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辺りは血の色。空は漆黒。
焦土と化したこの世界の中心には一体の異形と一人の少女。
異形は血を吸い尽くし、限りなく黒に近い紅で染められた数々の木の幹を体に纏い、元が人間であったとは思えないような姿である。
少女はそれとは対照的に純白のワンピースを身に纏い、じっと異形を見つめている。
「あなたがそれを望むなら」
少女がその言葉を発したとき、異形の手は彼女の首をがっしりと捕まえていた。
宙に浮いた少女の体は徐々に異形の色に染まっていく。
染められた体はもう用済みであるかのように投げ捨てられ、かすかに吹く風に煽られると灰のように消えていった。