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プール

 明日は仲のいい友達とプールに行く事になった。




 親友の『たけし』のお父さんが経営しているらしく、僕たちだけの貸し切りだ。




 前から気になっていたあの子も来るらしい。




 もう夜の11時だと言うのに、胸が高鳴って眠れない。




 なぜなら、僕は明日あの子『みか』に告白するからだ。





 ◇




 翌日、プールは貸し切りということもあり、みんな大はしゃぎで遊びまわった。




 ふと気づくと、たけし達はどこかに行ってしまったらしい。




 どうしよう。今はみかと二人きりだ。




 これはチャンスなのか。でも、まだ、心の準備ができていない。




 ふと、僕はみかを見る。




 すると、みかも僕を見ていたようで二人して視線をそらし始めた。




「あっちいけよ」




 僕はみかにそう吐き捨てた。




 するとみかも、




「あんたがいきなさいよ」




 と言った。




 どうしようもなくなった僕はプールの水をみかにかけた。




 すると、みかも僕に水をかけ返してくる。




「やめろよ」




 と、僕が言うと




「あんたが最初にかけてきたんでしょ」




 とみかが言った。




 次の瞬間、みかの肩に、水をかけようとした僕の手が触れてしまった。




「「あっ」」




 二人とも動きを止め、見つめ合う。




 今だ。




 僕はついに告白を決意する。





「「あの」」




 二人の声が重なる。




「あんたが先にいいなさいよ」




「お前こそ言えよ」




「もう、知らないっ」




 みかはその場から離れようとする。




「ちょっと待てよ。お前のことが好きなんだ」




「もう、前からずっと好きだったのに」




「「えっ?」」




 セミの声が二人しかいないプールに鳴り響いている。




 長い長い僕の夏休みが、二人だけの静寂と共に始まりを告げた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] すてきで楽しそうな時間ですね。ありがとうございます。
2019/11/07 00:34 退会済み
管理
[良い点] 恋が始まる瞬間を切り取った作品ですかね。 超短編なのに世界観がしっかりしてるし、面白かったです。 ごちそうさまでした!
[良い点] 短いお話なのにそのシーンが浮かぶ素敵な内容でした。 語り過ぎない口調が、戸惑いを生み、青春らしい輝きになっていると思いました。 ため息がでました♪ 初恋ですね♪ [一言] 読ませていただ…
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