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子供と動物は使いよう

『怠けアリ』の発案者はルークだ。


 アリの集団において『よく働くアリ』:『普通のアリ』:『サボるアリ』の割合は2:6:2になる。

 ここから普通のアリ、サボるアリを取り除くと、よく働くはずのアリの一部がサボり始めて、またも2:6:2に分かれる。

 逆にサボっているアリだけを集めると、一部が働き出し2:6:2に分かれる。


 これは自動的に仕事を分担しているのだ。


 最初から働いていたよく働くアリが休むと、普通のアリが代わりに働く。

 普通のアリが休むと、サボっていたアリが働く。

 全員が同時に働くと、短期的には効率が上がるが、揃って疲弊するため長期的には仕事が滞る。


 人間にも言えることなので、ルークは意図的にコントロールすることを提案した。


 各部署に『怠けアリ』役を送りこみ、業務効率をコントロールさせる。

 彼等が怠けアリになるため、その他のものはよく働くか、普通にならざるを得ない。

 折角、実力主義で採用試験を行なうのに自然と一部が働かないのは勿体無い。

 それだけでなくフリーライダーと呼ばれる、サボるどころか全く働かない存在が出てきてしまう可能性もある。


『怠けアリ』はあくまで役目なので、彼等は仕事しない訳ではない。

 そう見せかけているだけで、実際はよく働くアリ以上の激務だ。

 表のキャリアの評価は低くなるが、彼等は独自の人事考課で評価されている。

 普通の人間にはできない、難しい役目なので給料も高い。


「『怠けアリ』は女王の目でもあります。各部署に不正がないか、反乱の兆しがないか、陛下に対する生の意見を定期的に収集しています」


 メガネの位置を直しながら、ルークが説明を始めた。


「まずアクエリアス様を引き取る前の陛下の印象です」


『圧がすごいw』

『超怖いw』

『氷の女王』

『王は人の心がわからない』

『睨まれたらチビる自信がある』

『世界で一番女王様』

『逆らったら命取られそう』

『近寄ったら食われる』

『肉食女子』



「次に引き取った後の印象です」


『なんだただのツンデレかw』

『女王様、実はアホの子だったw』

『同年代諦めて光源氏計画とかw』

『かき氷の女王』

『膝枕で飴をお舐め』

『子供に好かれる奴に悪い奴はいない』

『あの女シリーズクソワロw』

『ユニコーンが側にいるって事はつまりそういうw』

『ポンコツ処じ……おっと誰か来たようだ』



「……ねえ、侮辱にしか聞こえないんだけど。これのどこが支持率上昇なの?」

「好感度が著しく上昇しています」

「好感度、ってか親近感かな?」

「ウィルまで……」

「以前の女王さんは、いつもキリッとしてただろ。君主としては立派だと思うけど、城の連中には近寄り難かったんだよ」

「アクエリアス様を引き取られてからは、私達以外の前でも素を見せるようになったと申しますか……表情豊かになられて、砕けた態度を取られるようになりましたね」


 ウィルフレッドの意見に、ポーラがウンウンと頷いた。


「王配候補の方々にも、面談後に感想を聞きましたが概ね好評でした」

「そうなの!?」


「ハイドラ様は、陛下が驚く姿を見て『女王といえど一人の女性なんだ』と安堵したようです。更にアクエリアス様を嗜める姿に母性を感じたと仰っていました」


「オリオン様は『強い女性だからと、それを彼女を守らなくても良い理由にしてはいけない。陛下には彼女を支える存在が必要だ』と仰っていました」


「アンチラ様も『引き取った子供にあそこまで慕われるとは、陛下は良き母になられる。聖獣が近付くならば、心の清い女性に違いない』と」


「いいじゃない、いいじゃない! 子供とか動物って、好感度上げに有用なのね!」

「陛下! 折角上がった好感度が地に落ちますぞ!」


 テンションが上がった女王をビ・シフローが嗜める。

 執務室は防音仕様だが、誰が何を聞いているのか分からないのが王宮というものだ。

 心に鎧を纏うエリザベートが、自分達の前でははっちゃけた態度を取るのは嬉しく思うが、外部に漏れたら大惨事になる。


「レチクル様も『御三方の絆を強く感じた』と仰っていました」

「ん? ちょっと待って。御三方って誰と誰?」

「それは勿論、陛下、ヴァルゴ様、アクエリアス様でしょう」

「はぁぁ!?」

「あれ? 気付いてなかったんですか? 何も知らない人が見たら、お二人は子育て世代の夫婦ですよぉ」

「冗談じゃない! ねえ、クイン。貴女も知ってたの?」


 お茶の準備をしていた彼女に、エリザベートは話を振った。


「腹立たしい事ですが、一部でそう嘯いている輩が存在するのは事実です」


 忌々しそうに、クインが眉を寄せて答えた。


「あの女の食べ残しなんて要らないわ!」

「陛下、言い方!」

「まあ、それはさておき。陛下にとってアクエリアス様は好感度アップアイテムです。成長して、その効果が弱まるまでは側に置いた方がメリットになります」

「ルークくんも言い方!!」


 毒舌過ぎる主従である。

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― 新着の感想 ―
[一言] ルークこそツンデレ過ぎて萌えるやつですね…! そして意図的に怠けアリを部署に配置するの、流石ですね。仕事しない人がいないと集団の人間関係ギスギスするって言うもんな~
[良い点] 一般人の声が、まんまオレらで草生えたwwww でもネタは、Fateとworld is mineしかわかりませんでした……。 [一言] あざとお花畑ヒロインの行動が、正真正銘の幼児になると随…
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