第18話 トーナメント(後編)
インマネが確定した瞬間、テーブルの空気は一変した。
他のプレイヤーたちの表情から、バブル特有の悲壮感が消え、安堵の色が広がった。プレイも、チップEVよりもルース(緩い)になり、あちこちでオールインが飛び交い始めた。
アカツキは静かに自分のチップスタックを確認した。平均より少し上。
(目標は優勝だ。インマネという最低ラインは達成した。ここからはICMの呪縛を解き放ち、**チップEV(優勝狙い)**に切り替えて、ガンガン攻める!)
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トーナメントはファイナルテーブルに進んだ。残るは9人。
アカツキは**CO**に座っていた。スタックは4番目。
アカツキの手札は J♡T♡。
(チップEVなら、これは明確にレイズすべきハンドだ)
アカツキは2.5BBでオープンレイズ。BBがコール。
フロップ:A♣Q♠5♢
(エースとクイーンのボード。JTs はガットショットストレートドロー(Kが出ればストレート)がある)
アカツキは1/3ポットのCBを打った。BBがコール。
ターン:K♢
ストレート完成! アカツキはまたしてもナッツを引いた。
リバーまでチェックで進行させ、相手のブラフを誘うか、弱いトップペアからバリューを引き出すプランに変更。リバーでの相手のベットにレイズを返し、アカツキは一気にチップリーダーに躍り出た。
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その後、トーナメントは残り3人。アカツキのスタックは圧倒的だった。
アカツキはBTN。手札は A♠K♢。
(A−K。前回、バブルの恐怖でフォールドした因縁のハンドだ。だが、今の俺に迷いはない!)
アカツキは2.5BBでレイズ。
BBのショートスタックのプレイヤーが、即座にオールインで応じた。
アカツキは一瞬たりとも迷わなかった。
「コール!」
相手のハンド:T♣T♢ (テンのペア)。
勝率はアカツキがわずかに下回っているが、ほぼ互角のコインフリップだ。
ボード:K♡8♠3♣9♢7♣
フロップで K が落ち、アカツキの AK が勝利。相手を倒し、ついに**ヘッズアップ(一騎打ち)**に突入した。
ヘッズアップは、アカツキの圧倒的なチップ差でスタートした。彼はアグレッシブに攻め続け、相手に息つく暇を与えなかった。
最後のハンド。アカツキは A♢Q♢。相手は 8♡8♣ でオールイン。
ボードに A が落ち、アカツキの勝利が確定した。
「やった……!」
全身を駆け巡る興奮と達成感に包まれながら、アカツキは両手を強く握りしめた。彼はICMとチップEVを使い分け、ついに優勝という目標を達成したのだ。
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数日後。いつもの喫茶店。
「優勝おめでとう、アカツキ」ソウマは、まるで自分のことのように嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます!インマネが確定した途端、思考を切り替えて自由に攻められたのが大きかったです。特に A−K でオールインコールして勝ったときは、前回の自分を超えられた気がしました」
ソウマはゆっくりとコーヒーカップを置いた。
「アカツキ。君はもう、ポーカーの基礎を理解し、実践できるようになった。初心者卒業と言っていいだろう」
アカツキは背筋を伸ばした。
「しかし他にも、スリーベットポット、ショートスタック、マルチウェイ、ヘッズアップといったより複雑な状況での戦略や、相手の弱点を見つけてそこを突くエクスプロイト戦略など、学ぶべきことは多くある。これらは多くのプレイヤーがミスをする沼のような領域だ」
ソウマは試すような視線を向けた。
「どうする? このままここで満足するか、それともさらに深いポーカーの世界へ進むか?」
アカツキの答えは、決まっていた。




