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12。嬢とクッキーを焼く

 街へ買い物に行った日から数日。


 毎日開けるのが楽しみになるように、アドベントカレンダーの中身はアメリアさんに詰めてもらった。

 今日も楽しみにリボンを解く。

 昨日はガラスのボタン。今日はいちごのフリュイ。


 口いっぱいに広がるいちごの甘い香りを堪能しながら、お呼ばれ用のワンピースに袖を通す。


「本当に行かれるのですか?」

 いつのまにか心配性になってしまったジャスパーさん。


「決定事項ですよ。ジャスパーさんはお仕事あるでしょう?」


 今日は嬢の家へ行く。

 あれからローザリンデさんとはお手紙のやり取りをし、今日は一緒にクッキーを焼く約束をしている。


 やり取りの中での『……今度大ちゃんのためにクッキーを焼こうと思っている。しかし城のキッチンを使わせてほしいなんてお願いしてもいいものか。……』呟きのようなその一文に便箋13枚とやたら長い返事がきた。いつもは便箋8枚くらいで済んでいるのに。


 まあ要約すると「わたくしもクッキーを焼いてみたいので、是非うちのキッチンを使ってください」との事。

 お言葉に甘えて、ローザさんちのキッチンで一緒にクッキーを焼くことになっている。


 嬢の家へ遊びに行くと知ったジャスパーさんは「自分もついて行きます」と言ってきかなかった。

 しかしそれを知った王子様が「女性の茶会について行く(バカ)がどこにいる…。そんなに暇なら…」と言って、たくさんのお仕事をジャスパーさんに与えてくれた。

 ありがとう王子様。


 ジャスパーさんが心配性になったのは…たぶん山下と会ったあの日がきっかけかな。よっぽど驚かせてしまったんだと思っている。


「大丈夫ですよ。ローザリンデさんとは仲良くなったんですから。ジャスパーさんはお仕事頑張ってくださいね」


 俯くジャスパーさんの顔を覗き込み「行ってきます」と、カードラン侯爵家から来た迎えの馬車に乗り込んだ。



 。。。


「セトカさん!よく来てくださいましたわ!」

 胸元が程よく詰まった品のあるドレスで出迎えてくれた嬢。

 胸が危険なドレスは封印し、ドレスを全て買い替えたそう。


「うわぁ…お家がまるで宮殿のよう…」

「あら、ジャスパー様のお家はもっと大きいですわよ」

「ええぇ…」

 日本人なら絶対思う「掃除大変そう」だけど、メイドさんもたくさんいるんだろうな。


「さっ!さっ!早くクッキーとやらを作りましょう!」

 急かされながらパントリーに案内される。

 聞きかじりな異世界情報から卵を使うのはちょっと怖かったので、バターと砂糖と小麦粉だけのサクサククッキーを作ることにした。

 溶かしたバターに砂糖と小麦粉を入れて練らないように混ぜるだけの生地。丸い棒状にしたものを厚さ1センチに切り、オーブンで焼けば出来上がりである。


「しっかり冷ました方が美味しいんです」

 冷めるまでお茶して過ごすことにした。


 ローザさんとは手紙のやり取りもしていたし、話していくうちに打ち解けた気がする。


 嬢はとっても素直な人だった。

 爵位が高かったのと、両親と3人の兄の溺愛によって、暴走しやすい人が出来上がったんだろうと思った。


 クッキーを作っている最中でも、そこは違うと説明してあげると、そうなの?と素直に聞く。

「セトカさんっていい人よね」

「そんなことありませんよ」

「今日わたくしが焼いたクッキーを彼にもプレゼントしたいわ」

 頬を赤らめる嬢がかわいい。


「ジャスパーさんに持って行きますか?」

「?なんでジャスパー様なの?」

「え?」

「??「彼」って私の婚約者よ」

「えっ?」婚約者???

「なあに?」

「…あの、ジャスパーさんが好きなのかと…。初めて会った時、ジャスパー様の隣は自分が相応しいと言ってましたよね?」


「ええ。好きよ?好き…というか……きゃ♡」そう言ってさっきよりさらに赤くなった頬を両手で覆う嬢。

 そして「ジャスパー様は特別なのよ。近くから遠くから応援したいだけの存在ですわ。私は彼の幸せを願っているの。彼の幸せ、それこそがわたくしの幸せですわ。もちろんわたくしの婚約者もそれは許してくれているのよ。ですからわたくし、堂々とジャスパー様を応援させていただいているのです」


 婚約者さん優しい…。

「ん〜?でもそれって…ジャスパーさんが推し…ですね?」

「推し?推しってなんですの?」


 推しの説明難しいな…

「え〜っとですね。まず、その人でも物でもをとてつもなく大好きなんです。大好きすぎて「尊い」のです。尊い存在の幸せをただただ祈り、応援する。それが推し…ですかね…?」


 嬢は瞳をキラキラさせて「それですわ!今まで私の気持ちにぴったりくる言葉がなかったのですが、「推し」それこそジャスパー様の存在を表す言葉ですわ!」そう断言した。


 それからお互いの推し、(私は大ちゃん)の話で盛り上がって楽しかった。

 「推し」と一括りにすると、大ちゃんもジャスパーさんも同じなのが凄いなあと「推しジャンル」に感心してしまった。



 クッキーが冷めたので、帰る前に嬢と一緒に袋に詰める。


「わたくしは、両親とお兄様たちにあげようと思っていますの」

「皆様きっと喜びますね!」

「セトカさんは?誰にあげるの?」

「えっと…大ちゃんと、アメリアさんと…ジャスパーさん…かな…」




 あと…山下にもあげようと思った。





申し訳ありません。

ストックが切れました。しばらく不定期投稿になります。

頑張りますのでよろしくお願いしますm(__)m


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