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第9話 レベル1の限界

ソウマから**「3分の1ベットの魔法」という、迷いを消すシンプルな戦略**を教わった翌日。アカツキは逸る気持ちを抑えきれず、すぐにアミューズメントカジノに乗り込んでいた。


アカツキのプレイは、以前とは全く違う、迷いのない、機械的で安定したものになっていた。プリフロップは厳選されたハンドでのレイズのみ。そして、BBがコールしてフロップが開くと……。


***


アカツキはBTNでA♦︎ Q♦︎をオープン。BBがコール。


フロップ(場札):A♣︎7♠︎2♥︎


(トップペアだ!大きく打ちたいが……いけない。レベル1戦略は**『全てのハンドで1/3ベット』**だ!)


アカツキは興奮を抑え、冷静にポットの3分の1のチップを前に押し出した。


「ベット」


BBは少し考えた後、その安さに誘われるようにコールした。


(1/3なら、相手は中途半端なハンドでもコールしなくてはならない気持ちになるはずだ)


ターンは6♥︎。BBはチェック。アカツキはさらにチップを奪いたいため、再び1/3ベット。BBはコール。


リバーは5♣︎。BBはチェック。アカツキはためらわずベットすると、BBはフォールド。相手の手札は見えなかったが、アカツキは**「コールされやすいサイズで、最後まで主導権を握り続けた」**ことに、深い満足感を覚えた。


***


アカツキはUTGでT♥︎ T♣︎をオープン。BBがコール。


フロップ(場札):K♠︎J♣︎5♦︎


(最悪だ!キング、ジャックがボードに……。自分のTTテンのペアは、一気に弱くなった)


以前のアカツキなら、この恐怖のボードで恐れてチェックしただろう。しかし、今は違う。


(ルール通り、ポットの3分の1ベット!)


BBは「また小さいな」と呟きながら、ため息交じりにフォールド。


ポットはアカツキのものになった。


「すごい! CBのたびに迷いがなくなった!」


フロップで悩む時間がなくなった分、アカツキは次のアクションの準備に集中できるようになった。チップは安定し、気がつけばテーブルで平均以上のチップを抱えていた。


(ソウマさんの言った通りだ。判断ミスが劇的に減った気がする!)


しかし、このシンプルな戦略は、ポーカーの複雑な戦場においては、すぐに限界を迎えることになった。


***


アカツキはA♥︎ 4♥︎でオープンレイズ。BBがコール。


フロップ(場札):9♥︎7♥︎3♣︎


(ナッツ(最強の)フラッシュドローだ!)


アカツキはルール通り、ポットの1/3をベット。BBがコールした。


ターン(4枚目の場札): J♦︎


フラッシュは完成せず、相手はチェック。


(さて……どうする?フロップでコールされたってことは、相手は何かを持っている。このままチェックしてリバーを見るべきか?)


結局、アカツキはチェックし、リバーでもチェックで終えた。相手は7のペアを見せてポットを取った。


「くそっ!ターンで打って、あの7のペアを降ろすべきだったのか……?」


***


アカツキがQ♦︎ J♦︎でオープン。BBがコール。


フロップ(場札):J♥︎9♣︎2♠︎


(トップペアだ!)


アカツキは自信を持って1/3ベットを打った。


すると、BBのプレイヤーが、アカツキのベットの4倍近くの、巨大なレイズを返してきた。


(ぐっ……!この圧倒的なレイズサイズはなんだ!?Jのペアをはるかに超える強い役か?それとも、俺の1/3ベットを舐めたブラフか!?)


アカツキは、この圧倒的なプレッシャーに、手のひらに汗をかいた。コールすれば、次のターンでオールイン勝負になる可能性が高い。


「フォールド……」


トップペアという強い役にもかかわらず、その大きなレイズという名の威圧感の前に、降りることを選択した。


***


トーナメント後。


アカツキの頭の中で、「フロップ1/3ベット」というシンプルな戦略は、すぐに**「ターンとリバーのベット」、そして「相手の大きなレイズへの対処」**という、さらに複雑な問題に分化し始めた。


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