詩: 秘密の光 争いの影
掲載日:2026/02/27
SNSの小さな画面で
あなたとわたしは
互いの素性も知らないまま
出会いました
高校生のわたしたちは
それぞれの家が抱える
大きな影のことなど知らず
疑うこともなく
豊かな日々を過ごしていました
けれど
あなたの家とわたしの家が
業界のトップを争うライバルとして
長いあいだ憎しみを積み重ねてきたと知り
眠れない夜が続きました
それでも
放課後の駅の片隅で
わたしたちは名前を呼び合い
小さな秘密の光を分け合いました
やがて
二人のことが親や親戚に知られ
大人たちの争いはさらに激しくなり
誤解は雪のように降り積もり
再会の道は閉ざされました
互いの家の事情は
高校生のわたしたちには
どうすることもできなくて
ただ時間だけが過ぎていきました
それでも
二人が紡いだ記憶は胸を温め
あの日の駅の匂いまで
そっと呼び戻しました
数年後
業界の環境が変わり
大人たちの争いも
少しずつ形を失いはじめたころ
偶然 大学の講義の名簿に
あなたの名前を見つけました
胸の奥で
長く固く結ばれていたものが
静かにほどけていき
閉ざされていた扉が
そっと開く音がしました




