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おひさまのばんそうこ  作者: あらうさ(´Å`)
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第24話 聖精教


「遠路はるばるようこそおいでなさった」


「司教様も御健勝で何よりです」


 司教は高齢とはいえ運動は欠かしてないようで体格がよく、年齢以上の貫禄を醸し出していた。


「ここへ来る途中、襲撃を受けたとのことだが・・・」


「はい。おそらく魔導具の使い手でしょう。影に潜んで仕掛けてきました」


 司教は難しい顔をして、


「影の中に潜む魔導具か・・・実はこちらでも何件か被害報告が出ておる」


「我が物顔でこの国に混乱をもたらしている事実、看破出来ないものがあります」


 従者が憤る。


マリーネは続ける。


「その問題はひとまず後にしましょう。今回の訪問の趣旨ですが」


「わかっておる。一部復活した自称唯一神に対し、共同戦線を張ろうと言うのだろう?」


「その通りです、斥候の情報によると、戦争の準備を着々と進めてるようです」


「覇権戦争の再来か・・・」


 司教は眉間にしわを寄せる。


「一刻の猶予もありません、ご決断を」


「そうすぐには決められん・・・し、こちらにも事情があるのだ」


「事情?」


「さよう」


 司教は頷き、


「天の至精霊ファリラス様が聖地に篭ったきり、出てこないのだ」


「ファリラス?」


 そこで初めてなのよが疑問を口にする。


「おや?先ほどから疑問に思っていたのだが、なんで子供がここに?」


 司教の問いにマリーネが何も言わず、なのよの赤い宝玉の埋まった首飾りを指す。


「・・・なるほど、あなたが」


「?」


 セカイノには分からない。


「では、たまには私がこの国の歴史を語りましょうかな」


 司教は歴史を語り始めた。


「今から500年前、まだ西の大国が無かった時代、この大陸は戦国の乱世でした」


 司教は遠くを見つめて、


「長引く乱世に人心は極限まで荒廃していきました」


 そこで1拍し、


「しかし戦乱の世もついに終わりを迎えます」


 司教は両手を広げ、


「ある一人の指導者が天の大精霊、ファリラスと契約を結んだのです」

 

 両手を組み、


「指導者はファリラスの加護を受け、精霊達の力を行使し、次々と都市国家をまとめました」


 両目をつむり、


「そしてこの西の大国を作り上げたのです」


 司教は振り返り、


「これがこの国の歴史の始まりです」


 締める。


「はい、質問なのよ」


「なんですかな?」


「結局、精霊ってなんなのよ?」


 そこはセカイノが答えた。


「感情を持ったエネルギーの事だ」


「そうです」


「エネルギーが感情なんて持ってたらコントロールできないのよ」


 なのよが反論する。


「そうです。だから感情を持たないエネルギーをただのエネルギー、感情を持ったエネルギーを精霊と分けます」


司教は続ける。


「そして感情だけ持った精霊を下位精霊、明確な意思を持っているのが中位精霊」


 セカイノが口をはさむ。


「中位精霊の中には土地神と呼ばれているのも多数いるな」


「はい、中位精霊と土地神は限りなく近い存在です」


「下位、中位、ときたなら次は上位精霊がいるのよ?」


 なのよが尋ねる。


司教は頷いて、


「上位精霊は従神と呼ばれ神々に匹敵する力を持っています」


「従神と呼んでるのは西の大国だけだがな」


 セカイノはせせら笑い、


「破壊力だけなら神々の武具も上位精霊並だ」


司教は横目で見るだけで話を続ける。


「そして最上位に君臨する、我々が主神と呼ぶ至精霊が天の至精霊ファリラス様です」


「自称唯一神とどう違うのよ?」


 なのよがさらりと聞いてくる。

セカイノが心の中でこいつは大物だぜと呟く。


司教はみるみるうちに顔色を変え、


「自称唯一神は300年前にこの世界にやってきた侵略者!至精霊ファリラスはこの世界が始まった時からこの世界を守ってきた精霊!一緒にしないでいただきたい!」


「なるほどなのよ」


「まあこの世界が始まった時の事なんて、誰も分からないと思うんだけどな」


 セカイノが指摘する。


 司教はこほん、と咳払いし、


「精霊の話しはとりあえずこの辺でいいでしょう。私はあなた方にお願いがあるのです」


「は?俺に?」


「と、なのよ殿にです」


 司教はセカイノに、


「土地神の声が聞こえるあなたになら、聞こえなくなった至精霊様の声が聞こえるかもしれません」


 と告げ、頷き、


「アラート山に行って、至精霊様の言葉を承ってきてください」


 言った。


「供のものも付けます。今日はゆっくり休んでいってください」


 司教はセカイノの肩に手を置くと、奥へ引っ込んでいった。


「なし崩し的にこうなるのかよ・・・」


 セカイノは呻く。

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