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おひさまのばんそうこ  作者: あらうさ(´Å`)
10/35

第10話 再封印

ーーー島の中心部ーーー


「かなり広い空間だな」


 ここは島の中心部。三柱神の力が交わるその真下。統率機構のさらに下。


「三柱神への信仰の力が集まりやすくなっている場所なのよ」


 セカイノは壁をなぞりながら、


「ふーん・・・壁には変な模様がびっしりと刻まれているな」


「一つ一つに意味があるのよ」


「欠けている部分もあるぞ」


 なのよは適当に誤魔化す。


「その辺はまあ大雑把にそこはかとなく」


「大丈夫なのかよ」


 すると奥から、


「来たようじゃの」


 見知った声が聞こえた。


「博士なのよ!」


「おう博士、どうした、こんなところで」


「どうした、と言われてもな。この遺跡の操作マニュアルを読めるのがわしとなのよしかおらんからじゃ」


「マニュアル?たった200年前のマニュアルを読めるやつがそんなに少ないのか?」


 博士は頷いて、


「うむ。ここのマニュアルは完全に暗号化されてるからな」


 博士は顎をなでる。


「博士、お久しぶりでございます」


 雪花が博士に挨拶する。


「おお、雪花か。2、3年ぶりか?少し見ないうちに大きくなったの」


「博士もご健勝でなによりです」


「うむ。此度は重大な責任を伴う儀式を任せて済まぬ。本来ならわしら大人が背負わぬといけないものなのだが・・・」


 雪花は首を振って、


「いいのです。なのよや博士には本当にお世話になったのですから。少しでもご恩が返せればと」


「そうか・・・亜人の子として迫害を受けながらそれでもこの国のために尽くしてくれるか」


「亜人?」


 セカイノが口をはさむ。


「あれ?言ってませんでしたか?私は人と雪女の混血なんです」


「今初めて聞いたよ!」


「セカイノさんって、そういうの気にする人なんですか?」


「いや、それはないけど・・・雪女か、世界は広いな」


 セカイノは感心する。


「そろそろいいかの?」


 そう言うと、博士は遺跡を操作し始める。

ぱあっ

と、天井が明るくなり、遺跡の上空が映し出される。


「おお」


 セカイノが感嘆の声を上げる。


「では雪花、ここへ」


 博士がそう言うと、地面から玉座がせり上がってきた。

雪花がそこに座る。

博士は神器である首飾りを雪花にかけると

遺跡を操作し始める。

 遺跡の壁に刻まれた模様が光り始める。


「いけるのか?これ」


 セカイノが呟くと、


「そこまでだ」


 なのよはハッ、として雪花の前に立ちふさがり、


「フィールド花!」


 フィールドを展開する。


ドゴン!


巨大な爆発音と共に爆煙が立ち込める!


「な、なんだ!?」


 セカイノは状況を把握するのに数秒かかった。

煙は薄らいでゆき、そこに姿を現したのはーーー


無数の十字架を背負い、纏った一人の男だった。


「!」


 セカイノは服に付いた埃をぱんぱん、と払い、十字架の男に告げる。


「よお・・・久しぶりじゃねぇか」


 十字架の男が視線を送る。

そして、何か思い出したように、


「ほお・・・貴様が何でこんな所にいる?」


「色々あってね・・・今はこの島を観光中だ。お前こそ、ここまでにいた治安委の連中をどうした?」


 十字架の男はくっくっ、と笑い。


「どうしたと思う?」


 逆に問いかけてきた。


「てめぇ・・・」


 十字架の男はまた問いかける。


「妻と娘は見つかったか?」


 セカイノは駆ける!


数秒の時間で距離をつめ、蹴りを放つ!


十字架の男は特大の十字架を盾にして防ぐ。


十字架の男は不敵に笑い、


「変わってないな」


「おかげさまでな」


 声は十字架の男の背後からした。


「!」


 十字架の男は反応しようとするが、間に合わない!


 ドゴッ


十字架の男は十字架を盾にし、前方に飛んだ。


十字架の男は体勢を整える。


「セカイノが二人に別れたのよ!」


 なのよが驚く。


「そういや見せてなかったか」


 セカイノがなのよを見やる。

十字架の男は顔はセカイノを向いたまま、なのよに告げる。


「この男の能力は『流れを操る』能力だ」


「流れを?」


 なのよがオウム返しに言う。


「そうだ、さしずめ今は『光の流れ』を操っていると言ったところか」


「俺を相手に余裕だな」


 セカイノが十字架の男の上方に突然現れる。

セカイノの上空からの蹴りが当たる瞬間、十字架が蹴りを阻む。


「なんだ?」


 セカイノは背後に跳躍する。


「驚いたか?十字架の一つには自動防御する物も存在するのだ」


 十字架の男はセカイノに向きやり、


「お前の奇襲は通用せん」


 言い切った。


「そうかい」


セカイノが足払いをかける。

十字架がそれを防ごうと動く

が、

十字架は軌道を変え別方向に。

セカイノの足払いはそのまま十字架の男の足を刈る。


 十字架の男は転倒した。


「なっ!」


「十字架の『流れ』を変えた」


 言いながらセカイノはみぞおちを蹴り下ろした。


 ぐふっ!


 十字架の男が動きを止める。


 セカイノは服を払い、


「そっちの進み具合はどうだ?」


 博士に問い掛ける。


「九割がたと言ったところかの」


 博士は遺跡を操作している。

 こころなしか操作する手が震えてる気がする。緊張のためか、それとも感動のためか。

やがて、ごうん、ごうん、という地鳴りのような音が響き渡る。


「始まったか」


 セカイノが雪花を見やる。


雪花は瞑想をしているみたいに目を閉じていたが、その体が淡い光に包まれ始める。

精神と記憶は首飾りに移動した後だろうか、体はピクリとも動かない。


そして雪花の体が輝き始める。


 光に包まれた雪花が、うっすらと目を開けた。そして口を開く。


「人の子よ、よく奇跡の下準備をしてくれた」


「「「!」」」


 セカイノ達は一斉に驚く。


「三・・・柱神?」


「いかにも。我は三柱神が一柱、現在を司る神である」


 三柱神は厳かに答え、そして続ける。


「汝らの望みは何か?」


「望み・・・そう、そうなのよ。自称唯一神をもう一度強く封印してほしいのよ」


 なのよが答える。


「その願い、聞き届けよう」


 なのよの願いはあっさり通った。


 現在を司る三柱神が腕を真上に上げる。

光が集まり、上に伸びる瞬間でーーー


ドカン!


三柱神が爆風に飲み込まれる。


「「!」」


セカイノ達は振り返る。


そこには十字架の男が立っていた。


「やった!・・・やりましたよ教皇様!蛮族の神を討ち取りました!」


 十字架の男は興奮を抑えきれない様子で喋る。


「今使ったのは『神殺し』の魔導具。蛮族の神相手には充分な武器!これで唯一神様の復活を邪魔するものはいなくなった!」


「それはどうかな?」


 声に十字架の男が振り返る。


そこには無傷の三柱神が立っていた。


「な!?」


「矮小な人間よ。そのような玩具で三柱神が一柱、過去の神に傷をつけられると本気で思ったのか?」


「そんな馬鹿な!『神殺し』の魔導具だぞ!無傷なんて・・・!」


「依り代に入っているとはいえ、我は時間を司る神。その辺の低級神と一緒にしてもらっては困る」


 三柱神が喋るだけで周りは圧倒される。


「神に手を上げた罪は重い。お前は未来に送り飛ばしてやろう」


 三柱神が十字架の男に手を向ける。

次の瞬間。

十字架の男の周囲が歪み、男はその歪みに飲み込まれる。


そして何事もなかったように、周囲に静寂が戻った。


「終わった・・・のか?」


 セカイノが呟く。


「まだなのよ」


 なのよが上を見上げる。


屋上が映し出されていたその映像に、異変が起こる。

さっきのやり取りのせいか、三柱神の柱がくっきりと浮かび上がっていた。

それだけではなく、三柱が交差する場所、そこにあったのはーーー


光り輝く巨大な手だった。


挿絵(By みてみん)


「なんだありゃあ・・・」


 セカイノが呻く。


「あんな巨大なものが自称唯一神とでもいうのか・・・あれが復活したらこの首都は滅茶苦茶になるぞ」


 博士は呆然と、しかし


「復活を止めるのよ」


 なのよはきっぱりと言い切った。


「どうすればいい?」


 セカイノが三柱神に聞く。


「・・・」


 三柱神はしばし考え、


「散った力をまた集めるのは簡単である、しかしそれだけでは足りん」


 三柱神はセカイノのほうを向き


「お前の力が必要だ」


「俺の?」


「自称唯一神のこちらに現れようとする『流れ』の力をを逆に向かわせるのだ


「あんな巨大な力を逆に向かわせるのは、俺の力では無理だぜ」


 セカイノは苦々しく口にする。


「だから我が支援してやる。大丈夫だ」


 三柱神は上を向き、


「やるぞ」


「ええいこうなりゃヤケクソだ!」


 三柱神が手を上げると、そこから光が溢れ出し頭上へとほとばしる。

 そのまま巨大な手のところまで到達し、押し返す。


「うおおおおお」


 セカイノが全力で『流れ』を操る。


やがて巨大な手は押し返され、穴に戻るーーー前に拡散した!


「なに!?」


 三柱神の平静が破られる。


「どうした!?」


 セカイノが問う。


「唯一神の一部が逃げた。だか今はどうしようも無い。封印を優先するぞ」


三柱神はそのまま空いた空間の穴を閉じる。


「・・・ふむ、こちらはこれで良し」


 三柱神が一息つく。


「これからどうしたらいいのよ?」


 なのよが三柱神に尋ねる。


三柱神は一呼吸おいて、


「昔、主戦場だったこの島の各地に眠る『神々の武具』を集めよ。自称唯一神を追い詰めたそれらなら、お前達の役に立つだろう」


 言うと、三柱神を覆っていた光が徐々に弱くなる。


「期待しているぞ。我々の子等よ」


 三柱神を覆っていた光が完全に消えた。


雪花がばたり、と倒れる。


「雪花ちゃん!」


 なのよが駆け寄る。


雪花の首に掛けられていた首飾りから小さな光が浮かび、雪花の頭へと吸い込まれる。

 なのよはそれを確認して、


「よかった・・・ただ寝てるだけなのよ」


 セカイノはほっ、として


「ああ・・・だが大変な事態になったな」


 それまで推移を見守っていた博士が、


「とりあえず宿に戻って作戦会議じゃ」


 全員が頷く。

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