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遠死集  作者: 美凪ましろ
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【#002 コミュニケート不全】


 分かっているのに。


 またやらかしてしまった。黙っていればいいのに。


 必死に務めるぼくはさぞ、政治家の答弁みたいに間抜けて映ることだろう。


 喋れば喋るほど説明の必要が出てくる。誤解は増殖する。


 分からない伝わない相手が必ずや生成され、発言者に説明の努力を要す。それがコンパイルエラーのごとく続く。生きている限り。まとう人間が現れる限り。


 他者に対するぼくの意識が働く限り。


 言葉は便利なツールに見えてその実、無理解の温床なんだ。


 だからぼくは、閉ざす。


 貝のように閉ざす。


 ぼくという人間を理解してもらうには、硬い小さい石ころになってそれを遠くから眺めてもらうのが一番のやり方だ。


 そうすればぼくがどんなだか、想像するだろう? 分からないなりにイメージが働くだろう?


 ぼくが口を開くことによってそれが、妨げられる。


 上書きされるんだ。


 イメージのほうこそ大切なのにね。


 言葉がありのままで伝わればいいのだけれど、余分なものに修飾される。ぼくの口調見た目声の音程きみの体調コンタクトレンズの度数等等によって。


 かつきみは、自分にとって利益/不利益となるかを第一の判断基準としている。


 これが理解を妨げる。


 あからさまな褒賞なぞ求めぬ無償の言動に思えて実はきみは期待している。真の心の交流、交流にて得られるカタルシス。分かりやすい青春群像劇を。


 加えてもきみは。


 自分が誰かより上位でありたいと願い、かつ存在価値を認めて貰いたがっている、そしてその二点を自覚していない。


 ……ぼくがこんな話をするのはまた新たな誤解を生むだけだね。ひとまず、僕が学校に行かない理由としてこれで十分かい?



 * * *

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