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第18話 トーナメント(後編)

インマネが確定した瞬間、テーブルの空気は一変した。


他のプレイヤーたちの表情から、バブル特有の悲壮感が消え、安堵の色が広がった。プレイも、チップEVよりもルース(緩い)になり、あちこちでオールインが飛び交い始めた。


アカツキは静かに自分のチップスタックを確認した。平均より少し上。


(目標は優勝だ。インマネという最低ラインは達成した。ここからはICMの呪縛を解き放ち、**チップEV(優勝狙い)**に切り替えて、ガンガン攻める!)


***


トーナメントはファイナルテーブルに進んだ。残るは9人。


アカツキは**COカットオフ**に座っていた。スタックは4番目。


アカツキの手札は J♡T♡。


(チップEVなら、これは明確にレイズすべきハンドだ)


アカツキは2.5BBでオープンレイズ。BBがコール。


フロップ:A♣Q♠5♢


(エースとクイーンのボード。JTs はガットショットストレートドロー(Kが出ればストレート)がある)


アカツキは1/3ポットのCBを打った。BBがコール。


ターン:K♢


ストレート完成! アカツキはまたしてもナッツを引いた。


リバーまでチェックで進行させ、相手のブラフを誘うか、弱いトップペアからバリューを引き出すプランに変更。リバーでの相手のベットにレイズを返し、アカツキは一気にチップリーダーに躍り出た。


***


その後、トーナメントは残り3人。アカツキのスタックは圧倒的だった。


アカツキはBTN。手札は A♠K♢。


(A−K。前回、バブルの恐怖でフォールドした因縁のハンドだ。だが、今の俺に迷いはない!)


アカツキは2.5BBでレイズ。


BBのショートスタックのプレイヤーが、即座にオールインで応じた。


アカツキは一瞬たりとも迷わなかった。


「コール!」


相手のハンド:T♣T♢ (テンのペア)。


勝率はアカツキがわずかに下回っているが、ほぼ互角のコインフリップだ。


ボード:K♡8♠3♣9♢7♣


フロップで K が落ち、アカツキの AK が勝利。相手を倒し、ついに**ヘッズアップ(一騎打ち)**に突入した。


ヘッズアップは、アカツキの圧倒的なチップ差でスタートした。彼はアグレッシブに攻め続け、相手に息つく暇を与えなかった。


最後のハンド。アカツキは A♢Q♢。相手は 8♡8♣ でオールイン。


ボードに A が落ち、アカツキの勝利が確定した。


「やった……!」


全身を駆け巡る興奮と達成感に包まれながら、アカツキは両手を強く握りしめた。彼はICMとチップEVを使い分け、ついに優勝という目標を達成したのだ。


***


数日後。いつもの喫茶店。


「優勝おめでとう、アカツキ」ソウマは、まるで自分のことのように嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとうございます!インマネが確定した途端、思考を切り替えて自由に攻められたのが大きかったです。特に A−K でオールインコールして勝ったときは、前回の自分を超えられた気がしました」


ソウマはゆっくりとコーヒーカップを置いた。


「アカツキ。君はもう、ポーカーの基礎を理解し、実践できるようになった。初心者卒業と言っていいだろう」


アカツキは背筋を伸ばした。


「しかし他にも、スリーベットポット、ショートスタック、マルチウェイ、ヘッズアップといったより複雑な状況での戦略や、相手の弱点を見つけてそこを突くエクスプロイト戦略など、学ぶべきことは多くある。これらは多くのプレイヤーがミスをする沼のような領域だ」


ソウマは試すような視線を向けた。


「どうする? このままここで満足するか、それともさらに深いポーカーの世界へ進むか?」


アカツキの答えは、決まっていた。


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