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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役令嬢? 婚約破棄? ......そんなものありませんでした

作者: うらん

よくある乙女ゲーっぽい世界の話です。

────学園の入口の桜並木、今は葉桜になってしまっているそれから、残っている桜の花びらがひらひらと風に乗って舞う。

────その並木道の中程に、こちらに背を向けて立つ少女が1人。

────彼女はゆっくりと振り返り、こちらに向かってヒロインにふさわしく華やかな笑顔を見せた。

────そして────


「リヴェリアさんっ! 今から帰るところですか? 私もなんです、一緒に帰りましょう!」

「し、しょうがないですわね。......家に新しい紅茶がありますの、飲んでいかれる?」

「はいっ!! ぜひ!」


────おおよそ世で言う所の悪役令嬢にしか見えないであろう私に、そう声をかけた。






私は前世という物を信じています。

それは、自分自身が転生者だから......ではなくて、私の弟がそう言っているから。

弟はかわいい。かわいい弟の言うことを私は信じる。つまり前世はある。

完璧な理論ですわ。

......こう言うと弟には複雑そうな顔をされるのですけれど。


そして、かわいい弟に私は婚約破棄ものという小説を教えてもらいました。

なんでもその小説では意地悪な令嬢がヒロインをいじめたり、逆にいじめられたり、なんだかんだで婚約破棄されたり、したりするらしいのです。

......よくわかりませんが、弟も「前世も男だったからちゃんと読んだことは無い」と言っていたので仕方がありません。


なんでも私はその婚約破棄ものの悪役令嬢っぽいのだとか。

だから弟にはヒロインや攻略対象に関わるな、と言われていたのですけれども......。





現実に意識を戻すと目の前には可憐な少女の笑顔が。

「リヴェリアさん、この紅茶美味しいですね!」

「そう? よかったわ、気に入ったならまた飲みにいらっしゃい」

......ヒロインと仲良くなっている。

おや? 弟によるとヒロインと悪役令嬢は仲が悪いのでは?

「ねえ、私とあなたってお友達よね?」

「もちろんですよー! 私の1番の親友はリヴェリアさんですよ?」

「ふふ、嬉しいわ」

あら? あらら?

普通に仲良しよね? これ。

もしかしてこの子はヒロインじゃないのかしら?

でも弟はヒロインの周りには権力者やその息子がずらっといるものだと......。

それには当てはまっているのですわ、だってこの子の周りには王太子、王弟、王子、次期公爵、近衛騎士、とずらっと権力者とその息子が。

まあ、私の婚約者では無いのですけれどね、もしかしてそのせいで悪役令嬢役から外れているのかしら?

そう、弟はこう言っていました。

『悪役令嬢の婚約者をヒロインが奪う』と。

......婚約者がいないなら奪えませんものね。



「......ふふふっ」

「リヴェリアさん? どうしたんですか?」

「いいえ、お茶のおかわりはいかが?」

「いただきますっ!」






────数年後、ヒロインが周りの男達の告白を断って、私に告白してくるとはこの時の私は思ってもみなかった。

悪役令嬢っぽい人は実は乙女ゲーの女性攻略対象でした。

このあとは百合ルートか友情ルートかになります。

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