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フェイクヘイズ  作者: 東雲退
悪意と善意
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対価と代価

側面と断面、そして立方。

そもそも、人という生物は残酷で優しく醜くて美しい物なのだろう。人は自分の生きた時間をどれだけあっても重複して生きる事も出来ず、人が、人以外になる事は不可能です。人としての生物本能はそれぞれありますけども、やはり、どうしても人という領域から抜け出せない。


しかし私は二度か三度、それから成り上がる事が出来た(或いは成り下がったと言う)モノを見た事が有ります。この度はそれをお題に話させてもらいます。

それと出逢ったのは約30年以上前の事です…


その時は世界中で未曾有の大災害が起こっていました。

あらゆる天変地異が起き、人々に為す術など全くありませんでした。それにより人々は次々と死んでいき、地球全体の人類の約1/2を失いました。

また、謎の"伝染病"も流行し、まともに動ける人間も少なくなり、人類は約30億人程までに減少しました。

そしていくつかの国家が、この危機に対して打ち出した極秘計画が『異星計画』です。

『異星計画』とは地球を全く異なるモノに作り変える計画でした。しかしこの計画は成功せず、失敗すらせず、国家の首相達も考えつかなった最悪の結果を導き出します。


この計画の段階には"異世界"からの技術を使う行程がありました。"異世界"と言ってもファンタジー世界等ではなく科学的に進歩した"未来"の事を異世界と指しています。ただ、人類が次々と消えているその現状では科学的に進歩した未来なんてものは寝てみる夢と等しい物でした。しかし、唯一それが実現出来るかもしれない物質がありました。超高速で動く未発見粒子「タキオン」です。未発見であるのにも関わらず、理論上は存在すると言われている物に人類は未来を賭けました。それさえあれば人類は衰退するどころか、むしろ進化する事が出来ます。新たな物質、新たな地形、新たな生命体、新たな価値観、新たなる星…

何も失う事の無い平穏で進化し続ける世界を作る事が出来るかもしれません。

人類はたった1つの見えない希望に全てを賭した。凡ゆる手が使われ、時には想像を絶する恐ろしい実験も行われました。

何故か、実験中に逃げ出した科学者は1人もいなかったという…


そして災害発生から15年後、1人の人間に一都市の人間全員が注ぎ込まれました。そして、その人間はこの世界を確かに変えた。ただし、その人間は人を喰らうただのバケモノでした。もはや、人とは呼べないのでしょう。この皮肉とも呼べる人間が出した答えの式。それを考案したのは実験中に作り出された生命体でした。その生命体には名前が無い。


その時、人類は確かに進化していました。

新たな生命体を生んでいたのですから。


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