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11。今後の生活を考える

 

「君と話すのは初めてだよね。私はデュラン・ロラブル。立場はこの国の王子だ」と言われ緊張する。


「ああ、そんなかしこまらずに楽にしてくれて構わない。こちらの都合でこの世界へ呼んでおきながら挨拶が遅れてすまなかった」


「…いえ…、、、あ…はい」思わずどっちつかずな返事をしてしまう。


「彼からこの国の聖女について、聞いたと思うけど。それも含めて君には申し訳ないと思っているんだ。…それと、ヤマシタリオカ聖女の今の様子を聞きたいかい?」


 王子の問いに、黙って首を横に振る。


 山下。

 あの日のこと、あの姿を思い出すだけで胸が苦しくなって思わず目をギュッと瞑ってしまう。

 山下がここが天国だと思っているならそれでいい。


 


「それで。ジャスパーに仕事をしたいと申し出たそうだね?今もその気持ちはあるのかい?」

「はい。何か出来ることがあるなら働きたいと思っています」だって先はわからないから。

「うん。こちらとしてもいつまでも君を城に住まわすわけにはいかないんだよね」

「はい」

「仕事を探す間、住む所やしばらくの間の生活費の保障はする。最初のうちはアメリアをそばに置いてもいい。そういう条件だったら…街で暮らすつもりはあるかい?」


「えっ?街で…」

 思わず口元に手を当てて考え込んでしまった。

 即答は出来ないが、これはとても良い条件だと思う。そしてそれ以外道がないとも思う。


「すぐに答えなくて大丈夫。マンドラゴラの誕生日パーティーの時に答えを聞かせてくれ。えーっと、セント・クロース・ダイコーンだっけ?」


「マンドラちが……。大ちゃんです…」

「ジャスパーはハンカチをいらないと断ったんだってね」

「はい。即答で断られました」


「今大ちゃんハンカチ持ってるの?」

 そう聞かれてこくりと頷き、ポケットから大ちゃんハンカチを出して王子様に渡す。


 ハンカチを広げてしばらく。ハンカチの向こうにあった王子の顔が、チラリとこちらを覗き大ちゃんの横に並ぶ。


「……私は大ちゃんはなかなか可愛いと思う」


「ですよね?!」

 嬉しくなった私は失礼を承知で「もしよかったら…その大ちゃん、貰って下さいますか?」と聞いてみる。

「もちろん!」と王子様は嬉しそうにハンカチを受け取ってくれた。



 るんるん気分で部屋に戻った私。待っていたジャスパーさんに、何の話をしたのか聞かれたので大ちゃんの話だったと教える。


 大ちゃんのハンカチをプレゼントしたと。


 するとサッと顔色が変わり「王子からもプレゼントが…」「大ちゃんハンカチ…」などぶつぶつ言っている。


 そんなジャスパーさんを眺めながら私はこれから先の事、自分にどんな仕事が出来るかなどをぼんやり考えていた。





 翌日。

 王子様から《ハンカチの御礼》という名目の大きな花束が届いた。



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