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「んっ」
そんな声が、私の目覚ましになった。うっすらと目を開ける。
目の前に、つーが寝ていた。何故か、私に抱きついて寝ている。がしっと男に掴まれたみたいに、動かない。
もぞもぞと私の胸に顔を押しあててきた。ぎゅーと抱かれる。少し痛い。
「はぁ」
ため息を漏らして、私はつーの獣耳の生えた頭を撫でる。ぴくっと耳が動いた。
「ん?」
少し、髪を掻き分け、耳と頭の接点を見る。見事に繋がっていた。
「やっぱり、これ本物なんだ」
「んー? ふぁぁっ」
私がそう呟くと、つーが欠伸をして目を覚ました。
そして、抱いている腕を外して体を起こす。私も一緒に起きた。
「朝飯作るから待っててな」
つーがそういうと、ベッドから降りて、部屋を出た。
私は窓から外を見る。すぐ近くにビル街があった。
東……生きてる。よね?
私とつーは一緒に家を出た。つーは大きなケースを4個担いでいた。
「とりあえず、俺は別に探すから、椿はこのビル街を歩き回ってくれ」
「う、うん」
つーはそういうと、そのケースの重さを感じさせない足取りでビル街の方へと歩き出す。
「ね、ねぇ!」
その姿を見て、私は声をかける。つーは私の方を振り返った。生きていてほしい。
「……生きて。私と、東と一緒に」
「わかった」
私の言葉を遮るように、つーは微笑みながらそう答えた。そして、その姿が消えるまで、私は眺めていた。
ふと、空を見る。『雲』が一つもない青空だった。




