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おひさまのばんそうこ  作者: あらうさ(´Å`)
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第36話 火山島の死闘 第37話 最終話 邂逅

ーーー36話、火山島の死闘ーーー 


ドォン!


爆音と共に戦いの火蓋は切って落とされた。


まず先手をきったのはトトだった。

火口内部であることを利用して火の上位精霊を呼び出したのだ。


またたく間に3分の1の工作員が炎に包まれる。


次になのよが爆裂花で工作員を蹴散らす。

爆発に巻き込まれた工作員達が悲鳴を上げ吹き飛ばされる。


最後に戦意が完全に崩壊した工作員達の群れにセカイノが突っ込む。


工作員達の腹や頭に拳や蹴りを叩き込む。


次々と倒される工作員達にもはや反撃の機会は無かった。


「やれやれ。栄光ある東の大国の工作員の質もここまで落ちるとはねぇ」


 工作員達の背後から唐突にそうはっきりした声が聞こえた。


次の瞬間、


火の上位精霊を操っていたトトが巨大な氷のハンマーに吹き飛ばされた。


「トト!」


 セカイノが叫ぶ。


「次は君だよ」


 複数の工作員を相手にしていたなのよの足元から巨大な氷の槍が飛び出す。


なのよは背後に飛んでそれをかわそうとしたが、かわしきれなかった。


そのまま背後に飛ばされ火口の壁に叩きつけられる。


「なのよ!」


 セカイノが駆けつけようとしたが、足元から氷の壁がせり上がり、二人を分断する。


「次の相手は君だよ」


 セカイノの背後に金髪の青年が立ち塞がる。


「ようやく骨のある工作員が出てきたじゃねぇか」


 セカイノは笑う。


「はじめまして。今回の作戦を指揮する指揮官のミハエルです。そしてさようなら」


 セカイノの足元から巨大な氷の槍が突き上がる。セカイノはそのまま上空に突き上げられる。


「数々の工作員達を退けたと聞いていたから少しは期待していたのに、とんだ時間の無駄だったね」


 ミハイルは背を向ける。


「そうかい」


 背後からかけられたセカイノの声にミハエルはぎょっ、とする。


セカイノは巨大な氷の槍のてっぺんに立っていた。


「馬鹿な、確かに貫いたはず!」


「お前さん、甘いんじゃないのかい?」


 セカイノは氷の槍を蹴り、一直線にミハエルに飛び蹴りを仕掛ける。


ミハエルは間一髪でそれをかわす。


ミハエルは顎の汗を拭い、


「少しはやるじゃないか。じゃあ僕も少し本気を出そう」


 ミハエルは両手を地面につけ、


「くらえ!氷結煉獄槍!」


 ミハエルの半径50メートルの地面から無数の氷の槍が飛び出す。


「今度こそ仕留めた!」


「そうかい」


 声はミハエルの上空からした。


「真上ががら空きだぜ」


「なっ!」


 セカイノはミハエルの背後に着地すると、そのままミハエルにバックドロップを仕掛ける。


ミハエルは背後の氷に叩きつけられ、倒れる。


「まだまだだな」


「馬鹿な・・・お前は一体・・・」


 ミハエルは気を失った。


「やれやれだぜ」


 セカイノはなのよとトトの元へ向かう。


「大丈夫か?」


 セカイノは二人を集め、目を覚まさせる。


「う、うーん・・・はっ!セカイノさん!工作員は!?」


「倒した」


 セカイノの返事にトトは目を丸くする。


「えっ?倒した?僕を軽くあしらったあの氷の能力者を?」


 セカイノは軽く笑う。


「ああ」


 トトはため息をつき、


「どこまで規格外なんですかあなたは」


 言うと腰を上げ、


「他の工作員は?」


「指揮官が倒れるとみんな逃げたよ」


 トトは周りを見回す。


「そうですか・・・これで神殺しの武器の製作にはいれますね」


 トトは両膝をはたき、


「なのよさん、大丈夫とは思いますが、僕が武器を作る間、周りを見張っていてください」


「わかったのよ」


「セカイノさんは休んでいてください」


「ああ」


 そう会話すると、トトは武器の製作にはいった。


ーーー37話 最終話 邂逅ーーー


「来やがったな」


 セカイノの前に光が集まり圧倒的なプレッシャーを与え始める。そして意思の伝達が大気を震わす。


「以前と違うな。扉を開いたか」


「相変わらずだな。自称唯一神さんよ」


「私を自称と称するか」


 空間をも揺るがす振動。


 しかしセカイノは笑みを浮かべる。


「あんたは今現在で自他共に認められてると思ってるのかい?」


 セカイノはあごに手をやる。


「この宇宙で、人が男と女に分かれたわけを、他人が生まれたわけを、違う意見を持つものが存在するわけを、他者の意見を認めないあんたは、もうそろそろ理解する段階に来てるんじゃないかい?」


 自称唯一神は少し間を開ける。


「何故私の邪魔をする」


「あんたがでしゃばり過ぎるからさ」


 セカイノは帽子を整え、


「あんたが前に出すぎると、赤子が自分で立って、歩き出すことが出来ねぇのさ」


「私は人を導いてきた」


「確かに」


 セカイノは認める。


「あんたは思いの強さから人に自分の考えだけを押し付けただろう?人から自分で考える力を奪っただろう?」


 セカイノは自称唯一神を見据える。


「理解は愛さ。見て、聞いて、触れて、考えて、感じる」


 セカイノは拳を握り締める。


「そうして集めたものを積み重ねて、繋いで、人ははじめて世界を、宇宙を理解できる」


 自称唯一神はセカイノを見据える。セカイノは続ける。


「逆に半端な理解、無理解が悲劇を生む。人の積み重ねが少ない時代、あんたがあふれる知識に人が惑わされないよう、思考を縛り、価値観を縛り、方向性を定めてきたこともまあ理解できる」


「人はもう迷わないとでも?」


「迷うさ。あんたなら知ってるだろ。運命が絶対で、全てが必然なら、人や動物に迷う、なんて機能が存在しないことに。全てが決められたレールの上を走ってるだけならこの宇宙は迷う、なんて機能をはじめから内包する必要がないのさ」


 自称唯一神は空を見上げる。


「人はこれからも金、宗教、情報、科学に惑わされ続けるぞ。繋がりの中にまがい物を混じらせ、積み重ねを破壊する」


「それらは全て世界の根底と繋がっている世界の一部だからな。だが一部は一部、一部の正しさを見て全てを正しいとする人の見かたには困ったもんだ」


 セカイノは笑う。続けて、


「全てを全肯定、全否定し、思考停止し、振り子のように同じ事を繰り返す。思考の檻、価値観の縛に囚われ、行き詰る・・・よくやく人もそれに気付きつつある。何を繋ぐか、積み重ねをどうやって守るか、未来に正しく情報を伝えるとうことの大切さをな」


「なぜ人をそこまで信じる」


 セカイノも空を見上げる。


「おせっかい達がいたのさ。俺が絶望と失望の中にいた時、最後まで考えることをあきらめず、希望を失わない、地球の裏側まで人を繋ぎヒントをくれた」


「お前の旅にそんなものはあったか?」


 セカイノは笑う。


「おまえさんなら俺が何かわかるだろ?俺は全ての流れを操る。つまり果てしなく分岐する全ての世界の流れの中に俺はいるのさ。この世界、別の世界で人が作った全ての物語の中で旅をし、学ぶ」


 セカイノはポケットに両手を入れ、


「はじまりは『なのよ』さ。あいつに出会って、この世界で色んなものと繋がって、さらに世界の外まで繋がって」


「・・・」


 火口の中心に力が集まる。


「トトが神殺しの剣を作り上げるようだが・・・その様子じゃもう必要なさそうだな」


 セカイノは自称唯一神を見やる。


「あの全ての過去、現在、未来、人、地球、宇宙を繋ぐ剣は別の使い方をさせてもらうぜ」


 セカイノは火口に向かって歩き始める。


「何をするつもりだ」


 セカイノは振り返る。


「ちょっと細工をするのさ。人の宇宙に対する理解がある段階まで成長した時に、距離を超え、世界を、宇宙を渡る機能をつけるのさ」


「今の人が、宇宙にいる先に進むもの達に受け入れられるとでも?」


「今のままじゃ無理だろうな」


 セカイノは笑う。


「だがもうしばらくだ。全ては理解、愛だよ」


 セカイノは先に進み、トトの肩に手をやる。


「よう、頑張ってるか」


「セカイノさん!なに背後で勝手に話し進めてるんですか!」


「悪い悪い、いろいろ事情があってな」


 トトはため息をつく。


「話が進みすぎてもう何がなにやら・・・」


「理解には材料をそろえて条件を整え、よく考えないといけないからな。お前さんもそのうちわかるさ」


 セカイノはトトが捧げる剣に能力を発動させる。


「これでよし、と」


 セカイノは振り返る。


自称唯一神がセカイノに問う。


「これからどうするつもりだ?」


「この物語を本にして売ろうと考えていたが・・・やめた。内容が内容だからな。別の内容ならいいが」


 セカイノは笑う。


「金持ちに清貧を語ることは出来ず貧者には裕福に暮らすことの意味を語れない。名声を望むものに中身の大切さを証明し続けることは出来ず、どこかの勢力に属した人間が他の勢力に正しさを説くことは出来ない。どこにも属さず全てと繋がり全てを理解する人間だけがそれを説く事が出来るのさ。物語をまとめるのは理解し、それを正しく表現できるやつに任せよう」


 セカイノは足のほこりを払う。


「俺は旅人だ。また旅を続けるさ。別の世界でな」


 自称唯一神が問う。


「おひさまのばんそうこ計画で異世界に飛ばされた家族を探しにか?」


 セカイノは頷く。


「家族に会わせてやろうか?」


 自称唯一神が提案する。


「自分で探すさ」


 セカイノは手をかざす。


「全てを理解し続けるってのは大変だな。俺の脳も体もついて来ない。かなり眠い。人にはまだ早すぎるか」


 セカイノの手の先に光る扉が現れる。


「セカイノさん!もう行くんですか?」


 トトが駆け寄る。


「おう。短い間だったが世話になったな。お前も立派な司祭さんになれよ」


「もっと先に進みますよ!それにしてもセカイノさん、なんかすごい存在だったんですね。僕はてっきりただのエロいおじさんかと思ってました。しかもロリコン」


「俺はムチムチボインが好みだと言ったはずだがな」


 セカイノは呻く。


「そういえばなのよは?」


「いませんね?どこに行ったんでしょう?」


「別れの挨拶ぐらいしようと思ってたんだがな。仕方のないやつだ」


 セカイノは足を進める。


「じゃあ元気でな」


「セカイノさんも」


 セカイノは光の中に包まれる。自称唯一神もどこかに消える。


トトはしばらくそれを見守っていた。


「あれ?セカイノは?どこに行ったのよ?」


 なのよが駆け寄る。そして声の質が少し変化する。


「ほんとにしょうがない夫なんだから!待って!あなた!」


 なのよの姿が光り輝き、大人の姿になる。


 そして消えかけていた扉に吸い込まれて行った。


後にはただ呆然と立ち尽くすトトの姿だけがあった。

みなさんこれまで私の物語にお付き合いいただきどうもありがとうございました。

おひさまのばんそうこのお話はこれでおしまいです。

わたしの世界に対する理解が一気に加速したのでとても急な展開になりましたが

とりあえず人が行き詰まった時に必要な答えが出ました。

あくまで考え方の一つですね。

内容が内容なので引用は自由、ただし歪められた情報を拡散されても困るし

作った目的と違ってくるので、内容の権利を独占、あるいは起源を主張(笑)することは許可しません。

著作権の概念が進み、より良い仕組みが出来るといいですね。

では長くなりましたがどうもありがとうございました。

はるかな時間の果て、またどこか違う世界でお会いしましょう。

あなたが世界を理解し、世界を愛することができますように。

ではさようなら。またどこかで。

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