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私は東と一緒に警戒をしながらビルの間の路地を進む。桜とは、ビル街に入る前にわかれた。辺りに兵士の気配はない。
「この先の廃屋で落ち合うんだっけ?」
「うん」
後ろの東がそう聞いてきたので、私は頷いた。道は、ひたすらコンクリートの壁だった。そういえば、人の気配が無い。今日一回も見かけていない。おかしい。
「人居ないね」
私は、ビルの間から大通の様子を見ながら言った。東も一緒に見る。
「確かに、なんでだ?」
「今日、避難勧告が出されたんですよ」
突然の女性の声。私と東はその方向を見る。路地の先から一人の女性が歩いてきた。
黒髪ショートで、10歳後半程度の女性は、私たちの10メートル先で止まる。
「避難勧告?」
私は警戒しながら聞き返す。東も警戒している。女性はニヤリと笑い、
「異端者がまぎれているからよ。『2045』」
その言葉で私はわかった。自分でも目が大きく開いたのがわかる。この人、危ない!
東は私の後ろに隠れている。東は異端者じゃないから何もできない。
女性は落ち着いた様子で腕を組む。
「ここじゃ暴れられないでしょ? どう? 一緒にダンスでも」
「嫌だ」
即答した。女性は怪訝な表情になった。私はいつでも逃げれるように、東の手を握る。東も握り返してきた。
「最近の子は連れないわね。いや、あなたの方が長いか。いいわ、ここで殺してあげる」
女性はその後、旋律と呟く。それと同時に、私と東は一緒に大通へと、走り出した。
「あいつも異端者かよ!」
「でも変だよ、何で狙われるの!?」
二人で一言交わしながら全力で逃げる。後ろから水のような液体が追いかけてきた。
大通りへと出る。慌てて、集合場所方面に向かう。水のそれは、私たちの後ろを横切ってビルにぶつかった。ドゴンと大きな音を立て、ビルに大きなくぼみを作る。
「私の旋律は『圧縮』」
そういいながら、女性は水の中から現れる。私は構えた。でも、東を狙われたらおしまい。
「東、すぐ追いかけるから、先に集合場所に行って」
「嫌だ。お前ばっかしつらい思いをさせたくない」
「行って、お願い!」
私は東を見て、手を両手で握った。東は、数秒間黙ってから、頷いた。女性は、遠目から私たちの様子を見ている。
「わかった。生きろよ」
東はそう言って、私に背を向ける。
「うん」
小さく頷いて、女性を見る。少しいらだっている。後ろでは駆ける足音が、だんだん離れていく。
「最後の挨拶は終わった?」
「最期じゃない、再会のための挨拶だよ」
「再会は、叶わないわよ」
女性はそう言って構えた。




