プロローグ
初めまして、wetafunです。
連載に今回初挑戦します。未熟な部分も多いでしょうが、努力していきますので、どうかご愛読お願いします。
また、この作品は時系列を多少バラしてありますので、難しい点も出てくると思いますが、出来る限りわかりやすく書いていきますのでどうかご理解を願います。
現代の夏、黒いミニバッグを肩にかけたTシャツ姿の少年が公園の広場で立っていた。
今までに起きたことが信じられないというような顔をしていた。
周りには誰もおらず、気配もなかった。
古い公園で、到底整備されているとは思えないような有様で、草がコンクリの隙間から蔓延っている。ほとんど草場と言っていい場所で周囲には疎らに木が生えていて、その間から殺風景な真っ白な空が見えていた。
少年は、まるでそこに何かが在ったかの様に5m先の地面を見つめていた。
やがて首を上げて、空の方を見上げた。
「3ヶ月後か…」
少年は呟くと、静かに歩きだした。
心此処に非ずといった感じだったが、歩く方向はしっかりしていた。歩き慣れている道なのだ。
太陽はすでに西に傾いていて、白かった空に段々と鮮やかな橙色が着いてきた。
少年は赤信号で立ち止まった。道路は広々した2車線道路で、いくら車が来てないとはいえ信号無視するわけにはいかなかった。とりわけあんな事が起きた後では…。
少年はこれまでに起きた出来事を頭の中で整理していた。
「3ヶ月か…」
そう呟いて顔を上げると…。
少年の目にあるものが飛び込んだ。
事故を起こしてフロントが大きく凹んだ外車が夕日を浴びながら前を通り過ぎる様だ。
少年には車種までは解らなかった。知りたくも無かっただろう。
やがて信号は青になり、少年は歩きだした。
5分後、彼は自身とその家族が住むアパートに着いた。
そこがまた酷い有様で、彼の部屋の二階まで上がる鉄製の15段の階段は錆び付いて10段目がぽっかり抜けている。
おまけに彼の部屋のドアは蹴り入れられた状態で、部屋の前に掲げられたプラスチックの名札は読めなくなっていた、読めるのは部屋番号「204」の数字だけだ。
彼は元気良く部屋に入っていった。
「ただいま!」
その大声は彼の両親だけではなく、アパートの住人全員の腰を抜いた。
「生きてるっていいな…」