Massacre of cultism おまけ第一話
ここで────少し忌み嫌われた三人の日常を覗いてみようか。
虐殺館という蔑称が付いてしまった彼らの家。
これからの話に差し支えが生じるかもしれないから、家の構造は筆者としては伏せておこうと思う。また、筆者が悪人とされる人々に傾倒している、とも思われたくないから先に言うと、飽く迄も、彼らは彼らなりの生活をしているだけだ。それでは、語ろうか。
『鳥は…自由でいいな、兄さん』
灰色の服を来た白髪の青年、リクハルドは言う。
『しかし、人より短命だ、それでもいいのかい?』
長身で、黒く長い髪から翡翠色の瞳を見せてジギスムントは言う。
『それは嫌かな…なら、長生きできる鳥になりたいな』
リクハルドは微笑んでいる。
『……贅沢者め』
ジギスムントはリクハルドの頭を撫でて言った。
声を聞く限り、彼らは至って普通の青年、普通の兄弟である。
しかし、風貌たるもの、恐ろしいものである。
長男、ジギスムント。
二十歳。身長六フィート四インチ。
黒く長い髪に翡翠色の瞳、右が義足。
黒いコートと、緑のシャツ、黒のサスペンダーのついた黒いズボンを履いている。
女性の首を除く上半身、弟が人を殺す瞬間をこよなく愛する。
不健康そうな弟とは反対で、栄養価の高い物を食べる。
次男、リクハルド。
十九歳。身長五フィート三インチ。
白髪、左目は義眼。口の周りはいつも赤黒く、目の下のクマが青黒い。そして、常に口が引き攣り、笑っている様。
灰色の長袖とジーパンを履くことが多いようである。
生物を解体するのが趣味。殺した人間の骨でナイフを作り、それで殺し、解体するそうだ。兄のことは『好き』ではなく、『愛している』という。
ここにはいないが…長女、ぺトラ。
二十歳。身長六フィート八インチ。
ブロンドヘアー。
赤黒いワンピースに、大きめの熊のぬいぐるみ。
何故か、『あー、うー』などと母音しか発音しない。
何故か。
そんな三兄弟が神話を記し、纏めているのだ。
何故彼らが殺人鬼となり得たか、それはまたいつか話そう。
……本人たちの口から発せられるかもしれないだろうし。
『ねえ、“あの人たち”が動き始めた、って本当?』
『本当さ、リク坊。でも安心するといい、俺達は安全だ。』
『女帝を、信じてるから、だっけ?』
『そうだ。』
『また、邪魔者は来るのかな。』
『来たところで何だ、蹴散らせばいいだろう。』
『そうだね、ハハハッ』
バルブロ・ズラトゥシェ、虐殺館襲撃まであと、1週間。