第14話 二人目の依り代
ーーー博士の工房ーーー
「帰ったぜ」
「どうじゃった、首尾のほうは?」
博士が出迎える。
「ほら、炎の神剣『ヤマタノオロチ』」
「おお!これが!」
博士は興奮気味に声を強める。
それと同時に視界の隅に映った人影が気になる。
「・・・そちらのお嬢さんは?」
「この神剣の持ち主だ。依り代の資格がありそうなんで連れてきた」
「なるほど!神剣の器になれるなら神々の器としても充分じゃと考えたんじゃな?」
博士は少女をまじまじと見つめる。
「あ、あの・・・」
少女は困ったようにうつむく。
「わしは博士。お前さん名前は?親は?」
「ああ、それなんだが・・・」
セカイノが割って入る。少女もそれに続く。
「わ、私が・・・」
「あら皆さん、どうしたんですか?」
奥から雪花が出てくる。
「おう、雪花。何してるんだ?こんな所で」
「博士さんの助手をしてるんです。ここは安全だからと」
「そうなのか?」
セカイノが博士に聞く。
「この工房街はそれ自体が重要機密と化した要塞じゃからな。各所に衛兵や機械兵も多数配置されておる」
「なるほど」
雪花が少女に語りかける。
「あなた、お名前は?」
「・・・スズ」
「スズちゃん、あちらでお話しませんか?」
「うん」
「私も行くのよ」
雪花とスズとなのよは奥に引っ込んでいく。
「あ、雪花」
セカイノが呼び止める。
「はい、なんでしょう?」
「すまん、渡すのが遅れてしまった」
セカイノは懐から髪飾りを取り出し、雪花に渡す。
「これは・・・」
「先生から渡すのを頼まれていたんだ」
「先生? 青空教室の先生ですか?」
「そうだ。それ、冷気のフィールドを張るのな。神剣を手に入れるときに熱を軽減してくれて、とても助かった」
「そうですか・・・この髪飾りが・・・」
「確かに渡したぜ」
「はい、有り難うございます」
雪花は奥に入って行く。
「で、話の続きじゃが」
「ああ、スズが話すには俺達と出会う一週間くらい前、外で親から虐待を受けていた時、ふらりと現れた旅人が親を焼き殺したそうだ」
「なんと」
「で、親を焼き尽くした後、旅人から炎がスズの中に入ってきたらしい。旅人も直後に燃え尽きたそうだ」
「そうじゃったか」
博士は感慨深げに頷いて、
「スズをうちで引き取ってくれないか、と言うんじゃろう?」
「いいのか?」
「おぬしこそいいのか?」
「?」
「雪花やスズに無茶な検査をするかも知れんのじゃぞ?」
セカイノは首を振り、
「それはない」
「なぜじゃ?」
「なのよにその無茶な検査とやらをしてないからだ」
「・・・」
「博士は線引きを間違えない」
セカイノは続ける。
「その線引きこそ人と獣を分ける境界線だと知ってるからだ」
「人より獣の方がまだマシかも知れんがの」
「かも知れねぇな」
セカイノは苦笑し、話題を変える。
「で、次の『神々の武具』の場所はどこだ?」
「この島の北東に位置する、年中暗雲と落雷が絶えない草原じゃ」
「嫌な予感しかしねぇ」




