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眠たいです。
今さらですけど、無断転載禁止です。
東の母と一緒に風呂に入った後、ふかふかした椅子に座っていた。あの二人もそれぞれで何かをしている。私は、目の前の『テレビ』という薄い箱のようなものを見ていた。これがとても面白い。
「ふふっ、そんなに釘付けなんて、やっぱかわいいわぁ」
なんか、聞こえた気がしたが気にしないでおく。やっぱり面白い。
「お、そろそろ帰ってくるかな」
「ん?」
東の父が何か言ったが聞き逃したので、反応で返す。
「東のことよ」
私はばっと東の母を見た。
「ほんとに!?」
思わずそんな言葉が出た。何だろう、早く会いたいという衝動に駆られてすごくうずうずする。東の母は何かの本を見ていた。表紙には「男をイかせる100の方法 two出版」とかいう名前が書いてある。何の本だろう。
「おい、かあさん、そんなものまた読んで」
東の父が食器を洗いながらそう東の母に注意する。それに東の母が
「いいじゃない、あなたにも試すわよ」
と反論した。なんだろ、余計に気になってしまう。
東の父が「やめろ」と受け流して、目の前の作業に戻る。
すると、玄関の方でがちゃりと音が鳴った。もしかして。
「ただいまー」
声変わりはしているものの昔の声の面影は残しており、知っている声を発した人物がこの部屋のドアを開けた。
知っている。いや、追い求めて来たんじゃないか。彼を、東を。目の前には私が一番会いたかった人物がそのには居た。顔は少し童を残しているものの、端正な顔立ち、髪は黒の短髪、目は少しつっていて瞳は黒、昔より成長している。そんな彼とやっと再会できた。
「あずまぁぁぁあぁぁ!!!」
私は思わず東に飛び、抱きついた。もう、嬉しくてたまらない。会いたかった、会いたかった、会いたかった。
「のわっ!」
どでーんと豪快に倒れ、倒れた東の体をギュッと抱きしめた。
「あわわわわわわわ」
東が慌てている。そんな光景を見てた東の母がくすくすと笑う。
「意外と積極的なのね」
「こらこら」
二人は笑顔で私たちを見ている。私はというと、まだ、東を抱いていた。
「わわわわ」
東だけ、ただただ慌てていた。
さっきの椅子に、私と東が並んで座っている。東がバツが悪そうに切り出してきた。
「……椿、あまり成長してねぇんだな。昔のままみたいだ」
「うーん……私も自分の外見全く知らなかったからさ、成長してるかどうか分からなかったんだよね」
「そ、そうか……」
私が東を見つめて話してみると、顔を赤くしてそっぽを向いた。何でそっぽを向かれたのかが分からないけど、やっぱり、東といるとなんだか落ち着く。東の母がそんな私たちを見て、また、くすっと笑った。
「ねぇ、椿ちゃん」
「はい?」
私は東の母の方を向く。東がふぅと詰まった空気を出すような音を出した。
「私のことは『お母さん』って呼んでいいからね」
「……えっ?い、いいの?」
「そうだな、この際俺のことも『お父さん』って言っていいんだぞ」
東の父もそう言ってきた。正直、私は嬉しいのだけど、親がいなかった私にとってはどう接すればいいのかが分からない。東の方を見る。
「言えばいいよ。二人も喜ぶから」
「え、じゃあ。……お父さん。お母さん。?」
「きゃあああああ、かわあいいいいい!へぶっ」
「うるさい。でもいいな、義娘にお父さんって言われるのは」
お父さんはお母さんの頭をぺしっと叩いた後、ぐでぇとにやけた。……義娘?
「親父、どういうことだよ。義娘って」
「えっ、だって、椿ちゃんは東の許嫁になるんだよ。これから」
「はいはい、許嫁ね……えぇえぇ!?いたっ!」
東が叫ぶながら立ち上り、すねをテーブルにぶつけた。許嫁ってなんだろう。気のせいか、東の顔がすごく赤い。そんな状態で、また叫ぶ。
「お、おおおお俺はべつにぃぃけどもよ、椿がい、嫌じゃないのかよ?」
「何か分からないけど、私は嫌じゃないと思うよ」
「ほら、本人も嫌って……えぇっ!?……いいのかよ、俺で?」
「うん!」
何言ってるかさっぱりだけど、私は東を嫌わないし、東と一緒に入れるならこんなにも嬉しいことはない。すると、さっきまで倒れていたお母さんが立ち上がり、東のように叫びだした。
「えんだああああああああああ!いたっ」
また、お父さんが叩いた。
「ほ、本当に俺でいいんだな?」
「ん?うん。いいよ」
東が聞いてきたので私は即答した。心なしか、東がえへへといった顔になっていた気がした。
「じゃあ、これから。よろしくな?」
「うん!」
私は、大きく頷いた。




