マコトから出たウソ
人らしい。
それは多分人なのだろう。
"俺"は視覚情報全てを持っていかれた。そんなイカれた状況をどう打破すれば良い…
ー昔からそうだ。
私はいつもいつも何か大切な物が見えなくなる。あの時も、その時も、この時も。何か大切な物さえあれば私はそこへ立ち向かって行けるはずなんだ。どうしようもない、不甲斐ない、分かち合えない、知り得ない、認められない。
戦えない。
何も見えなくなってしまった私は一体全体どうすれば良い?
正直なところ、こんな力があったところでそれを振るうだけの器なんて私には無かった。そんな事分かってた。さっき私の目が何も捉えられなくなる瞬間相手の力に目星はついた。
だからと言って今の私にそれを撃ち抜く照準なんて無い。
この力は弾丸である。けれども銃弾の様に撃ち抜く技ではない。
撃ち抜く"規則"を不当な"規則"とし、また撃ち抜いた事実を正しい"規則"に塗り替える物だ。
分かりやすく言えばこの弾丸は相手を認識しなければならない。本体、位置、様子、多少の情報、大まかな角度。そして最も重要な力は迷いを無くす事。
だから今の私にはこの弾丸を放つ器になっていない。ただ引き金を引くのとはわけが違う。私には…あの頃には戻れない。そしてこの時にいる資格も無い。
もう…私には…
「オイ!お前の弾丸はまだ使えるか!?」
うるせえ…
「もし撃てるなら返事しやがれクソアマァ!」
チッ…
「もしあいつを倒したら何でも一つ、俺に出来る事だったら何だったしてやる!だから、あいつをぶっ倒そうぜ!なあ!起きやがれエエエエエエエ!」
ん?
「俺はお前にとってのヒーローでも敵でもない!だから自分の事は自分で決めろ!お前には光も影も優しさも乱暴も何でもある!ならそれを全て認めろ!否定しろ!理解せずに!お前は何も背負っていない!ただ少し汚ねえ背景が見えるだけだ!ならそれを全てひっくり返せ!真実でも嘘でも何でも良いだろう?だから選択肢を選ぶ事を選べ!まだ行けるまだ戦えるまだま…」
「今何でもするっつったなあ?乗った!その言葉忘れんじゃねえぞ?」




