第16話 雷神の槍 後編
ーーー地下鍾乳洞ーーー
「こいつはすげぇな」
セカイノは雷雲の草原の地下で巨大な鍾乳洞を見つける。
上から、そして下から伸びる白乳色の鍾乳石がセカイノのライトに照らされ、幻想的な空間が作り出される。
「どこまで広がってるんだ?」
鍾乳洞は先のほうでいくつかに分岐し、奥のほうが見えない。
「迷わないように気を付けないとな」
「水性クレヨンがあるのよ」
なのよはバックからクレヨンを取り出す。
「よし、じゃあ行くか」
セカイノ達は足元をライトで照らしながら進む。
足元はかなりぬめってるが、スーツの足底がゴムのため滑ることはない。
「今回は博士に感謝しないといけないのよ」
「ただしデザインに問題が無ければの話しだがな」
「デザインを犠牲にして安全が買えるなら、それに越したことはないのよ」
「まぁそうだが」
セカイノ達はゆっくりと先に進む。
ーーー30分後ーーー
「もうそろそろ雷の中心地の地下らへんになるんだが」
セカイノは辺りを見回す」
少し先の方に縦穴があり、そこから下に水が流れ込んでいる。
「ここか?」
セカイノは穴から下へ飛び込む。
そこやや広めの空間で、少し先の方に光が灯されていた。
「誰かいるのよ」
なのよが光の方を指差す。
「誰ですか!?」
光のほうから女の声がする。ライトがセカイノたちを照らす。
「か、カエルが立っている!?」
「そこかよ!」
「か、カエルがしゃべった!?」
セカイノはカエルスーツのかぶりものを取る。
「人間だよ!」
それを見ると女は胸をなでおろし、
「ああびっくりした・・・」
セカイノは女を見やる。
年齢は16歳ほど。ロングポニーテールの髪が腰まで伸びている。
「俺はセカイノ」
「私はなのよ」
「私は雷音、ここであるものを守っています」
「神々の武具か?」
雷音は答えず、
「あなたがたも神々の武具を狙ってるのですか?」
「狙ってるっつーか、自称唯一神が目覚めて神々の武具の存在がバレていま回収してるところなんだ」
雷音は驚愕して、
「ひ、ヒトさらい!?」
「違う!違わねぇんだけど、違うんだ!」
雷音はセカイノに向けて電撃を放つ!
「うおっ!」
セカイノは両腕を交差する。
電撃はカエルスーツの表面を滑り、セカイノの後ろに流れる。
「!」
雷音は驚く。
「残念だな、完全ゴム製のスーツだ」
セカイノは雷音に手を差し出し、
「一緒に来てもらおうか」
雷音は呻き、
「この程度で私を好きに出来ると思ったら大間違いですよ」
「確かに間違っているが」
セカイノが突っ込む。
雷音は壁から薙刀を取り、構える。
「ちょ!ちょっと待て!」
「問答無用!」
雷音が薙刀を突き刺してくる!
セカイノはギリギリのところで何とかかわす!
「俺を殺す気か!」
「人さらいに人権はありません!大人しく薙刀の錆になりなさい!」
雷音は鋭い突きを連続で放つ。
セカイノはなんとかかわしつつも、
「くそ!動きにくい!」
セカイノはなのよの方を向き、
「なのよ!見てないで手伝え!」
「仕方ないのよ」
なのよは背中のリュックに手を伸ばしーーー
「・・・リュックはスーツの中なのよ」
「畜生!」
セカイノは連続で放たれる薙刀を間一髪でかわし、かわしきれない攻撃は薙刀の流れを操作して、いなす。
「・・・!おのれ!面妖な技を!」
次の瞬間!
セカイノは足を滑らせる!
「しまった!」
「しめた!・・・トドメです!」
雷音の薙刀がセカイノの体を突き刺す!・・・その前に。
雷音の背後で爆発が起こる!
ドォン!
「!」
雷音の体が雷に包まれ爆風を遮るが、そのまま前方へ吹き飛ばされる。
セカイノは気を失った雷音を抱きとめ、爆風の方を見やる。
「間に合ったのよ」
なのよがスーツの中のリュックから何本か花を取り出していた。
「冷や冷やしたぜオイ」
「とっととグルグル巻きにするのよ」
「雷はどうする?」
「これを使うのよ」
なのよはリュックから草を取り出した。
「眠り草なのよ」
「よし、連れて帰るか」




