4/44
【#004 肉球】
あなたの指が好き。
そのにおいも好き。
夏草じゃなくて秋を過ごした枯れ葉に似た、しめっぽくて独特の匂いがするの。
鼻から吸い込んでいっぱいに満たして、あなたの宇宙に投じられてみたい。
いびつで、きままな。
神様が振るダイスよりも不揃いなリズムであなたは、疾る。
わたしを求めることに焦っている。
心配しなくても逃れたりはしないのに、でも、奔放な空気をすこしは作っておかないと驕るから。
当たり前だなんて思うと神秘が損なわれる。わたしは不動でもあなたのなかでね。
魂の躍動のはなしをしているつもり。
ねえ――焦がれた瞳でもって、初めて触れるようにその指で攫ってみて。
そうしたらわたし。
逃れられないくらいに野蛮に野卑になってしまうから。
* * *




