3。私が聖女
《山下視点》
「はぁあ…。さいこー」
クローゼットから選んだレーシーな下着を付け、ご自由にと言われたジュエリーを掴むとベッドの上にばら撒く。
「これ全部が私のものだって!!」
あの日。
会社で浜崎先輩と階段から落ちた私。気づいたら異世界転移しちゃったみたい。
そして異世界に来た瞬間から「聖女様」と崇められてしまった。私は可愛いからみんなが勘違いするのも仕方ない事なのよね。
いっつもそうなの。
私可愛いから男性に勘違いされちゃうし、そのせいで女性に嫌われちゃう。
彼女持ち、奥さん持ちの男性に言い寄られるのを受け入れてしまう私もいけないんだけど。
だって人のものって凄く美味しそうに見えるし、求められるって幸せでしょう?
歴代の元カレとも別れたと言いつつ、カラダは繋がってたし。
何人いたかな…みんな私が可愛いから離れられないのよね。
だからこの世界に来て、王子様の扱いが特別なのも仕方ないわ。
部屋に案内されると王子様が「御用があればなんなりとお申し付けください」と言うから、控えめにまずはドレスを着替えたいと言ってみたの。
だって、ドレスって憧れていたんだもの。
王子様は頷いて、聖女専用のドレスルームに案内してくれた。
ドレスのデザインは古いものから新しいものもある。
そしてそれに合わせたジュエリーも揃っていて、全て私が好きにして良いって。
背中が大きく開いた肌を見せるドレスを選んで、すぐにメイドに着替えさせてもらう。
「あの…王子様、ご一緒にお茶しませんか?その…私…この世界のこと知らなくて不安で…」
上目遣いで甘えた声を出して誘ってみれば、申し訳なさそうに「私は仕事が多くお相手はできません」と信じられない返事をされた。
聖女の私が誘ってるのに?王子様は聖女と結ばれるんじゃないの?
しかしすぐに「私はお相手出来ませんが他の者をこちらへよこします。お茶のお相手は、女性でよろしいですか?」と言ってくれたので「女性は意地悪な人が多いので…出来れば優しい男性がいいです…」と思いを伝える。
するとさすが王子よね。
1時間しないうちに素敵な男性たちに囲まれたお茶会ができたわ。
それから毎日男性たちを呼び寄せ、部屋や中庭のガゼボで楽しくお茶会をしていたのだけれど、仲良くなればなるほどお茶だけでは物足りない。
夜はみんなで楽しくお酒も飲みたい。せっかくなので夜のパーティにも参加したい。
その事を王子に言ったら「聖女様という複雑な立場ですので、大きなパーティは無理ですが、自室パーティであればご自由にどうぞ」だって。
王子の権限使ってでも聖女お披露目は開催してほしいと思う。
私は優しいからそんなわがままは言わないけれど。
仕方ないから普段お茶会する気の知れた男性たちと、自室のパーティで我慢することにした。
そして…
お酒が入れば自然に体を求め合うようになるのは仕方ないと思う。
特に男性は、私のように可愛い女の子に手を出さないのは…もったいないし、なんとかの恥よね?
毎夜毎夜、好みの男性に身体を求めてもらえて幸せ。
先輩のせいで部長に怒られたけれど、、、
「やっぱり自分は間違っていなかったわ〜」
浜崎先輩、目障りだったのよね。
仕事出来ますアピールがウザいし、彼氏いないとか言って彼女募集中男性の気を引くのもウザかった。
実際何人かの男性が、先輩を狙ってるとかの噂を聞いて凄くムカついた。
「あーあ!久しぶりに嫌なことを思い出しちゃった」
階段から突き落としたあの時。事故を装うつもりだった。死ねばいいと思ってやったことなんていくらでも誤魔化せるだろうし。
あれ?
私はこんな生活してるけど、もしかして先輩の方がいい生活してたらどうしよう。
「もし、自分より良い暮らししていたら王子に文句を言ってやるんだから!」
明日のお茶会に浜崎先輩を呼んでやろうと思ってすぐに手紙を書いた。




