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何時からの凶事

作者: 久木隆泉

人生は劇だと思う。だから人間死ねば他人の人生を見守る観客になるので、生きている間の主役は私に他ならないはず。


皮肉なことに私は今、死体役に興じている。


身体は辛うじて外殻を維持していた。限界はとうの昔に迎え、脳内で何かが蠢いている。


破滅は既に私を見捨ているのに誰かが穢れた明日へと楔を打ち込まむ。終わりさえも私を視えなくしていた。だけどフィナーレは近いと思う。


例によって悲しみや苦しみが優しく侵食し出した。もう私を許しはしないのだろうか。そんな感覚が私を支配した時、目の前に現れた得体の知れない何かが私の首を切断。


糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた私。そこに稀に見るビッグニュースとばかりに無数の餓鬼が湧き、私を貪りだす。


観客席からは笑い声が聞こえてくる。


しかし、何故笑うのだ?


死体役になり下がった私にセリフなど用意されているはずもなく、ただただ横たわりながら死体役の心境を妄想する。しかし、雑念が入り込んで来る。


(何か喋りてーな)


そんな衝動を抑えることが出来ないと思った私は暴挙に出る。


取り敢えず立って見た。


観客席がガヤガヤし出す。


まさかの初アドリブが立ち上がる死体ってどうよ!


たまらず二回目のアドリブが発動。


「臨時ニュースです。昨夜未明に私が死にました。」


喋るゾンビを怪演した私の初舞台。


カーテンは閉まり劇は終わる。


そこにスタンディングオペレーションが巻き起こる世の末は、役を演じた私ではなく、演出家の終わっている価値観そのもの。


さあ、私を仲間にして最高の脚本を


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