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しんどいェ
二人して息を荒らしながらビル街の路地を駆け抜ける。宛てなんてない。
兵士が追いかけてくる気配がない。私は後ろを見る。いない。
「少し休もう」
東がそう切り出した。私はうんと頷いて、止まり上を見る。
空が灰色にみえる。
東を見ると、地面にへたり込んで肩で息をしていた。私も息があがっていたが、東ほどではない。
「大丈夫?」
「ああ」
私が聞くと即答で返してきた。私は路地の左右をみる。人の気配が無い。
早く、安全な場所に逃げないと。
私はそう思っていると、東が立ち上がった。
「行こう。この先に廃ビルがあるはず」
ふらふらとしていたので心配だったが、うんと頷いてその廃ビルへと歩く。
廃ビルが見えた。私と東は、やっと休めることに対する安心感でいっぱいだった。
不意に東が捕らえられる。
「がっ!?」
東のそんな声が、後ろで聞こえた。私はすぐに振り向く。兵士に東が捕らえられてた。
「東っ!?」
「動くな!」
「っ!?」
私はぴたっと体を止める。東には、銃が突き付けられている。動いたら東が殺される!
兵士は全員で2人だったが、一人は東を抑えていて、もう一方は私に銃を向けている。非常に危険な状態だった。
私は夢中で叫んだ。
「東を離してよ!」
しかし、兵士は口元を少しつり上げて、
「だったら投降しろ」
と言った。もう、終わりなの……?
とりあえず、私は抵抗をしないという印に、両手を挙げる。
東は、私の行動に驚いている。
「ふっ。連れて行け」
私に銃を向けていた兵士は頷いて私に近づく。
その兵士に両手を、後ろで縛り上げられる。痛い。
そして、押されながら、私は連れて行かれる。
「椿! 椿っ!」
「うるせぇ!」
東が殴られた。東っ!
「あずまっ!」
「しゃべるな! それ以上しゃべると撃つぞ!」
私は口をつぐんだ。東がぁ。東がぁぁ。東が突然ぼそっと呟く。
「親父と母さんは?」
体がピタッと止まる。
「あぁ、あの二人か。ははは、後で一緒の所へ、連れて行ってやるから安心しろ。お星様にな」
「っ」
兵士が小声でそう東に言う。東が目を見いた。私も反応してその兵士を見る。
「うそでしょ?」
「ほら、さっさと行け」
私は後ろから押される。進みたくないのに進む。
「うそでしょ!? ねぇ!?」
「うるさい!」
後ろから銃で殴られる。
やだ。やだやだやだ。東が殺される……!
「ピンチかい?」
突然現れた青年に声をかけられる。本当に突然現れた。
「誰だっ!?」
二人の兵士が同時に銃を向ける。顔は印象の良いのに、それに見合っていない白髪と碧眼の青年は
「おっと、撃つなよ。そこらへんの青年なんだからさ」
「ならとっとと引き返せ。こっちは手が空いてない」
その青年が旋律と呟くのを私は聞きのがなさなかった。
青年が呟くと同時に兵士二人の体から火が上がった。
「ぎゃあああ!!」
「ぐがああああああ!!」
それぞれの叫び声をあげ、悶える。東の上に乗っていた兵士は転げ落ちる。
自由になった東は私のところに駆けて来た。
「つばきっ!」
抱きつく。手が使えない私はされるがままだった。青年は私たちのそんな光景を見てにんまりとする。
兵士は、悶えた末に息絶えた。
「よかった、よかったぁ」
東が私に抱きつきながらそう呟く。私は青年をみて、
「あ、ありがとうございます」
といった。正直、旋律のこととかを聞きたかったが、気にしないでおく。すると、青年はにっと笑う。
「じゃあ、僕も連れてってよ」
その青年は笑ったまま言った。私と東は顔を見合わせ、そして、彼を見て頷いた。
三人は一緒に廃ビルに入って行った。




