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道徳タイム迷宮入り事件簿

「えー今日の道徳は少し難しい話をしよう」


そう言って竜宮健斗達を眺めながら教師は黒板に分かりやすい絵を描いていく。

生徒達から見れば棒人間が三人。A、B、Cと書かれている。

四角い箱がその三人の真上に書かれている。電気マークがあるから機械かもしれない。

簡潔で無駄のない絵を描き終えて、教師は改めて差し棒を使いながら説明していく。




ある天才が未来を百%当てる機械を発明した。

その機械が提示する予言は決して外れない。必ず起こることである。

機械はAが将来的にCを殺すと予言した。Bは二人の友人である。

ある者は言った、Aを殺すべきだと。Cが殺されないように死刑にするべきだ。

ある者は言った、Aはまだ罪を犯してない。殺すのはおかしい、未来は変えられるものだ。

AとCはBを間に入れただけで、別に友人同士ではない。決して殺さない理由がない。

しかも機械の予言は今まで外れたことがない。変えられる保証はない。

だがAはCを殺してない。Cもまた同じ世界で生きている。





「そんじゃあお前達は友人Bとしてどうするべきか、グループに分かれて話し合え―」


教師の言葉と共に生徒達は軽い机を動かして、少し大きめの机場を形成する。

竜宮健斗は崋山優香、笹塚未来、浅野弓子、羽田光輝、白子泰虎と一緒になった。

クラス委員長で仕切りたがりの浅野弓子はAを牢獄に入れるべきだと言った。


「だって閉じ込めてしまえばCは無事よ?これが最善のはず!!」

「でもよ、Aは無罪のまま牢獄に入れられるんだろう?俺だったら脱獄するね」


羽田光輝は自分のツンツン髪をいじりながら、反論する。

その隣の白子泰虎も眠そうな目をこすりながら、同意するように頷く。

欠伸を一つした後におぼつかない唇の動きで己の意見を言う。


「んー、僕なんか閉じ込められる原因となった機械とCが恨めしくなっちゃう…それってさ、予言通りになるんじゃない?」

「そうそう!俺は何もしてないのに、ってなるじゃん!」

「でもねぇ…未来ちゃんはどう思う?」

「私ですか?私は…Aを処刑するべきだと思います」


あっさりと綺麗な笑顔で笹塚未来は殺すことを選んだ。

羽田光輝はその笑顔が怖くて、いつもなら綺麗な笑顔に顔を赤らめるところを青ざめていく。

眠そうにしていた白子泰虎もほっぺに寝跡つけながらも起き上がり、笹塚未来を見る。

このままでは止まってしまうと思った浅野弓子が理由を尋ねる。


「だって、知り合いに殺人者がいるなんて嫌じゃない?それにCさんを守るためにも、ね」

「うおー、思ったより笹塚えげつないな…」

「そうかしら?だってAを生かしたままじゃCは殺される…するとAも捕まって死刑でしょう?二人死ぬか、一人死ぬか、でしょう」


そう言われたら確かに被害は少ない方がいい。

事前に犯罪を防ぐ面でも効率的であり、有効な手段ではある。

しかし浅野弓子は意見の一つとしてまとめましょうと言うだけだった。

あまりにも笹塚未来の意見は大人で、心情を無視した内容だった。

その議論が交わされる横で、崋山優香はいまだに内容を理解してない竜宮健斗に説明を続けていた。

悪戦苦闘する崋山優香だったが、最終的には半分程度理解させることに成功した。

そこからやっと竜宮健斗も参加できると判断した浅野弓子が意見を尋ねる。

すると竜宮健斗が少し考えてから、静かに言う。


「俺は、AがCを殺さないように防ぐ」


それはとても自然に出てきた結論で、笹塚未来が気に入らないような表情をする。

すました顔で、防ぐと言っても限界があるのではと聞く。


「まぁ、確かに二十四時間見張るとか無理だと思うけどさ…でも、俺がBならAにもCにも死んで欲しくない」

「甘いのではなくて?それでCが死んだらどうするの?貴方に責任が取れますの…命の責任を」

「そんな難しいことはいらねぇよ。俺はただ全力でAもCも守る!防犯ってさ、犯罪を防ぐ、って意味だろ?」


絶対無駄にならないし、無駄にしないと竜宮健斗は力強く言う。

笹塚未来は納得しかねる表情で竜宮健斗を見る。

見るからに馬鹿そうなくせに、時折鋭いなにかを言葉にする。

なにより命という単語の時、とても真剣な顔をした。

まるで本当に命の問題に大きく触れてきたような、子供としては不可解な反応。

笹塚未来は気に入らないと思い、聞こえないように小さく舌打ちをする。


「それにさ、予言する機械があるんだろ?百%当たるんだろ?」

「え?ええ…」

「事前に分かってんなら、防ぐことだって百%できるはずなんだ!俺達はできる!」


そう言って笑う竜宮健斗に、羽田光輝が良いぞーと茶化す。

白子泰虎はこれで意見がまとまると思い、また寝る体制に戻り始める。

最後に意見をまとめるとして浅野弓子は崋山優香にも意見を尋ねる。

崋山優香は少し考えた後、馬鹿に同意、とだけ言う。


「誰も犠牲にならないなら…それが一番だと思うから」

「うん、そうだね。じゃあグループ代表意見を決めるために簡単にどの意見にするかまとめよう!」


浅野弓子はメモした内容を見せて、全員が指差す方式とした。

笹塚未来は自分の意見をもちろん指差した。竜宮健斗の意見は甘すぎるからだ。

羽田光輝は竜宮健斗の意見を指差し、白子泰虎は寝ているので欠票。

崋山優香と浅野弓子も竜宮健斗の意見を指差したため、グループ代表意見は竜宮健斗の意見になった。

心の中だけで笹塚未来は盛大に舌打ちした。甘すぎて反吐が出そうな心地である。


時間になり、教師はグループごとの発表を聞いていく。

やはりAを死刑するしかないという意見もあれば、CをAの知らない場所に連れていく。

中にはCという人間をDという人間に戸籍を変えればいいのではないかという突飛な意見も出た。

個性豊かな意見の数々に教師は適切な相槌を打ち、最後にまとめの言葉を残す。


「全員、いや個々にも様々な意見があるだろう。そこで先生が思っていることも発表しよう」


教師はチョークを一つ掴み、黒板に書いていた四角い箱に盛大なバツをつける。

まるでその機械を否定するような、壊すような大きなバツ印である。

チョークを置いて、白い粉で汚れた手を簡単に払いつつ教師は言う。


「先生はこんな機械がなければいいと思ってる。いいか?百%変わらない未来を、お前達は欲しいか?」


生徒達は首を横に振る。もちろん全員ではなく一部の生徒である。

中には興味なさそうに黒板を眺めている者や寝ている者もいる。

教壇からよく見える生徒達の顔を眺めて教師は苦笑する。


「俺も教師としてまだ若輩だが…色んな生徒を見てきた。その中で思うのは未来が分からないからこそ不安だが、自由に生きていけることだ」


頭の良い生徒がいた。私立に行くかと思ったら大工になりたいため工業専門に向かった。

頭の悪い生徒がいた。将来生物学者になりたいため昆虫採取で全国コンクール金賞を取った。

優しい生徒がいた。優しすぎるため泣いてばっかだったが、勇気を出せる強さがあった。

いじめっ子の生徒がいた。詳しく聞けば未来が不安で誰かを見下さないと落着けない弱気な心が見えた。

いじめられっ子の生徒がいた。どうしていじめられるか分からず、それでも頑張って学校を通い続けた。


頭の良い生徒がいた。今は専門学校で資格習得のため猛勉強中と教えてくれた。

頭の悪い生徒がいた。今では生物学の権威教授の助手をしていると電話で嬉しそうに語ってくれた。

優しい生徒がいた。いじめ問題に立ち向かうため心理学を専攻し、カウンセラーを目指しているらしいと噂を聞いた。

いじめっ子の生徒がいた。未来が不安なら世界を見なさいと言う言葉を受けて、世界中を旅した。今は青年ボランティアに所属していると新聞で知った。

いじめられっ子の生徒がいた。学校が好きだから教師になるらしい。そして先生みたいな教師になりたいと言ってくれた。


教師とは多くの子供達を見守り、見送っていく。

時には嬉しいこともあれば、胸が張り裂けそうな程辛いこともある。

それでもかつての生徒が話してくれる未来への希望に、顔を綻ばせる。

教師にとって生徒はいつまでも生徒である。

もし大人になって不安や悩みがあれば相談してほしいと思ってる。

そして必ず言う、どんなに不安でも悩んでも、それは未来が決まってないからだと。


「そして不安や未来はお前達が未来を歩くための武器だ。決して顔を背けずに向き合って見ろ。その後ろにきっと望んだものは隠れているから」


その言葉と共にチャイムが鳴り、授業の終わりを告げる。

休み時間がやってきたことに子供達は教師の言葉をあっさり忘れて外へ遊びに行く。

折角いいこと言ったのになぁ、と思いつつ教師は生徒達のドッジボールの誘いに喜んで乗る。

笹塚未来も誘われたが丁寧に断り、持ってきていた本を読み始める。

並んである文字を追わずに。教師の言葉を思い出して小さく笑う。


なんて意味のない綺麗事だろうか、呆れてしまうわ、と。





放課後の東エリア事務所で、竜宮健斗は今日の授業を話していた。

遊戯ドームのメンテナンス機械を見張る今日は、瀬戸海里と一緒である。

細目をさらに細めながら、キツネ顔に拍車がかかる瀬戸海里はまた難しいことを学んだねと笑う。

セイロンやタマモも子供の時からそんな答えのない問題に立ち向かのかと、日本の教育に感心した。


「海里はもしBになったらどうする?」

「ん?僕は…Cを守るかな。僕の家の料亭に無期限宿泊とか?冗談だけど…」

「え!いいなぁ…それ!懐石料理食べ放題!!」

「食べ放題じゃないよ!?」


少しずつ話が逸れていき、結局授業の話は有耶無耶になった。

その会話を聞きつつセイロンは竜宮健斗にいつアダムスの話をしようかと悩む。

シュモン達にも相談したが全員判断を決めかねているらしく、個々の判断に任せることになった。

セイロンは話すべきだと思いタイミングを見計らっているが、中々そのタイミングはやってこない。

しかしこのまま話さないままだと、アダムスがどう動いていくかわかったものじゃない。

もしあまりにも事態が進行してしまえば、クラリスのように手遅れになってしまうかもしれない。

それだけは起こしたくないと強く思っているが、やはりタイミングは掴めないままである。




家に帰った笹塚未来は怒りのまま枕をベットに叩きつける。

今日の授業、効率的なのはどう考えても自分の意見なのに選ばれたのは竜宮健斗の意見だった。

甘くて反吐が出る、とても非効率で確証性もない希望観測だけの意見。

そんなの余命数年の病人に、必ず元気になるからねという親戚のような意見だ。

笹塚未来はつい最近まで病弱だった。そして余命数年で親戚たちがこぞって見舞いに来た。


必ず元気になるから。

病気に負けないで明るく生きるのよ。

今の時間を無駄にしちゃ駄目よ。頑張ってね。

まだ若いんだからきっと大丈夫よ。

神様がちゃんと見ててくれれば奇跡は起きるはずよ。


幾つもの慰めの言葉を聞いた。聞き続けた。

そんなの聞きたくなかったのに、聞くしかなかった。

自分じゃないからそんな無責任な言葉を吐けるんでしょうと。

嫌気がさして暴れたいのに暴れる力もない自分が恨めしかった。

心で毒づくしかなかった病院生活は気持ち悪かった。

そう思っていた時期に、母がアンドールをくれた。

前から欲しかったが、あと数年しか生きれないのだからあまり意味ないだろうと思った。

もしかして遺品として残すために渡したのだろうかと、実の親に対して邪推した自分にすら苛立った。

外出許可をもらい、病院でも動かせるようにメンテナンス機械で調整しようとした。




<…姉様?どこ?>




喋らないはずのアンドールが喋った。

アンドールは笹塚未来の前でだけ話していた。

しかし笹塚未来を慰めることはせず、いつも泣き言や喚きを叫ぶだけだった。

最初は我慢していた笹塚未来もその喚きに感化されて喚くようになった。


うるさいうるさい、私だって望んでこんな体じゃないのよ。

健康な体が手に入るなら、病気しない体が欲しかったわよ。

姉さん姉さんうるさい。あんたの姉さんなんか私は知らない。

なによアニマルデータって。病気もしない体を持ってるくせに。

私が羨ましい?人間の体が羨ましい?ふざけないでよ。

私だってあなたの体が羨ましいわよ、あなたの体が手に入るなら私の体なんかあげるわよ。

それすらできな、いくせ、に…!?


一緒に喚いて同じ病室を見ていて、二人の声だけを聞いて。

思考すらも同調してしまったゆえの事故。笹塚未来はシンクロ現象に陥った。

あまりにもお互いの思考が同調したため、シンクロ現象の深度は深かった。

それゆえに笹塚未来とアダムスは、ANDOLL*ACTTIONを聞かずにクロスシンクロまで至った。

アダムスは全てを思い出した。そして欲しかった人間の体があった。

クロスシンクロで意識交換の主導権はアニマルデータ側、アダムスにあった。

まだ幼いアダムスは迷わなかった。最初から人間の体を手に入れるためにアニマルデータになったのだから。




しかし笹塚未来の体は予想以上に病魔に蝕まれていた。



自由に動けない体。息苦しくて胸を両手で押さえつける。

目の前で蛙のアンドール、中身はアニマルデータになった笹塚未来。

自由に動ける体を手に入れたと言うのに、呆然としてしまっている。

そしてクロスシンクロまで至ったとはいえ、最初の段階はシンクロ現象だった。

シンクロ現象は体に過負荷をかけて潜在意識を引きずり出す代わりに、なにかしらの破滅を起こす。

アダムスが乗り移った笹塚未来の体は運悪く、臓器の調子がおかしくなり吐血してしまう。

緊急手術に入り、一命は取り留めたものの笹塚未来の余命はさらに少なくなった。

そこで笹塚未来はアダムスの体に居座り続ければいいものを、また無理矢理クロスシンクロして元の体に戻る。

主導権はアニマルデータ側、アンドールに入っているデータにあるため不可能ではない。

しかしANDOLL*ACTTIONのないクロスシンクロは、やはりシンクロ現象も引き起こす。

今度は高熱を出して倒れてしまう。笹塚未来の傍でアダムスは熱にうなされる笹塚未来にどうしてと尋ねた。


「私の体だから…あんたみたいな駄々っ子なんかに渡したくなかったのよ…」

<未来…>

「それに、あんたも…もう一度すぐに死ぬなんて嫌でしょ…私だって嫌だもの…」

<っ…ごめんね、未来ごめんね…>


アダムスは幼いがゆえの浅い思考の自分を呪った。

それさえなければ笹塚未来はもっと長く生きれたのに。

たとえ他の人間よりも短い命だとしても、笹塚未来にとっては限られた大切な時間だった。

それを喚いた末に我儘で削ってしまった。しかし笹塚未来はこう言った。


「ねぇ、アダムスは王子様なんでしょ?キスの奇跡とか…起こせないか。蛙は奇跡を起こしてもらう側だもんね」

<未来…>

「…あーあ。思う通りこの体が動かせたら…いや、細胞に命令できたら良かったのに」


病気は細胞を蝕んでいく類のものだった。簡単に言えば癌だ。

細胞は切除するしかなく、あまりにも進行しているとそれすら叶わなくなる。

だからこそ細胞に命令して、今すぐ健全な細胞になれと命令できたら、こんな病気治してしまえると思った。

それこそ目の前にいる蛙の王子みたいな、王族のような執行力があればとらしくないことを考える。






「もー!!私の細胞、全部健康な細胞になれ―っ!!!!」





それは冗談のつもりだった。気晴らしに叫んだだけだった。

しかし簡単な頭痛がしたと思ったら、同時に体が軽くなっていくのを感じた。

幼い頃に普通に感じていた健康という症状に戻っていくような。

体中の悪い物が消えていくような爽快感と、なにかしらの不自然な力が動いているという感覚。


翌日の定期検査で、笹塚未来の病気は消えていた。


病院側は奇跡と言うしかないと語った。ある程度の様子見をして問題なければ退院できると言われた。

さらにはずっと通えなかった学校にも通えると教えられた。両親も一人娘に起きた奇跡に感謝した。

しかし笹塚未来は確信していた。これは奇跡じゃないと。



これは自分が起こした、現実だと理解していた。



そして突き詰めていくと、アダムスが魔女が教えてくれた追加事項というのを思い出した。

クロスシンクロにしろ、シンクロ現象にしろ、これらは脳に干渉する技術だと。

人間の脳には使ってる部分と眠っている部分があるという。

眠っている部分は常に解放すると体に支障をきたすために眠っている。

しかし極稀に第六感という、眠っている部分を一部目覚めさせて不思議な力を使う人間もいると言う。

超能力、霊能力、言葉は色々あるが、眠っている部分には普通じゃあり得ない能力も眠っている。

アダムスが考えるに、二度もクロスシンクロしたため笹塚未来にその第六感が目覚めたのではないかという。

笹塚未来としてはその説明はどうでもよかった。健康になった、これが全てである。

しかし世の中にはこんな偶然が起きずに苦しんでいる病人が何人もいる。


「ねぇ、アダムス…お姉さんは希望ある未来に行こうと言ったのよね?」

<うん。でも希望なんて…ないよね>

「そうね…きっと他のアニマルデータも苦しんでいたり、私よりもひどい病人もいる…」

<人間の体があるから羨ましくて…不安定な人間の体だから病気と健康なんて差別がつく>


人間は決して同じ体に生まれない。全員が違う体を持って生まれてくる。

生まれながらの差別、それをなくす方法があるとすれば、工場生産のような機械の体。

ロボットという体があれば、差別なんてなくなるし病気もしなくて済む。

人間の体を羨むこともない。この時点で笹塚未来とアダムスの思考は一致していた。


「全人類がアニマルデータになれば…」

<全人類がアンドールになれば…>


希望ある未来を作るため、効率的で平等な価値観のために。

二人は決意した。かつてのクラリスが唱えた希望の未来をという言葉を、自分達なりに受け取って。

こうすれば世界平和も夢じゃないと信じて、声を揃えて言う。


全人類アニマルデータ化&アンドール化、と。





「竜宮健斗…あいつみたいな甘い意見じゃ世界なんて救えない!差別なんてなくならない!!」

<そうだね、未来>

「防犯!?守る!?違うでしょう、未来は変える物なのよ!!力で!!犠牲も惜しまない強い意思で!!」

<そう、僕達の意思は未来永劫を平和にするために!!君の力は望みを叶えるために!!>

「綺麗事で病気はなくならない!だから、私は行動する!!今に見てなさいよ…」


力を手に入れた笹塚未来とアダムスは誓い合う。

必ず希望ある未来を作ってみせると。

それができると確信した上での絶対的な自信を掲げて。

その強い意思は確かに惹かれるものがあった。

しかしあまりにも強すぎるその意思は、心を無視したものだった。

それに気付かないまま突き進んでいく姿は、ブルドーザーのように全てを破壊していく。


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