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【没ネタ】【新装版】【第弐話】加筆中(更新停止中)

思いついたネタをカリカリと加筆中。


おっぱいバニーちゃん登場回の話になる予定。


 心地よい眠りから目を覚ます。

 睡眠薬も飲まずに、ここまでぐっすりと眠れたのはいつ以来だろう。

 

 見覚えの無い天井に少し思考が停止する。

 ゆっくりと状態を起こし、兎に角まずは冷静になれと自分にいい聞かせる。

 状況を確認するために周りを見渡す。


「いや、見覚えはあるな」

 

 一気に肩の力が抜ける。


 俺の視線の先には、猫耳を生やした女性が己に嵌められた首輪を、割れた手鏡を使って様々な角度から眺めている。

 頬が完全に緩みきっており、ニヤニヤと笑みを浮かべて鏡を見ているアクゥアに思わずため息がでる。

 

 アイツ(・・・)は少々変わった人が待っていると言っていたが、変わっているとかのレベルじゃないな。

 昨日までは、彼女の俺に対する忠誠は演技じゃないかとも疑ってた。

 でも、ここまで盲目的な様子を見ると本気で俺に忠誠を誓ってるようだ。

 正確には、俺と言うよりは彼女の中で信じる神を、俺という存在を通して見てるという感じだけどな。

 

 彼女の願いは決して俺に悪意を与えるものではないとアイツ(・・・)から聞いていたから、どこか安心していた所があった。

 たしかに悪意というよりは好意に近い物だが、想像していた以上に過激的だったから、さすがにこれは困惑するものがあるな。

 ここまで熱烈に異性に好かれたことはないしな。

 いや、ていうかこれは好かれてるっていうのか?

 

 彼女の場合は好意以上に、まるで神を敬うような盲信的な、宗教に近い危うさを感じる。

 神とかそんなものを信じてない俺には縁の無い話だが、知り合いにその手の怪しい宗教にのめりこんだ奴を知ってるから、何とも言えんな。

 

 しばらくその様子をじっと見ていたら、さすがに俺の視線に気付いたのかこちらをハッとした表情で振り向いた後、慌てた様子で手鏡を袋にしまうアクゥア。

 

「お、おはようございます! ハヤト様」


 正座をして深く頭を垂れ、朝の挨拶をするアクゥア。


「おはよう。アクゥア」


 さて、これからどんな事が始まるのやら。

 できれば、これ以上の災難が待っていないことを願うばかりだな。






   *   *   *






「パーティー?」

「はい。迷宮攻略のためにまずはパーティーを組む必要があります」


 食堂から朝食を持ってきて、部屋で食べながらこれからのことを話している時に出たキーワード。

 たしかアイツ(・・・)の話では迷宮を潜るのに複数のチームを作って行動するのがパーティーだったかな?

 

 

「お任せ下さい、ハヤト様。これからの長い旅路をハヤト様が快適に過ごせますように、私が厳選した者達をパーティーに加える予定です!」

「そ、そうか。それは安心だな」


 胸を張って誇らしげに語るアクゥアに、今までの経緯から多少不安に感じるところもあるが一応は頷いておく。


「まずは、ハヤト様の世話係を担当できる者が欲しいですね。暗殺や諜報活動の方が得意な私では、不得手な所がありますから。可能であれば、侍女を経験している者が宜しいかと思われます」


 物騒なアクゥアの得意分野が聞こえた気がしたが、まずは聞き流しておこう。

 侍女? あー、俺の世界で言うところのメイドさんみたいな人のことだな。

 

「侍女をやってる人が、魔物と戦うことで命の危険のある探索者をしてくれるのか?」

「問題ありません。既に候補者は選定してますので、後は交渉次第です」

 

 どうやらアクゥアには当てがあるようだ。






   *   *   *






「いらっしゃいませー。ご予約のお客様でしょうか?」


 女性店員の台詞に、俺は隣にいるアクゥアに視線を移す。

 

「アイネス様に呼ばれてきました。アクゥアです」

「アイネス様ですね……アクゥア様。承っております」


 可愛らしい衣装に猫耳の女性が一瞬だけ宙に視線を彷徨わせた後、笑顔で頷く。

 お店の外観も他の店に比べると高級な雰囲気を漂わせていたため、かなりお高い店じゃないかと不安になる。


「ご予約の2名様入りまーす!」


 女性店員に先導され後をついていく。


「予約してたんだ」

「何かあった時の待ち合わせ場所に、この店を指定してました。特に何も無ければ彼女はここに来ないはずなので、彼女に何かあったのでしょうね」

「どういうこと?」

「ここは会員制のお店です。貴族達がお忍びで来られることも多いです。時には人に聞かれたくないようなことを話すのに、うってつけの場所なのです」


 そう言って、アクゥアは意味深な笑みを浮かべる。

 何やら不穏な空気が漂ってきたが、店員に案内されてとある個室に入る。


 部屋の中には、フードを深く被って席に座ってる人がいた。

 扉を閉めてアクゥアが先に入った瞬間、謎の人物がアクゥアに飛びかかってくる。


「アイネス様、どういうつもりですか?」

「ふざけないで! あなた、初めから知ってたのね!」


 アクゥアの襟首を掴み、フードがずれた拍子に現れたのは幽鬼のように鬼気迫ったような表情の女性。

 睡眠が碌に取れてないのか目元には深い隈ができ、桃色の髪はクシャクシャに乱れている。

 フードを被った時には後ろに倒して隠していたのか、頭からは長い兎のような耳が生えている。


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