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東は何処なのだろう。
ふと空を見る。空が赤みがかっていた。
もう、このまま会えないのかな。
そう考えていたら、いつの間にか家まで帰ってきていた。
家には銃弾の跡があり、血の跡もある。ここで争ったことが一目了然だった。
私はその家の中に入る。廊下は荒れていて、黒くなった血がこびり付いていた。
そうだ。お父さん、お母さん。
そのままリビングに向かう。
兵士の死体が山積みになっている物にもたれかかって、お父さんとお母さんが肩を寄せ合い、手を握って眠っていた。
「あっ!」
私は急いで二人に近づいた。自分でも笑顔になっているのがわかる。
そして、そのつないでいる手を握る。
「っ!!」
……冷たかった。知っている。この冷たさは。
お父さんとお母さんは死んでいた。
あまりにも生きているようにしか見えない。
「っ。んっくぅ」
涙が流れた。私は声を押し殺しながら泣く。お父さん、おかあさん。
「ごめんね。ごめんね。私がぁ来てぇ」
泣きながら、自分自身の存在を恨んだ。私が存在しているから、この二人は死ぬ羽目になった。
でも、泣いていてはいられない。東を探さないと。
私は歯をぐっと噛み、二人に背を向けて立ち上がる。目の涙を擦り取った。
「んっ。い、っできます」
二度と喋らなくなった二人を背に私は家を出た。
外に出ると、赤みが増した空が目に入った。
「ひくっ」
まだ、泣きたいと私の感情が押し寄せる。
私はもう一度ぐっと堪えて、家の方を見た。
じゃりっ
そんな音が聞こえた。
私はゆっくりとその音の主の方を見る。
……東だった。
追い求めていた、早く会いたかった。
私の中の気持ちが凄く高まってくるのが分かる。
「あず」
言いかけた。
「旋律。knife」
どすっと自分の右肩に黒いものが刺さる。
「ま」
突然のことで私は言葉が止まる。その肩の物を見た。真っ黒のナイフだ。
震える視界で私は東を見る。東が笑っていた。その手には、旋律陣が浮いている。だけど、何で東が?
「あ、ぅあ……」
上手く声が出せない。訳が分からない。ナニガオキテイルノカガワカラナイ。
「やっと会えたね、椿」
まだ、起きていることがわからない。
なんで。なんで、なんで?
「あず、ま?」
目が見えた。笑っていなかった。
「さぁ、俺はお前を殺す。お前はどうする?」
東の影から黒いものがゆらゆらと立ち込めてくる。それの元には旋律陣があった。
「どういう、こと」
「まんまの意味だよ。俺はNo.2045という名の異端者を殺すだけ」
ぶんっ!
東がもう一度その影を飛ばしてきた。
「っ!?shield!」
その影は私の前で止まる。東は依然と表情だけ笑っていた。
「さぁ、どうする?」




