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バイトしんどいですしおすし
目が覚めたので、私は体を起こす。眼が半分しか開いていない状態で、周りを見渡した。東が私の隣で寝ている。桜はというと、座って外を眺めていた。
ぐっと伸びをした。外はまだ暗い。
東が少し私に抱きついていたので、起こさないように手を外し、桜の隣まで行く。桜は私に気付き、私を見た。
「もう起きたのか」
「うん」
私はそう答え、桜の隣に座る。外はビルすら光を放っていない。都市なのに。その異様な光景に眼を奪われていた。桃色の花が揺れている。
「椿ちゃんは生きたい?」
「ふぇ?」
不意に桜が、聞いてきた。私は突然のだったので間抜けな声しか出なかった。あれ、椿って。
「名前は東くんから聞いたよ。いい名前だね」
「え、あ。えへへ」
なんだか照れくさかったので、そっぽを見る。それにしても、生きたい?……か。生きたい。生きたいけど、生きてどうしたらいいのだろうか。
「生きたいけど。わからない」
私はそう呟いた。桜は私に耳を傾ける。
「僕もそうなんだ。生き残っても、あとあと何をすればいいのかがわからないよ」
私はというと、生き残ったら、まず、東と一緒に『学校』という場所に行きたい。それから、『結婚』して、『結婚式』を挙げて……お母さんとお父さんに見せれないなぁ。お母さん、お父さん。
眼から涙が溢れてきた。やっぱり、兵士が言った通り、死んじゃったのかなぁ。一緒に居たかったのに……。
すると、桜が私の頭を胸に押し当てる。
「僕にも、もし手助けが出来るなら、この胸を差し出すことが出来ますよ」
「ひくっんぐっ」
私の口から嗚咽が漏れる。おかあさん。おとうさん。会いたいよぉ。
私は桜の胸を借り、ひたすら泣き続けた。
そうしているうちに太陽が上がってきた。
だいぶ落ち着いた私は、東を揺さぶる。
「東ぁ。朝だよぉ」
「んぁ?」
東が目を擦りながら体を起こした。まだ、眠たそうにしている。
私はぎゅっと東に抱きついた。
「うぉっ。どうした椿」
「東成分補充中ぅ」
「ふふ。微笑ましいですね」
桜がほほ笑みながら、私たちの隣に座る。
私が抱きついていると、東は自分の体を臭った。そして、ちょっと顔をしかめた。
「臭くないか?」
私は東の体に、顔を押しつけて臭う。東の匂いがする。
「東の匂いがするぅ」
「それって汗臭いって言うんじゃ」
東はぐいっと私を押し返した。私はあぁと情けない声を出しながら東から離される。
「さて、次はこっちの方向に行きましょうか」
桜がそう言って、立ち上がる。東も賛成と言って立ち上がった。私も立ち上がってから、うんと大きめに頷いた。
私たちは、廃ビルを出て、桜の言った方向へと歩き出した。




