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09 そのシスターは本音を漏らす

「で、お前たち。何か言いたいことはあるか?」


 頭に八層ボスであるエスティマの矢が突き刺さったモモエルと、ボコボコにされた僕はスカンジナビアさんの前に正座させられた。


「ないれす」

「ないでしゅ」


 アホ天使ことモモエルは予想以上に探索が上手くいったそうで、五層超えて七層まで進んだそうな。


 配信中のチャット欄は大盛り上がりで……。


 真面目くん:初心者ムーブじゃないな

 カカリア:あれ天使の肉盾じゃん

 エビ炒飯:無限肉盾はチートwww

 望井俊介:歌ってみた出したので見てください

 コロセウム:あれって引退した伝説の魔剣師……?


 SNSでハッシュタグの「#肉壁天使」がプチバズしたらしい。

 スパチャはガッポガッポの同時接続は脅威の5000人。


 ダンジョン配信はぶっちゃけ大成功を収めた。


 だがこのアホ天使は調子に乗りすぎた。自分が無敵であることで調子に乗り、必ず対策が必要な八層ボスに突撃したのだ。


 結果、ボスの粘液で捕らえられ、くっころ騎士みたいな状態になり、死ねないのに逃げられないみたいな無限ループに陥った。


 最終的に呆れたスカンジナビアさんがモモエルごとエスティマを切り刻んで事なきを得たが、このアホ天使、デバフシスターより酷い。


「で、でもでも! なんとかこうして生き残ったじゃない!」

「パーティーメンバーを頼らない攻略をするんなら一人でダンジョン配信すりゃいいじゃないか」

「だってだって、コメント欄のみんながおだてるから……」

「モモエル、ほんとそういう所だよ?」

「ふぁい……」


 そしてスカンジナビアさんの隣でぷりぷり怒るシスターロゼッタ。


「カンタさんも人の事言えませんよ?」

「ひゃい……」


 僕とロゼッタの資金繰りはびっくりするほど上手くいった。


 まずは今ダンジョンに潜ってる二人の放送をネット番組で同時放映する権利をテレビに売った。


 元天使省の天使にもかかわらず退職して「#肉壁天使」になったというのがキャッチーだと踏んだのだ。


 テレビの人は快く受け入れてくれて、それをまずは深夜枠で流した。すると、テレビからの反応が良かったみたいで──天使のスプラッタを楽しむカオスシティの人々──継続的に契約も結べた。


 あれ? これアホ天使が変なことしなきゃ、僕、大金持ちなんじゃね?


 そう思って色んなところに手を出した結果……。


「なぜ私が水着グラビアを撮る羽目になったんですか……! 怒っています!」


 ごめんね、シスター。マジごめん。


「なんか業界の偉い人がシスターに惚れ込んだらしくって、このパーティーをカオスシティの全国ネットで紹介する代わりに水着グラビア出さないかって……」

「ちょっとは相談してくださいよ!」

「うん、そうだよね……」


 普段なら僕よりゲスが居るのでそのツッコミ、ストッパー役になるのだけど、今回は引っ込み思案なロゼッタしかいなかった……。結果僕は自分自身を俯瞰できていなかったのだ。


「これでわかっただろう」


 スカンジナビアさんが重い声でそう言うと、罪人二人はふっと顔を上げる。


「モモエルにはツッコミが必要だし、カンタにはゲスが必要なんだ」


 アホエルは他人からそれが奇行だと教えられる必要があるし、僕は自分より酷いゲスがいることでまともでいられる。


「お前たちは案外良いバランスなんだ。もちろん俺とデバ──ロゼッタもな」


 今デバフって。


「完璧じゃなくていい。俺達には俺達の速度がある。そうだろう?」


 僕とモモエルは目を合わせ、こくりと頷く。


「こいつには僕が必要だからな!」

「これにはあたしが必要でしょ!」


 同時にそう言うと両者ムカついたのでポカポカと殴り合いが始まる。


 スカンジナビアさんはため息をつきながらもふっと笑って、ロゼッタも呆れてはいたが「いつも通りですね」とお茶を入れに行った。


 僕とモモエルの仲は相変わらずだが、行けるところまで行きたい。このメンツで。


「ゼェハァゼェハァ」

「……やるわねアホカンタ」

「黙れアホ」

「天使付けなかったらもはやただの暴言!!!」


 ダンジョンの底に待つ何かを手に入れる。そして超人気者になって、僕らは映画を作るんだ──!


「あ、そういえばシスターのグラビアはどうなんのよ?」

「あー、違約金があった気がするな。契約書契約書っと……」

「どれどれ。……ん?」

「五百万……?」


 遠くの方でシスターがぶっ倒れた。


「そ、そんなお金ないわよ!」

「か、借りるしかないだろ!」


 震える僕らをしばくスカンジナビアさん。


「まずはシスターの意見も聞いたらどうだ。毎回可哀想だろ」

「ぐう正……」

「シスター的にはやっぱだめよね? シスターだし」


 シスターは少し黙って、頬を赤くしてから、ぽしょっと呟いた。


「……やってみたいです」


 え?


「わ、私! こう見えてお肌綺麗なのに、いっつも厚い布で隠してるの、勿体ないと思うんです!」


 僕はギロッとアホ天使を睨むが、こいつも驚いているので入れ知恵ではなさそう。


 なんだ。意外とパーティーメンバーみんな考えることは同じじゃないか。


「そ、相談はして欲しかったです。けれど、私にもやってみたいこと、あります!」


 そして発売された「禁断激写、ビキニシスターと秘密の浜辺」は、カオスシティでビリオンヒットを記録した。

「ちょっと面白そう」と思っていただけましたら……!


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[一言] 結局やってみたかったんかーい(;'∀')
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