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現実と夢と空想のあいだに

作者: 深水湖水
掲載日:2026/01/15

 現実と夢と空想のあいだに 深水湖水


 ここはどこなのか?

 わたしは誰なのか?

 確かにここは知っている。

 知っているのにわからない。

 知っているという感覚だけが確かにある。


 空は広く、白い千切れ雲がそこかしこに浮かぶ。

 視界の届く範囲、どこまでも連なる建物の背はどれも同じくらいの低さで、瓦屋根はほとんど見られない。大抵は二階程度の小規模な集合住宅だ。

 それらの間を走る道路は整然としていて道幅も広く、多くの車が行き交っている。歩道を歩く人も多い。だが、車も人も姿は見えない。そこにいるだろうと感じられるだけだ。


 わたしは一人だった。

 大きな都市の、その辺縁の、大河のほとりの街に。

 街はあり、車は走り、人はいる。

 街、車、人、それらはいて、でもいない。

 それはわたしも。


 わたしは思い出す。

 そうだ、大河があったのだ。

 空の広さは、それが近くにあるせいだ。

 その証拠に、集合住宅の群れのずっと向こうに巨大な堤防が見えている。


 これは夢ではなく、空想なのだが現実に体験したことが元になっている。

 そのことは、はっきりと自覚している。

 なぜなら、この空想のもとになった体験を、今でも克明に思い出せるからだ。


 それは、わたしが少年だったある日のこと、自転車で大河の河口を目指して街を駆け抜けた、その帰り道でのことだった。

 わたしは確かに見たのだ、いや感じたのだ、この風景を。

 

 そして少年だったある日、この空想のもとになった夢を一度だけ見た。

 以来、ちょっとした瞬間に、この場面を空想するようになった。

 なぜ、そうなったのか?

 なぜ、そうしているのか?

 理由はわからない。

 現実と、夢と、そして空想の間にきっと何かがあるのだろう。

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