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空想都市、停電中

作者: 藤乃花

様々な世界が交差する作家たちの頭脳世界……『空想都市』。そう人々から呼ばれているアイデアが飛び交う大都会を脳内ウイルスが襲った。犯人は作家たちの脳内へと有害ウイルスを送り込み、空想を停止させた。かつては作家を目指し純粋に物語を執筆していた者たちだったが、度重なる落選を経験していくうちに心が歪んできた。「何が『夢はいつか叶う』よ!反吐が出るわ!」「酷評ばっか下しやがって!あいつら(出版社)は単に、人の作品ボロクソ言いたいだけだろうか!」「脳内ジャック、脳内ジャック、脳内ジャック、脳内ジャック、脳内ジャック……ひゃははははははははは……」甲高い罵声、笑い声、暴力的な行動。妬みが行きすぎると強烈なくらいの狂い咲き状態となり、本人でさえコントロール不可能の様子だ。彼らの勢いはとどまるどころか、ますます増していきいつしか『電脳ハンター』として出版社関係の者達から恐れられるようになっていた。一部の悪質な者からは『電脳ハンター』をまるでヒーロー扱いし、インターネットでそれに便乗したゲームサイトまで出てくる始末だ。インターネットを通じて小説を執筆している最中の作家たちはと云うと、接続してあるコード越しに脳内ごと占拠され再起動出来ずに静止したままでいる。担当者達は困り果て、何らかの策を練り始める。全出版社

関係の者が集い、今後について話し合う段階にまで進んでいた。「『電脳ハンター』のせいで、作品が進みません!こうなったらゴーストライターを起用するしかありません!」「いやしかし、文面から別人が執筆した物だと分かってしまう。読者、特にファンには絶対伝わるモノなのだよ」「説得するしかないんじゃないですか?『電脳ハンター』を……」その発言を聞き、会議室に静けさが起きる。どう考えても無理だろう。誰しもがそう考える。「説得……ともうしても、あんな異常者達を相手に話し合いなんて……無理でしょう?」その通りだ。普通でない連中だから、今こんな状態になっているのだ。「元の原因を辿ると、『電脳ハンター』達が作家を目指していた時期にあるのよね。彼らが歪んだのは、作品を落選されたからよ。つまり……」ある担当者が下した発言。それに一同耳を傾ける。〈それだ!〉原因は一つ。「君が言いたいのは、彼らの作品を採用しろ……そういう事かね?」「当たらずとも遠からずよ。『電脳ハンター』になるまで廃れたあいつらを指導する、それよ」「指導するって、どうやってですか?」「話が通じるとは思えない」「そうだそうだ!以心伝心なんか出来るか!そんな『歪み隊』なんかが!」古い言い回しだが、発言したのは平成生まれの新卒若手担当者だった。気にくわない事には必ず反発する、一人っ子のわがままっ子なのだ。「『歪み隊』って……言い方ダッサ」「いやいや、そんな事いってる場合じゃないよ」「そうですとも。『電脳ハンター』を封じ込めない限り、商品の作家たちは停止中のままだ」「ちみ!商品とは何ぞよ!言い方に気をつけたまえ」「ちみ?編集長って、そんな言い方するんすね?」「アニメ風にすりゃまとまるんだよな!出版社って所は」話が脱線してしまった。言い合いしている場合ではない。日本全国、いや、全世界の作家たちは今、脳内の空想都市が停電中なのだから。


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