よくわからないけど、最初の出会いが良くなかったとか?」

「あの子と同じだよ」

 つまりは敵として。

「最悪じゃねーか」

「でもあの子は傍にいる事を許されてる。あたしなんか連絡のやり取りはスマホだけで、学校では絶対に話し掛けるなって言われてたのに」

「今は平気だろ。心境の変化とかあったんじゃないか?」

「一緒に登下校も許して貰えなかったし」

「今なら許して貰えるって」

「こんな事なら、白鳥もあの晩に船橋と一緒に道具に変えるんだったな」

「あんまり言いたくないけど、そういう所が佐倉を警戒させてるんじゃないか」

「まさか」

 鼻で笑う。

 面白い事言うなこいつ、みたいな顔。

「どこから来るんだよその自信は」

「まぁ、どっちにしても暫くは朱を独占出来るからいいけど」

 七海は、その点だけは確信していた。

 追う相手は黒犬である。

 自分程度を怖がっているお嬢様に、ついてこられる世界ではない。

 それでなくとも犠牲は避けられない形となっている。

 黒犬を誘き出すには、必然的にホルダーから殺人者を出さねばならない。

 最低でも一人、見殺しにする必要がある。

 これだけはどう言い繕おうとも揺るがない。

 余程の理由がない限り、進んで関わるべきではない。

「けど実際の所、上手く事が運んだとして、俺達だけで黒犬を倒せるのか?」

 その懸念も、わからないではない。

「さあ?」

「さあって……」

「悪いけど何も保証はしてやれないよ」

 七海自身、黒犬についてそれ程多く知っている訳ではない。

 他人より長く追っているだけだ。

 その戦力に関しても、未知の部分が多くある。

「ただ、折角朱を引っ張り出したんだから、負けるつもりはないよ」

「引っ張り出した?」

 まるでそう仕向けたような言い方に、雪村が眉を寄せる。

「しまった」

 慌てた様子もなく。

「もしかしてまだ何か隠してるのか?」

「朱にチクんなよ?」

 口元に人差し指を翳しながら。

「でも引っ張り出したって言うと語弊ごへいがあるかな。殆ど偶然の勢いに乗っただけだよ」

「具体的にはどこから?」

 七海の主張など、話半分にも聞く気がなさそうな半眼。

「朱があんた達にホルダーとして認知された所から」

 相手が黒犬である以上、共闘は避けられない。

 しかし朱の性格では絶対表に出てこない。

 誰とも組まない。

 昔の朱は、他者にホルダーと知られる事に強い忌避きひ感を抱いていた。

 それこそ病的な程に。

 当時ホルダーとしての朱に遭遇したのはそれこそ偶然だったが、その時は口外すれば殺すとまで言われた。

 まずはその壁を破る必要があった。

 他のホルダーに周知させれば、変節を促すくらいは出来る筈。

 起こす変化は僅かでいい。

 きっかけがあれば人は変わる。

 だから七海は、黒犬を調べる傍らで得た道具を配りもした。

 ホルダーの母数が増えれば、それだけ朱を巻き込む確率が上がる。

 表向きは良き友人として警戒を促しつつ、着々と仕掛けを施していった。

 その努力も、結局は実を結ばなかったのだが。

 烏は勿論、船橋や今野も露天商から道具を受け取ったホルダーだ。

 元々かなりの部分を偶発性に頼っていたので、これは仕方がない。

 とはいえ一応望む結果にはなったのだ。

 七海としても不満はない。

「でも、朱があんた達とここまで仲良くなるとは思ってなかったよ」

 雪村はともかく、烏は完全に予想外だった。

「この状況はあたしにも都合がいいから、別にいいんだけど」

 でなければ烏を助ける時、わざわざ自分の道具を見せたりしない。

 その情報が朱に伝われば、すぐに気付く。

 そこまで行けば朱と手を組む事は比較的容易いと踏んでいた。

「何でそこまで佐倉に拘るんだ?」

「そりゃ、あの子が一番強いから」

「随分評価高いんだな」

「雪村だって屋上で見たろ。先輩二人を瞬殺したの」

「何が起こったのか、よくわからなかったけど」

 実際一瞬だった。

「そこだよ。怖いのは」

 人差し指で虚空を叩く仕草。

「あの速さで機械みたいな精密さで動くんだ。あんなの目で追えても体が付いてこない」

 反応出来なければ避ける事も防ぐ事も出来ない。

 そしてその速度は、以前七海が見た時よりも増していた。

「似たような事をしてるホルダーも見た事あるけど、大人と子供くらいの差があった。周りの県をひっくるめて見ても、間違いなくあの子が最強だよ」

 朱がいても負けるなら、誰がいようと勝てはしない。

 朱一人に頼り切るつもりもないが。

「え、そんなに遠くまで把握してるの?」

「少しでも強いホルダーがいるに越した事はないからね」

 結局いなかったんだけど、と肩を竦める。

「吉成の選別基準は知らないけど、奏さん達は呼ぶぞ?」

「あの二人なら大歓迎だけど、あたしについての誤解はちゃんと解いておいてよ」

「誤解って?」

「あたしについての間違った評価だよ」

 雪村が、少し考える素振りを見せてから首を捻る。

「……たとえば?」

「小心者で逃げ癖があるとか、自己中心的で腹黒いとか」

「あの、吉成……」

 言いにくそうに眉を寄せ。

「それ、全部事実だ」

「だとしても」

 拳を握って力説。

「最後に良い奴って付けとけば誤魔化せる、だろ?」

「どう考えても一言で覆せる情報量じゃないだろ」

 冷静に切って捨てる。

「なんなら胸揉ませてやってもいいから」

「いや、いいよ」

「あたしの胸じゃ不満てか?」

「そんな誰の胸でもホイホイ揉みたがる奴いないって」

 呆れ顔。

「ほんとに? 今を逃すともう揉めないかもしれないよ?」

「希少価値をチラつかせても変わらないよ」

「でもそれが白鳥の胸だったら?」

「他人の体を許可もなく売ろうとするな」

「いやぁ、あの子はあたしが仮面付けて脅せばその位はすると見たね」

 得意げに頷いて見せる。

「なら遠慮なくって言うと思ったか?」

 雪村の七海に対する評価に、新たな項目が加わった。

 クズという項目が。

 そんな話が聞こえた訳でもないだろうが、離れたベンチに座っていた烏が立ち上がって近づいてきた。

「ほら。ご褒美がきたぞ」

「言い方」

 歩み寄る少女の顔には、依然怯えの色が濃い。

 逃げ出したいのを気力で抑えているという面持ち。

「どうしたの?」

 あえて優しく問い掛ける。

「私も、黒犬を探すの手伝います」

 決然と、しかし足の震えは収まらず。

 それを見て、七海はあえて微笑んだ。

「あ、ほんとに。嬉しいな。助かるよ」

 遅れてきた朱が、烏の背後に付く。

 張り付けたような笑顔が、そこを境に剥がれ落ちる。

「なんて、言うと思った?」

 冷然と告げる。

「雑魚はお呼びじゃないんだよ」

 唾でも吐きかねない口調。

 ――言い過ぎだろ。

 そんな、批難めいた視線が朱と雪村から注がれる。

「お呼びじゃなくても手伝います。邪魔なら力ずくでどかして下さい」

 安っぽい挑発。

 視線を落とすと、笑いっぱなしの膝が見えた。

 虚勢というにはあまりに弱い。

 張りぼてにすらなっていない。

 せめてもう少しうまくやれと言いたくなる。

 気が抜けた。

「しょうがないにゃあ」

 どちらでもいい、というのが正直なところだ。

「いいよ」

 危険だと知っていながら引かぬなら、もはや止めても無駄だろう。

 かたくなに拒む理由も特にない。

「ほん、とうに?」

 見開く瞳に浮かぶのは、喜びよりも困惑の色。

「あんたのガッツに免じてね」

 ウインク。

 気安げに。

 それを見て、烏が嬉しそうに朱と顔を見合わせる。

 すぐに七海に戻して。

「ありがとう」

 微笑み。

 安堵と感謝、恐らく両方からの。

 七海は苦笑気味に肩を竦める。

 別に礼を言われる程の事ではない。

 どうせ、ここから先は全て自己責任だ。

 そしてその晩、早くも通り魔による二人目の犠牲者が出た。


ここで半分かと思ったけど前回が丁度折り返し地点だったのかもしれない・・・

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