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眠い(約3度目
私は目を覚ました。知らない天井。そして、何故か私はベッドで寝ていた。
体を起こした。体中が痛い。周りを見渡す。
部屋は綺麗で、シンプル、小物が少ない部屋だった。どちらかというと、男性の部屋という感じ。
ただ、その部屋には似つかわしくない、銃器がいっぱい置いてあった。
ガチャリ
ベッドの隣にあったドアが開いた。突然空いたので、私は体を張って警戒する。
そのドアから、見たことのある、人物が入ってくる。
「あ、起きたのか」
「あっ……」
震えて声が出ない。
赤髪短髪に赤眼という、普通ではない少女。頭からぴょこんと髪と同じ色の猫みたいな耳が生えており、腰のあたりからそれと同じ色の尻尾が出ている。それだけで、十分奇抜だった。
それらを省けば、普通の少女。しかし、その声は幼体に似合わず大人びている。
「久しぶりだな。椿」
その少女、しおざめつーは胸に手を当て、会釈した。
「なんで。何でつーが!?」
思わず叫び気味でそう聞いた。それに、つーは歯をギリっと噛みしめた。
「俺は、十五に言われたんだ。遅かったけど……」
相変わらずの男口調でそう言った。とうごって?
「とうごって誰?それに、遅かったって」
「東の父親だよ。でも、お前一人しか見つからなかった」
そうだ! 東っ!
「っ! 東はっ!?」
私は慌てて立ち上がって、その部屋を出ようとする。
しかし、つーが私を抑えつけて制止する。
「くはっ!?」
「大人しくしとけ。お前の体が壊れる」
その体に似合わずの体重と力だった。
「あずまがぁ」
また、私の目から涙があふれてくる。悔しい。あまりに無力だった。
「明日になってから動いていい。今日は動くな」
「なんでぇ。私は、自分がどうなってもいいのに……」
それに、つーが少し力を加えた。いだっ!
「いだだだだ」
「お前が壊れて、東が喜ぶか?」
「っ!」
言葉を失った。私はいつも、私のことばっかり考えていた。そのことが分かり、私は一層涙を溢れさせた。私は、あまりにも馬鹿だった。
「今日は大人しく寝ておけ。もし今、旋律を使って俺を殺そうとしてみろ。俺も容赦はしない」
私は涙で揺れる視界の横でつーを見る。ゴミを見ている目だった。前と大違い。
「私は」
言いかけて口を噤んだ。何言っても、つーは動かないだろう。
すると、簡単にもつーが私の上から降りる。
「でも、旋律を使っても打ち消せるけどな。あははは」
さっきの目とは違い、軽快に笑いながら私の手を引く。そういえば、つーに関してまだ分からないことがあった。
「つーって、異端者?」
「んや?ちがう。でも、見方次第で異端者だね」
軽く返された。どういうこと?
「どういう……」
「1世紀も生きてたら嫌になるよ」
1世紀とはどういう意味なのか。知力の無い私には、わからなかった。
「まぁ、旋律は使えないけどね」
「あの時も、ずっと銃器使ってたよね」
「ああ」
そう、あの時。私とつーが出会ったのは、脱獄の時の事件。
すると、つーはひょいと一つの大きな銃器を片手で持ち上げる。
「俺も、生きている意味が無いのかもしれない」
その銃器をなでながら、つーは呟いた。
「私だって」
「お前には、東がいるだろ」
言葉を邪魔された。でも、確かに、そうなのかもしれない。でも、今はいない。
「今は、いない……よ」
「幸せは自分で掴み取るもんさ」
その銃器をおろしながら、つーは私の頭を撫でる。背がつーの方が小さいので少し背伸びをしていた。それにつーがくすっと笑う。
「成長してるんだな」
「うん」
私はつーを見る。全く成長をしていない。彼女はどんな存在なのだろうか、だけど私にはわからなかった。
つーはベッドの上に座り、ぼーっとベッドの壁にある窓の外を見る。
この時も、何を考えているのかが分からない。あの時も……
「明日、俺も東を探すのを手伝う」
突然、つーが私を見た。私は体を跳ねあげてしまった。
「で、でも、兵士たちに連れ去られたんだよ」
「もしかしたら、……まだいる」
つーは柔らかな、やさしい笑顔になった。
「お前たちの幸せをつかみ取ってやるよ。お前たちに代わって、な」




