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眠たいェ

廃ビルの4階で、私はへたりと地面に座る。青年は立ったまま、影から外を眺めていた。東も私と並んで地面に座った。

私は青年を見る。見た感じ、髪と眼以外は普通の青年で、それ以外何にも変哲もない。だけど、この青年は確かに、旋律を使った。

「あの」

私がからからの喉で声を出すと、その青年は私を見た。

「なんだい?」

彼はそう言って、私の前まで来て、座る。東も彼を見ている。私は単刀直入に聞いてみた。

「さっき、旋律。使っていたよね」

「ありゃ、ばれてたか。ということは、君も『異端者』かい?」

「うん」

彼は、頭を掻きながらあははと笑った後、自分の胸に手を当てる。

「僕は『No.2050』。異端者さ。使う旋律は『発火』」

「私は『No.2045』。同じ異端者。使う旋律は『空気』」

「お、俺は東。い、いっぱん、じん……?」

私も一応名乗っておく。東は何が何だかわからない様子で、眼が私と彼を往復していた。まだ、東には異端者について、話していなかったことを思い出した。

東は戸惑いながら、私に聞いてきた。

「そういえば、旋律って何?」

「うーん、旋律よりも先に、異端者についてだよね。まず、何で私たちが異端者って言われているのは、その旋律が使えるからだよ」

私は東に説明をする。それに、東は真剣に聞いている。

「その旋律というのは、簡単に言うと、原子が集まって分子になるし、それが集まると物質になる。それと同じ要領で、物質はいくつもの旋律が、集まって一つの物質を形作っている。と、いう考えを著した、ある学者がいたの。その、旋律が自由に扱える人が異端者」

「扱うって、さっきの銃とか、炎とか?」

「うん。例えると、私の旋律は空気だから、ここの空気の旋律を組み替えて、暖かくすることが出来る。それに、空気の旋律を高圧縮することで、鈍器にもなるし、鋭利に組み替えると剣にもなる。旋律、sword」

私は作りだした透明な剣を、近くに積み上がっている木に向かって投げる。木に剣が突き刺さり、、切り傷が入った。

「こんな感じ」

「へぇ」

東はいまいちわかっていない様子で、頷いた。すると、2050が話に割り込んできた。

「ちなみに僕の旋律は発火。水素と酸素とあと、摩擦とかによる物理現象の旋律を操れる。だから、発火だけっていうわけじゃないんだけどね」

「へぇ……」

東の頭から、煙が上がっていたので、私は東を揺さぶる。

「あ、東?」

「んぁ?あ、ごめん、全然わからんわ」

そして、ぷしゅーと音を立てて倒れた。一気に話し過ぎたのかもしれない。2050はそんな東を見て、けらけらと笑った。

「わからないのは仕方ないね。僕も正直よくわからないから」

「私も」

私もなぜか、やさしい顔になって東を見つめていた。東はう-う-と唸っていた。

2050は私と東を見比べている。私は2050に何?と聞いた。

「いや、お似合いのカップルだねって思ってね」

「えっ」

「えっ」

私と東が二人して間抜けな声が出て、顔を合わせる。一緒に顔がゆるんだ。人から見てそう思われると、やっぱり嬉しい。

東は立ち上がって、2050を見る。そして、頭を掻きながら、聞く。

「名前ないんだよな」

「そうですね」

2050が即答した。それに、東はうーんと考え出す。きょろきょろと周りも見る。

私は、とりあえず寒くなってきたので、旋律でこの階だけの空気を暖かくした。

丁度、外にはピンクの花が咲いている。東はそれをみて、2050を見た。

「お前の名前は、十月 桜だ! よろしくな桜!」

「ありがとうございます」

東が命名すると、2050もとい、とづき さくらは深々と頭を下げた。東は花に詳しいのかもしれない。

「ん? そういえば、暖かいな。11月なのに」

「私が暖かくしたよ」

東が聞いてきたので即答した。東は「ん?」と考えだし、少しした後、あっと声を出した。

「旋律?」

「うん」

私は冷たい地面に寝転ぶ。十分に外気で冷やされた地面は凄く冷たかった。でも、それよりも眠気が勝っている。

桜は影から、また外を見ている。外の空は赤くなっていた。

兵士は来ない。たぶん、一時的に逃れれているだけ。

次は、何処に逃げようか。そう思いながらも、私はゆっくりと瞳を閉じた。

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