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目の前に黒い空が映る。

私は倒れていた。何が起きた。何がどうなった。わけがわからない。

確かに、私は東に刺された。

ずきっ

「くっ」

お腹に激痛が走る。刺されたのは本当だったらしい。

そうだ、東。

私は体を起こした。血が溢れだす。

「がはっ」

口から赤い液が出て、それが地面に広がる。

私は周りを見渡す。

東は、すぐ隣で倒れていた。

とても傷だらけだった。でも、息はしている。

「あ、あずまっ」

体を揺らした。何が起きたのかを教えほしい。

「くっくっ。あははははは!!」

「っ!?」

東がいきなり笑いだした。私は警戒をする。

しかし、東はため息をつき、少し微笑んだ。

「俺は東じゃない」

「えっ!? ぐっ……でも、あ、東だよ」

驚きで少し体を跳ねあげてしまって、おなかが痛み顔が歪んだ。

「東だけど東じゃない。さぁ、殺せ。俺の負けだ」

「やだ!」

私は即答する。そんな! 東を殺すなんて!

「さっき言われたのは。っゆ、許してあげるから、い、っしょに生きようよ」

「俺は。死にたい」

「殺させない!!」

がばっと東に覆いかぶさり、手足で自分の体を支える。私の血が東の体に浴びる。

「一緒じゃなきゃやだ!」

だが、東は呆れた顔をした。なんで、そんな顔をするの?

「もういい」

ずぶり

嫌な音が聞こえた。私は恐る恐る東の体を見る。

「あ、あずまっ」

東の胸に黒い物が刺さっていた。東がげほっと血を吐き、背中からは赤いものが広がっていく。

「最後にさ」

「最後なんて言わないでよ!」

黒いものが消える。

私はギュッと東を抱きしめた。生きたい! 一緒に!

「東はお前のこと愛しているらしいぞ」

「え」

上半身を少し離し、顔を間近で見る。東は静かに目を瞑ろうとしていた。

「寝ないでよ!あずまぁ!いっしょにいきようよぉ!」

「じゃあな」

そして、目を瞑った。

「あずま?……ねぇ、起きてよ」

東は目を瞑ったまま動かない。ねぇ、うそでしょ。

「あ、あず。あああああぁぁ!!」

私は一心不乱に叫んだ。

「ねぇ!! 起きてよ!! ねぇ!! あずまぁ!!」

目から大量の涙を流す。ねぇ、あずまぁ。

しかし、東はぴくりとも動かない。

その胸に顔を押しあてる。

「おきてよぉ。あずまぁ。ねぇ」

叫ぶたびに激痛が走り、私は声を出せなくなっていた。

「あず……ま」

何もできない自分が悔しい。ただ、こうして叫ぶしかできない私が悔しい。

でも、東は動かない。もう、うん。分かってる。

「んくっ。ひくっ」

泣くしかできなくなっていた。最後に私はぎゅっと抱きしめる。

だんだんと冷たくなっていく彼。私の体温も下がってきているのがわかる。

この世界で生きていても、意味なんてない。


私も死のう。


死んで東に会おう。そして、謝ろう。こんな私でごめんなさいって。

私は体を起こして座る。そして、剣を作って握った。

どすっ

もう、これでいいんだ。これでやっと死ねる。

そのまま東に覆いかぶさるように倒れる。

やっと行けるよ。あずまぁ。ちゃんと、おかえりって言ってね。

私はゆっくり目を瞑る。



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