%1
久々に更新します。
『こんなはずじゃなかったのに…』
‐‐‐
…眠たい。いっそこのまま眠っていたい。
薄暗い闇の中で私は目を覚ます。堅いベッド、剥き出しのコンクリート。何もかもがいつも通りだ。
その闇の中で体を起こす。回りを見渡すと、くきっと首の骨が鳴った。気持ちがいい。
「…ふあぁぁぁっ」
のんびりと欠伸をし、鉄格子の扉を見る。パンの一切れがそこにはあった。水が欲しいところだったが、あいにくこの部屋には飲める水がない。仕方なくそのパンを手に取った。
「はぁ」
ため息を漏らしながら私は、そのパンを一かじりする。やっぱり水が欲しい。でも無い。
「配給当番め。水を忘れやがったな」
水を諦め、私は数少ない食料をちびちびと食べた。
「…今日も何も無いのかな? まぁ、いつも通りだけどね」
そう呟きながら寝転ぶ。手足に付いた鉄はいつも通り重い。
すると、外からかつかつと誰かが近づいてきた。見張りだろう。
気にせず寝返りを打って寝転んでいると、その足音が私の所で止まり、のしっと座ったような音が聞こえた。
何だろう。私がそう思っていると
「なぁ」
と、見張りが話してきた。
声は、少し低めの男性の声だった。
私はその言葉を無視する。話していると、体力の無駄だだからだ。
「聞いてるなら勝手に話すぜ?」
「……」
ちらっと私はその男を見た。見たことのない見張りだった。新入りだろうか。
「あんたが俗に言う『異端者』か?」
「……」
ちょっとだけこくっと頷いてみた。
「そうか」
通じたみたいだ。
「こんな可愛らしい女の子までもが、こんな仕打ちされてるんだな」
「……」
そういえば、私、女だったんだ。そんな普段考えないようなことも今考えた。
「水飲むか?」
「えっ」
水という言葉に私は思わず反応して起き上がった。
「やっと起きてくれた」
そんな私を見て男はニッと笑い、鉄格子の中に水の入ったボトルを置く。
私はそれを取り、ぐびぐびと水を飲んだ。
「おぉ、いい飲みっぷりだな。ハハハ」
水を飲んで気力が戻った私は聞いてみた。
「あなたは?」
「俺は見張りさ」
即答された。でも、男は言葉をつづける。
「いやさ、お前が丁度俺の息子と同じ年頃なんだよ。だから気になって…な。ここの見張りと替わってもらった」
「…そう」
男は淋しそうな目で天井を見た。私も釣られて見る。ただの剥き出しのコンクリートだった。
「さて、そろそろかな?」
そう言った途端にとてとてと小さな足音が聞こえた。
「とーさん!」
男の子の声だった。私とあまり変わらない男の子が見張りに抱きついた。右手には赤い花を持っていた。
「もう帰るよ」
この言葉はどっちに言ったのかが分からなかったが。とりあえず「はい」と言う。
「君だれー?」
男の子が私に聞いてきた。
「私は…名前ないの」
嘘ではない。それに男の子が反応して
「えー名前無いの? 僕は東って言うんだー」
「東ね、覚えておく」
生きていたらだけど。という言葉は出さずにしておく。
「でも、名前聞いてないから不公平だよ。僕が名前決めるよ」
「おいおい東」
見張りがなだめるが聞く耳を持とうとしないでうーんと東が悩む。
そして、東はその手に持っていた花を見張りに見せて
「この花何?」
「…これは『椿』って言うんだよ」
「じゃあ、君の名前『椿』でけってー! よろしくね椿!」
「え、あ、うん」
東が『椿』という花を私に渡しながらそういう。突然で反応できなかったが、名前が無かった私にはとてもうれしかった。
見張りはそんな東と私を見て、紙に何かしら書きだし、書き終えたかと思うと私に渡してきた。
その紙には住所が書かれていた。
「…これは?」
「もし、ここから出れたならここに来るといい。持て成すよ」
いまいち何かが分からなかったが、ありがとうと小声で言った。
そして、二人は帰って行った。
数年後、ある事件が起き私は脱獄に成功




