第30話 封じられしもの
ーーー至精霊ーーー
「我を呼ぶ声は・・・トトか」
「!至精霊様!至精霊様ですか!?」
「いかにも」
セカイノはため息をつき、
「その状態で偉ぶってもな」
トトはセカイノを睨みつけ、
「セカイノさんは黙っていてください!」
「おおこわ」
「至精霊様!一体何があったんですか!?」
「うむ。実は2週間くらい前、ふらりとこの場所に旅人がやってきたのだ」
「旅人?」
トトが聞き返す。
「そう、我はいつものように侵入者に罰を与えようとしたのだが」
「返り討ちにあったと」
セカイノがてきとうに続ける。
「その通りだ」
至精霊は動じずに、
「その旅人は神器を持っていた」
「まあ魔導具じゃ無理な芸当だな」
セカイノは腕を組み、
「大方、東の大国の依り代ってとこだろう」
「であろうな。でなければ我を封印することなど不可能であろう」
セカイノは首を振り、
「やれやれ」
ため息をつく。
トトは構わず、
「至精霊様。どうやったら封印を解けるんですか?」
そこはなのよが答える。
「自称唯一神を倒すしかないのよ。だから自称唯一神も三柱神を神々の武具で倒そうとしたんだし」
「そんな・・・」
セカイノは首を振り、
「自称唯一神を倒すために至精霊の力が必要だってのに、その至精霊を助けるために自称唯一神を倒さねばならんとはね」
トトは愕然とし、
「一体どうすれば・・・」
セカイノは考え込み、
「至精霊の依り代を使うしかないな」
断言する。
「そうすれば至精霊様の封印は解けるんですか?」
なのよは首を振り、
「無理なのよ、一度発動した依り代の奇跡は簡単には解けないのよ」
「じゃあ駄目じゃないですか」
「違う。至精霊の依り代を使って、自称唯一神の一部を倒すんだよ」
トトは、はっ、とし、
「それなら・・・!」
「至精霊の封印も解ける」
「でも、どのみち自称唯一神の一部は倒さなければならないのよ」
なのよは指摘する。
「だからさ」
セカイノは続ける。
「至精霊の依り代を使って『神殺し』の武器を作るんだ」
「それなら神々の武具が既にあるのよ」
「それだけじゃ足りねぇ」
トトは顎に手を当て、
「あれは元々、自称唯一神が土地神や三柱神を始末する為に作り上げたものですからね。自称唯一神に対抗するためにはそれ以上の武器が必要になるっていうのはわかります」
「今まではそれが無かったのよ?」
なのよが疑問を口にする。
「いえ、あったとは思うのですが・・・」
トトは黒い球体に向く。
至精霊は、
「それらは自称唯一神の者の手によって持ち去られている」
「何やってんだよお前らは」
セカイノは突っ込む。
「これからそれを取り返しにいくのよ?」
「いや、おそらくそれらは東の大国の奥深くに運び込まれ、強力な封印をされてるだろう。あまり現実的じゃない」
トトは呻き、
「うーん、じゃあやっぱりセカイノさんが言ったとおり、新しい対自称唯一神用の神器を作るしかないのですか」
「だな」
セカイノは黒い球体を見上げ、
「さらに言うなら、効果も自称唯一神限定にしぼったほうがいい、・・・だろ?」
至精霊は即答する。
「その通り。神器は使用法を限定するほど威力が上がる」
「決まりだ」
なのよはほえー、と息をつき、
「セカイノはいつの間にそんなに色々な事を知ったのよ?」
尋ねる。
「自称唯一神とやりあった後、博士から色々な」
セカイノは振り向き、
「至精霊さんよ。もし封印が解けたら、頼みたいことがある」
至精霊は間を空けずに答える。
「お前の家族のことか?」
「・・・知ってるなら話が早い。宜しく頼むぜ」
セカイノは足を進める。
「じゃ、至精霊の依り代の所に向かうか」
その場を後にした。




